皮膚・排泄ケア認定看護師とは

役割

皮膚・排泄ケア認定看護師は、WOC看護認定看護師とも呼ばれています。2007年から「皮膚・排泄ケア」という名称に変わり、それ以前は「創傷・ストーマ・失禁看護」と呼ばれていたものです。

皮膚・排泄ケア認定看護師の役割は、主に褥瘡の管理やストーマ、失禁などの排泄管理、その患者と家族のセルフケアなどを行うことです。皮膚のケアは主に褥瘡の創傷管理で、治療を行ううえでの基本となる部分で、とても重要な仕事です。

また排泄は、人が生きるうえで不可欠なものですが、寝たきりなどの理由から自力ではできない人もいます。そのような患者の排泄をサポートしケアすることも、皮膚・排泄ケア認定看護師の仕事の1つで、とてもデリケートな業務です。

求められる専門知識や技術

皮膚・排泄ケア認定看護師には、創傷やストーマ、失禁についての専門知識や技術が求められます。

皮膚・排泄ケアはストーマケアが基盤となっていて、ストーマや瘻孔の周囲の皮膚を保護する技術が発展し、創傷や失禁ケアにも活用されています。そのため、皮膚・排泄ケア認定看護師に求められる専門知識や技術の基礎は、スキンケアに関するものが中心となっています。

また排泄については、オストメイトや失禁そのものについてのみならず、これらに伴って生じる様々な問題、自立して生活するための指導方法などに関する専門知識や技術も求められます。

皮膚・排泄ケア認定看護師になるには

資格取得方法

皮膚・排泄ケア認定看護師になるには、2つの条件があります。

まず1つは、日本の看護師免許を取得して通算5年以上の実務研修を積んでいることです。そのうち3年以上は、皮膚・排泄ケア分野の実務研修である必要があります。

もう1つは、認定看護師教育機関で皮膚・排泄ケアに関する指定課程(6か月間、615時間以上)を修了することです。この2つの条件を満たした看護師は、筆記試験を受け認定審査を受けることができます。この認定試験に合格すると、皮膚・排泄ケア認定看護師の認定証を交付され、認定看護師の登録を行います。

ここまでの過程をクリアすれば、皮膚・排泄ケア認定看護師として病院などで勤務することが可能ですが、5年ごとに更新が必要となります。更新の際には、看護実践と自己研鑽についての書類審査が行われます。

資格保有者数

皮膚・排泄ケア認定看護師の資格保有者数は、全国で1,900人を超えています。認定看護師としては、他の分野に比べると資格保有者数は多い状況にあります。

難易度・合格率

皮膚・排泄ケア認定看護師になるための認定試験は、難易度はそれほど高くなく合格率も90%程度となっています。認定試験は全問マークシート式で、教育課程で学んだ内容から出題されます。認定試験よりも、認定試験を受けるまでの実務経験の方がネックに感じるという看護師もいます。

皮膚・排泄ケア認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

皮膚・排泄ケア認定看護師の活躍できる職場は、比較的多くあります。褥瘡は寝たきりの状態や長期間入院の患者に多いため、このような患者の多い入院設備のある病院の病棟などが、主な職場となっています。

またスキンケアの専門知識や技術を持っているため、手術後の患者のケアを任されることもあり、手術設備を持つ病院も活躍できる職場の1つです。

その他では、医師や看護師が常駐する高齢者施設では寝たきりの高齢者が多く、皮膚・排泄ケア認定看護師の需要が高まってきている職場の1つですし、それほど数は多くないものの、ストーマ外来やストーマ・スキンケア外来など、専門外来のある病院も増えてきています。

このような職場でも皮膚・排泄ケア認定看護師の需要は高く、活躍できる職場です。診療科目別では、手術や入院の多い内科や外科で活躍できる機会が多い傾向にあります。

将来性

皮膚・排泄ケア認定看護師の需要は、近年高まってきています。現時点では医療分野での需要が高く、職場によっては上司や病院から資格取得を提案されるケースもあります。

日本では高齢化が進み、高齢者の増加と同時に高齢者施設も増加しています。そのため今後は、病院以外に福祉分野でも需要が高まるでしょう。他分野の認定看護師と違って、皮膚・排泄ケア認定看護師として専門的知識や技術を活かせる職場が多いため、転職や就職、看護師としてのスキルアップにも役立つ有望な資格の1つです。