調整手当とは

調整手当とは、名前のとおり給料の額をその看護師に見合った額に調整するための名目として作られた手当になります。実際に当て嵌まる内容の業務がなく、名目だけの手当というのが特徴です。

まず、給料は所定内給与と所定外給与とで構成されており、看護師の場合はこれは常勤、非常勤、正看護師、准看護師関係なく当て嵌まります。看護師の給料で言うと、所定内給与が基本給と諸手当に当て嵌まり、所定外給与が回数で決まる夜勤手当や宿日直手当などの給料になります。

調整手当はこの中の諸手当に分類され、他の諸手当に含まれないけれど病院側としては支給したい給与となっています。調整手当の背景になるものとして、ボーナスや昇給など、看護師の実力を買って給与面で厚遇したいという前提があります。しかし、ボーナスが何か月分の給料になるのか、もしくは年間に支給する回数、昇給の頻度などが追いつかないことがあります。

そうした場合に文字どおり「調整」するためだけに、調整手当として支給することになります。他にもさまざまな手当を給料体系に含みつつ、その手当の対象とならない場合、調整手当の名目で給与に反映する場合があります。

調整手当はどうしたらもらえるの?

調整手当の対象となる看護師は、まず転職してきたばかりの看護師が該当します。転職したということは以前にも看護師として働いた臨床経験があり、能力給として上乗せする必要が出てきます。

転職先の給料の系統に沿ってすぐに給与へ反映して支払えない時に、名目として調整手当として給料に上乗せします。その後看護師の能力がどれほどのものか把握できるようになれば、正確に転職先の給料の系統に上乗せできるため、調整手当という名目は無くなります。

次に独身の看護師について、その病院の給料系統の中に扶養手当があったりすると、扶養する家族がいないのに扶養手当を支給する訳にはいかず、扶養手当を調整手当として支払うことになります。同じ理由で実家暮らしをしている看護師も、住宅手当が必要なくなり、調整手当という名目になります。

逆に言えば調整手当が支給されない看護師というのは、基本給と諸手当、所定外給料の3つで十分な額を得られている看護師になります。例えば新卒看護師だと、特に必要な能力給がなく、調整の必要がないため、調整手当が支給されません。このようにすべての看護師が支給の対象ではなく、あくまで「調整」が必要な看護師であると判断された場合に限って支給の対象となります。

調整手当の相場はいくら?

調整手当は相場がなく、必要な分の手当やボーナスの代替として使われています。よって最低額は0円、最高額は1つの手当分くらいの10,000円ほどとなっています。平均して5,000円くらいが調整手当としてつくことが多いようです。

中には50,000円など数万円単位での調整手当もありますが、病院側の経営状態や人事異動の結果など一時的な増額による支給であり、相場全体には影響を与えません。

求人票における調整手当の見方

調整手当の額については、それぞれの病院によって給与規定が違います。求人の内容に調整手当が載っていても、記載どおりに支給されるとは限らず、調整手当自体が一時的な支給ということも有り得ます。

例え最初に求人を見た時に調整手当が高く設定されているとしても、あくまで一時的なものであり、人事異動や病院の経営状態、病院側からの看護師の評価の変化などによって変動するのが調整手当の特徴です。

よって賢く求人を選ぶ際には、調整手当だけを見るのではなく、全体を見るようにしましょう。給与で求人を選びたいのならばなおさらで、全体の給与の額、昇給やボーナスなどの実績から判断する方が賢い選び方になります。

もちろん調整手当を支給していることも実績のひとつになり、調整手当という厚遇の仕方もあると考えられます。あくまで看護師を評価するひとつの基準であることを前提にしておかないと、厚遇されているのか冷遇されているのか分かりづらく、看護師が不満を持ちかねません。そのため調整手当は一時的な支給となっているのです。