私は経験年数11年目の男性看護師です。資格取得後、市の中核となる総合病院に常勤の正規雇用職員として就職しました。

泌尿器科・消化器内科・消化器外科・神経内科を含む病棟で3年経験し教育を受け、リーダー業務・看護研究などを積極的に経験しました。しかし、27歳の時に地元にある地域密着型の療養型病院へブランクなしに転職することとなりました。

転職先に求めたのは「ワークライフバランス」

転職の理由は家族内に介護が必要となり、補助要員として地元に戻らなければいけなくなったからです。

急性期経験があり転職後も継続してやりがいを求める私にとって、地元にある町立病院は総合病院と言っても前職とは大きく見劣りしました。

また、介護要員として今後介護休暇の取得なども考えられたため、福利厚生の面でも急性期で超過勤務をこなすには困難さを感じていました。

そこで【ワークライフバランスに力を入れている病院】というキーワードも転職先の要件に付け加えて考えることにしました。もちろん急性期の魅力を捨てたわけではないですが、教育面や福利厚生が充実していれば違った看護でも楽しめるのではと思ったのも大きな要因でした。

ハローワークにも掲載されていない病院に直接問い合わせ

地元の病院を調べたところ、地域密着型の療養型病院(現職)で福利厚生が充実しているところがあるという情報を耳にしました。初めは看護師繋がりの情報でしたので、信憑性は五分五分というところでした。

そこでまずはハローワークで情報を集めてみました。ハローワークでは求人は出ていませんでしたが、聞くと看護師を多く集め有給消化や残務ゼロに力を入れており、常に募集はしているということでした。この時点で「希望とあっている」と心が踊らされたのを覚えています。

教育システムや業務内容については流石にハローワークでは具体的なことは判断できなかったため、ホームページでも同時に調べることにしました。

すると具体的な教育プログラムなどは記載されていませんでしたが、認定看護師が在籍していることがわかり、教育プログラムにも希望が持てると感じました。

すでにここで心を半分掴まれていいた私は、実際に病院に問い合わせることにしました。問い合わせるとハローワークでの情報通り求人は出していないが、一度見学・相談に来てくださいと感じよく対応してもらえました。何より忙しい病院側の都合ではなく、「あなたの都合に極力合わせられるので、都合を言ってください」と言われたことが好印象だったのを覚えています。

実際に見学に行き院内の様子を見てきましたが、正直「急性期と違う」「高齢者施設のようだ」という印象が強かったです。

しかし、見学後に認定看護師が「今は教育プログラムを地道に作っているところ」「現状まだまだ足りないところばかり」という率直な話とともに、今後急性期からきた私とどう一緒に働き、ワークライフバランスを考えながらも目指す看護ヴィジョンを提示されたことに感銘を受けました。

こちらから言ったわけではないですが、急性期から転職する私の不安を払拭・そして先のヴィジョンに歩み寄ってくれたことが、転職の決定打となりました。

その後話が進み、具体的な契約に移りました。正直年収や昇給率などは市の総合病院とは見劣りしました。

しかし、有給完全消化・急な休みでも全て対応、介護休暇や勤務希望もほぼ全て通るとの内容は、今まで年間10日程度有給消化できれば御の字だった私にとって青天の霹靂でした(この時点では正直本当かな?と思っていたのも事実です)。

「これなら介護に戻ってきた私にも働ける」と本当に思いました。また、やりがいの面でも認定看護師を目指せるというのは大きな魅力でした。

この職場に出会い、看護に関する考え方が変わった

実際に働き始めると、有給のない初めこそは休暇のやりくりに苦戦しましたが、上司が協力的で本当に助かりました。その後も有給完全消化には嘘偽りなく、仕事と生活の両立が思った以上にできることに驚きました。

一つというか、気になっていたやりがいについては、当初は急性期の【診療の補助】のダイナミックさはなく、生活密着に物足りなさを感じました。しかし、そこでも上司や認定看護師がこちらがいう前に相談に乗ってくれました。

看護には【診療の補助】と【療養上の世話】の大きな日本の柱があります。急性期では【診療の補助】に目が奪われがちでしが(私だけではないと思います)、人が人として生活する上で【療養上の世話】は本当に看護の本質だと気付かせてもらうことができました。

決して【診療の補助】をないがしろにするわけではなく、それぞれの看護のフィールドにおいて何が優先させるのか、できることやらなければいけないことを自分の中でしっかりと持つということです。

このことをブレずに考えられるようになり、また仕事外の生活も充実していくことで、昔よりもやりがいは充実していると思います。

いまでは自分が認定看護師となり、新たに迎え入れる方たちに面談をする立場になりました。本当に迷いながらも良い病院に巡り合えたと思います。