不妊症看護認定看護師とは

役割

不妊症看護認定看護師の役割は、不妊症に悩んでいるカップルの不妊症治療について、全てに関わることです。

アセスメントから看護ケアの計画立案、実施、評価はもちろんのこと、カップルの自己決定を支援しコンサルテーションするなど、不妊治療の専門家として支援することが主な仕事内容になります。

カップルや家族に対して不妊症の相談に応じ、カウンセリングも行うこともあります。検査は医師が中心となって行いますが、認定看護師になるとかかわる範囲も広がるため、検査にかかわる場面もあります。また、不妊治療についての情報を提供するという役割もあります。

求められる専門知識や技術

不妊症看護認定看護師に求められる専門知識や技術は、大きく3つあります。

まず、不妊症カップルの自己決定を支援することです。不妊治療には身体的、精神的な負担がかかるとともに費用や時間など、様々なストレスも伴います。過大なストレスがかかる治療であるにもかかわらず、成功するとは限らず、不妊症カップルは心身とも追いつめられていく場合が少なくありません。カップルの原因疾患について理解して意思を尊重し、自己決定することができるようサポートする支援能力が必要とされるのです。

また、不妊専門外来でのトリアージも求められます。トリアージとは治療や処置、看護における優先順位を決めることであり、不妊治療にあたっては対象となるカップルの看護ケアレベルが適切であるかどうかという順位を定めていくことが必要です。

そして、看護職へのコンサルテーションをする必要もあります。認定看護師を目指すほど不妊治療に携わっっていればわかることですが、不妊治療にあたっている看護スタッフは看護観、倫理観の危機にもさらされ続けています。ストレスやジレンマに悩まされているため、そういった相談に乗ることのできる技術や専門知識が求められます。

不妊症看護認定看護師になるには

資格取得方法

不妊症看護認定看護師になるためには看護師の資格を取得した上で、不妊症患者さんが多い病棟、外来での看護実績を3年以上持っていることが必要です。その中で、看護を5例以上担当していなくてはなりません。できれば現在も不妊症患者さんが多い病棟、外来に勤めていると望ましいでしょう。

これらの条件を満たした上で、看護協会に認められた不妊症看護認定看護師の教育課程に入学し、6ヶ月以上不妊治療について学んでいきます。

教育期間を修了すると、認定看護師の認定審査を受ける受験資格が得られます。合格すれば晴れて不妊症看護認定看護師となり、認定証が発行されます。

資格保有者数

不妊症看護認定看護師の資格保有者数は、2011年の時点で112名が登録されています。実は100名を超えても需要を満たしていない状況であり、さらに認定看護師を増やしてほしいという要望もあるため、これから資格を取得する人には有利な状況になっています。

難易度・合格率

不妊症看護認定看護師の難易度については、教育期間を無事に終了することができればほとんどの人が合格しています。合格率はほぼ例年、90%を超える数字になっています。

不妊症看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

不妊症看護認定看護師が活躍できる職場は、不妊治療を実施しているあらゆる医療機関です。最近は国をあげて少子化対策に力を入れているため、不妊症治療の専門外来もつくられるようになっています。こうした専門機関ではプロフェッショナルである不妊症看護認定看護師を必要としていて、ほかの看護スタッフに対する指導や支援の役割も求められています。

また、半年間の教育を受けるために職場を退職せざるを得ないというケースもありますが、中には研修扱いにしている職場もありますから、元の職場に戻るという選択肢もあります。

将来性

不妊症看護認定看護師の需要は、年々高まっています。日本で少子化が問題になっている中、子どもがほしくてもなかなか願いが叶わないというカップルは多くいます。そうしたカップルを支えるためには、専門知識と技術を持った不妊症看護認定看護師の存在が不可欠です。

社会的にも不妊症治療の需要が伸びている現代、これから先にはさらに不妊症看護認定看護師が必要とされるでしょう。