私が看護師免許を取得したのはもうかれこれ25年程前です。高校を卒業して県立の看護学校へ入学しました。時代は女子大生ブーム全盛期。マスコミで華やかな女子大生がもてはやされている頃、私はひたすら勉強と実習に明け暮れておりました。

その甲斐あって無事看護師免許を取得しました。最初の勤務先は学生時代何度も実習でお世話になった県立病院。そこの循環器内科の救急病棟に配属されました。そこは病院の中でも最も忙しく出来ればそこじゃないと良いなぁ、と新卒がみんな思っていた病棟でした。

実習中も重症患者さんが急変したり救急指定日には救急車で来院した患者さんの受け入れを一手に請け負っていたのでその忙しさは分かっていたつもりでしたがやはり実習で行くのと実際にそこで勤務するのとでは大違いでした。

病棟にいた2年間は本当にあっという間に過ぎていきました。しかし、新卒で救急病棟に配属されたことによっていろいろな看護技術を磨くことが出来たし患者さんの急変にも慌てず対処できるようになりました。

その後結婚出産し、育児休暇を所得したのち院内託児所を利用しながら呼吸器内科、結核病棟に勤務しました。引っ越しを機に退職し、第二子が小学生になった時に看護師として復職しました。

しかし、医療の進歩が目覚ましくブランクのあった自分は病棟での勤務に自信がなく、また子育てとの両立のためパートでの個人病院勤務を選択しました。

外来勤務は初めてでしたので病棟でやったことのないことが多くて最初は戸惑うことばかりでしたが、個人病院特有のアットホームな雰囲気も楽しく家庭と両立しながらパート勤めをしていました。

転職理由は「家族のため」

看護師の仕事をしていれば勤務条件や自分の生活環境の変化などによって今の職場よりより良い職場を求めて転職することも少なくないですよね。

私は以前、自宅から車で5分くらいのところの開業医でパートとして週3回勤務していましたが、今はデイケアセンターの看護師として週3~4回勤務しています。

以前勤務していた開業医は、もともと子供が患者として通院していてよく知っていたし先生も信頼できる方だったので、先生から「うちで働いてくれないか」とお話があった時は、あまり深く考えずにすぐにそこで働くことに決めました。

しかし、通院している時は気が付かなかったのですが、そこは3人の看護師がローテーションで一人ずつの勤務でした。

3人のうち誰か一人だけが勤務について、お互い顔を合わせるのは月1回程度の勉強会の時くらいでした。

一人で勤務することに最初は慣れなくて大変でしたが、段々と慣れてくると自分のペースで仕事ができるので意外に気楽に仕事をすることができそんなに苦痛ではありませんでした。

ただ、この先生は患者さんにとても親切で丁寧なので、病院はいつも混んでいて患者さんが増える冬などは待ち時間がかなりあることで有名でした。

私も子供が患者として通院していたので混んでいることは理解しているつもりだったのですが、やはり勤務者にはとても大変なことでした。

週3回のうち1回は夕診の勤務についていました。受付終了は19:30なのですが混んでいる時は家に帰るのが10時を過ぎるのが普通で遅い時には11時にもなりました。

子供は小学生と中学生でしたので夕食を用意しておいて夫と食べてもらっていました。

夫も通院したことがあるので先生の人の好さは知っていて「仕方がない」と最初は思っていましたが、冬になると勤務日は毎回そんな感じでしたので出来たら仕事を変われないかと言われてしまいました。

自分自身もそれだけの時間一人で走り回って勤務することに疲れてしまい、段々と転職を考えるようになりました。

しかし、先生に不満があるわけでもないしそれほど忙しくない日もあるし、勤務も週3回だけだったので決めかねていたところ、夫が単身赴任で家を離れることになり決断しました。

いくら尊敬できる先生のもとで働くことができても、やはり母親ですから家庭が一番。自分の仕事の為に子供たちを犠牲にできないと転職をすることにしました。

転職先は夕診の勤務のない介護施設のパートにしました。

患者として通うにはとてもいい病院でも、そこで働く勤務者にとって「いい病院」とは限らないと思いました。

転職後、デイケアセンターでの仕事

私は現在、介護施設デイケアセンターの看護師として勤務しています。

外来勤務では、先生の指示のもと様々な処置をすることが主な仕事ですが、デイケアセンターでは主に利用者さんのバイタルサインチェックや服薬の管理、喀痰吸引やストーマ交換、バルン交換や褥瘡処置、胃瘻管理など病棟でする仕事に近いことをしています。

デイケアセンターには、医療行為を行わないデイセンターでは受け入れられない利用者さんがたくさん来所されるので、処置の必要な利用者さんの数が多いです。

しかし、フロアの中で処置ばかりしているのではなく、車でのお花見や紅葉を見に行く時に付き添ったりとレクリエーションに一緒に参加したりする時もあるので、外来勤務では味わえない楽しみもあります。

しかし、のんびりした気分でばかり仕事をしているわけではありません。

併設されている病院には医師がいますが、普段デイケアのフロアには医師はいませんのでフロアにいる唯一の医療従事者としての責任があります。

入浴時には肌に湿疹等の異常がないか、褥瘡になりかけの兆候はないかなどの観察をしたり、自宅できちんと服薬できているのかチェックしたり、家族からの情報提供を受けて外来を受診する必要があるのかどうか判断して医師に報告したりしなくてはなりません。

なので、介護施設では医療行為は病棟や外来ほど多くありませんが、病棟や外来経験のない看護師では経験不足でいろいろな判断ができないので勤務することは難しいです。

また、認知症が進んでいたり頑固になっている高齢の方も多いので、高齢の方と接するのが苦手な人にも向かないと思います。

このようなことから、介護施設で勤務するのに適しているのは、病棟や外来である程度の経験があり、様々な医療行為が出来、高齢の方と接するのが楽しいと感じる人が向いているのかもしれません。

看護師の仕事といっても勤務場所によって必要とされる条件が異なってきますので、看護師仲間に聞いたりネットなどで情報を集めたりして自分に合った職場で勤務することができるといいですね。