私が転職先に選んだ病院は、かねてより希望していた職場でした。

地域の訪問看護師として働きたいと思っていたため、その道を専門とする病院の門を叩き、転職に至りました。

しかし、最初からすぐに地域の現場へというわけではなく、まずはその中核病院の病棟に勤務して下さいという指示が総看護師長からあり、再び病棟勤務をすることになりました。

大学病院とは違い、職場の看護師平均年齢は40歳位で、ぐっと上がっていました。

20歳代は片手で数えられる位の人数。当事24歳の私は新人同然の雰囲気…。とにもかくにも、再び職場に慣れることから再スタートでした。

働き始めて気づいたのですが、ここの職場は政治活動や組合活動に熱心なところでした。

本人の意志を問うことなく、当たり前のように選挙活動に狩り出されることもあり、気づけば白衣のまま選挙カーのウグイス嬢をやらされている私がいました。

転職して1年経ち、新人さんが入職してきたときには、私にプリセプターナース(新人指導係り)の役目が回ってきました。

なんとかそれを1年こなし、さらに次年度もう1年こなし、3年目に再び同じ役回りを看護師長に相談されたときには、さすがに気づきました。

「なんだか良いように、使われてる…」

訪問看護師になりたくて転職したのに、いっこうに異動の辞令はでないのです。

私よりも後に転職してきた看護師が、訪問看護ステーションへ異動していきました。

ですが、自分自身の中で実際の現場で感じたのは、病棟看護師と訪問看護師の温度差でした。

当事、世間的に華やかに活躍していた訪問看護師への嫉妬があったんだと思いますが、病棟の同僚はあまり良い評価を訪問看護師にはしていませんでした。

また、私も働いていて訪問看護師から言われた言葉にとても傷つくことがありました。患者さんのケアの仕方を上から目線で注意されたことがありました。

前々から病棟看護師をしていて、忙しさから1人の患者さんに十分なケアができていないジレンマを常に抱えていたので、「わかっちゃいるけど、できないんだよ現状では!」と悔しい気持ちでいっぱいになっていました。

そのような日々の中、心身の疲労感もあり、自分の選んだ転職先で自分自身の方向性が見えなくなっている私に、看護観を見直すチャンスが訪れました。

それは、とても辛くもあり、しかし大きなギフトとなって自分の確固たる看護観を見出せた素晴らしい体験でした。