体外循環技術認定士とは

どんな資格?

心臓手術を開心術によって行う際には、「バイパス」が必要とされます。血液を上下大静脈から人工心肺装置へと導き、人工肺で酸素を補い大動脈からもう一度体内へと戻し、全身に送ります。つまり、全身の酸素を確保している間に心臓を止め、心臓内の手術を行うというものです。

体外へ血液を回して流れをつくることを、体外循環といいます。人間が生きるための源となる心臓の代わりとなるものですから、血液循環に直接かかわる体外循環は非常に重要です。それにともなう知識やスキルも、非常に高度で繊細なものとなっています。

体外循環技術認定士は、人工心肺をはじめとする体外循環装置を操作するためのスキルや能力について認定するものです。

認定先

日本人工臓器学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本体外循環医学会という4つの学会が認定しています。

資格保有者数

認定者数については、5年前の2009年で全国に720名となっていました。近年の認定者数は公表されていませんが、増加して1,000人程度になっていると推定されています。

難易度・合格率

合格率は100名強が受験して100名ほどが合格するということで、合格率は90%程度となっています。一定の受験資格があって経験もある人が対象とされるため、試験における認定合格率そのもに難易性があるわけではありません。

体外循環技術認定士の資格を活かせる職場

体外循環という特化した分野の技術であるため、心臓外科手術を行うような職場である大型病院や総合病院で活躍する場合が大部分です。

臨床工学技士の資格を持っていて、体外循環技術認定士の資格も取得するというケースが多く、求人の募集条件としても同様の人材が主に求められています。

体外循環技術認定士の将来性

医師や看護師の減少が社会問題となっていて、一方では超高齢化社会ということで病院の利用者や病気を発症する患者さんの数が増加しています。それにともなって医療機器は目覚ましい進歩を遂げていて、医師や看護師が扱うことのできるレベルには及ばないような高度で複雑なものとなっています。

このような中で、やはりその分野を専門的に担う体外循環技術士の資格者は重宝されます。臨床工学技士の資格と併せ持つことで、将来性は格段に高くなります。

体外循環技術認定士のお給料事情

心臓手術を行うような大きな病院や総合病院が職場となりますから、その職員に類似した年収、給料となります。平均して年収で300万円〜500万円程度が相場となっています。また、ほかに臨床工学技士などの医療関連資格を併せ持つことで、年収のアップが期待されます。

体外循環技術認定士になるには《資格取得方法》

受験資格

まずは、日本体外循環技術医学会と日本人工臓器学会の正会員でなければいけません。その上で、心臓血管外科専門医認定機構が認定する施設や関連施設において、体外循環に関する一定の経験が必要とされます。

臨床工学技士と看護師は3年以上の経験、高卒の准看護師は4年以上の経験、中卒の准看護師は5年以上の経験が求められます。

さらに、日本体外循環技術医学学会教育セミナーカリキュラムを履修して所定の単位を取得したこと、日本人工臓器学会教育セミナーを1回以上受講したこと、認定委員会が定めた日本胸部外科学会や日本心臓血管外科学会、日本人工臓器学会の体外循環セミナーで10ポイント以上を取得したことも対象となります。そして、30症例以上になる体外循環の操作経験が必要です。

審査方法・試験内容

試験は、筆答試験と口頭試験で行われています。

受験日程

試験は、毎年7月頃に行われています。平成25年は7月14日(日)に行われました。筆答試験が2時間にわたって行われた後、口頭試験が行われます。

費用・会場

会場は東京女子医科大学であり、東京都新宿区にあります。費用は15,000円となっていて、申請書を提出すると同時に郵便局の払い込み用紙で振り込むことになります。

問い合わせ先

一般社団法人学会支援機構 日本人工臓器学会事務局内 4学会合同体外循環技術認定士認定委員会 03-5981-6011