筋肉注射は、病棟や外来でも良く行われる注射法です。筋肉組織に穿刺し、薬液を注入する事で症状緩和や治療を施す注射の方法です。

皮下注射より吸収速度は速く、静脈注射よりは緩徐な効果発現となります。

筋肉に注射する事は、筋組織への刺激が強く、痛みを生じます。患者さんは、筋肉注射と聞くだけで恐怖心や、拒否感を募らせます。

看護師は、そのような患者さんが安心して、少しでも苦痛なく筋肉注射が受けられるよう知識と技術を習得する必要があります。

では、苦痛を最小限にできる筋肉注射の方法についてまとめてみます。

「筋肉注射」項目達成のためのポイント

筋肉注射の基礎知識として、皮下注射より効果発現速度は約2倍と言われています。

筋肉組織は、血管が豊富で、毛細血管から吸収された薬剤は、右心まで到達し効果を出します。

使用量は、5mlまで注入可能と言われています。

持続的な効果を期待し、即効性の必要が無い場合や長く効果を得たい場合、油性の薬剤の注射の場合に行われます。

必要物品

・注射指示箋
・注射薬
・アルコール綿花
・注射針(注射準備用20G、穿刺用22G)
・注射器
・膿盆
・バット
・手袋
・針捨てボックス

注射穿刺時の注意点

筋肉注射は、骨や神経組織を誤って穿刺し易い注射法である為、穿刺時の疼痛やしびれ、神経の異常反応を十分に注意して観察する必要があります。

血管にも刺入しやすく、シリンジ内への血液逆流が無いかの確認も合わせて必要です。

実施法

●まず、患者さんに筋肉注射の説明を行い、同意を得ます。

何の薬を、何も効果を求めて、どのように行うかを説明します。そして、その薬液を注射した後の注意点を説明します。

●物品の準備をします。

必要薬液を、注射器に吸い、注射針は、22Gの新しいものに交換しておきます。注射針の先端の向きとシリンジの目盛りは、同一方向にしておくと、メモリを確認しながら安全に注射できます。

●患者さんを訪室し、準備します。

プライバシーに配慮し、カーテンやスクリーンで遮蔽します。

名前を言って貰い、患者さんの確認を行います。名乗れない患者さんは、リストバンドやベッドネームなどで確認し、正しい患者さんであるかを確認します。

ベッドを間違えて違う患者さんが眠っている事もある為、ベッドネームでの確認は注意が必要です。

●体位を調整します。

最も安全とされている部分は、臀部の中臀筋です。

上腕の三角筋や大腿四頭筋外側へも行う事がありますが、神経や骨、血管が少ないとされている中臀筋がミスなく出来る部位です。

施行部位に合わせて、体位を調整し、露出を避け、タオルケットなどで必要部位以外は隠します。

中殿筋では腹臥位で、臀部の筋肉を弛緩させるために少し膝を屈曲するために下肢にまくらを挿入します。三角筋では坐位若しくは、臥位にし、肘関節を軽く曲げてもらい、手を腰や腹部に置き三角筋の緊張を取ります。大腿四頭筋外側では、仰臥位若しくは、坐位なって貰い、下肢をやや内側気味に位置します。

●感染予防のために手袋を装着。

(中臀筋)
腸骨稜の突起部とお尻の割れ目を外側とし、その中央を結ぶ線で四分割します。そこから外側45°に線を伸ばし、腸骨稜を結びます。腸骨稜から内に向かって1/3の部位に注射します。

(三角筋)
肩峰より三横指下の部分注射部位です。

(大腿四頭筋外側)
大腿外側の大転子部と膝蓋骨の中央を結んだ線の中央部分が注射部位です。

●アルコール綿で注射部位から5cm程度外側に向かって広範囲に消毒します。

乾燥を待ち、注射器を持たない方の手で皮膚を伸展させます。ペングリップで、45度から90度の角度で穿刺します。

穿刺に迷いがあったり、ぶれが生じると、患者さんの苦痛は高まります。新人看護師や経験の少ない看護師は躊躇してしまいがちですが、素早く迷いなく穿刺する事が必要です。

●手さきのしびれ、臀部の下肢へ向けてのしびれが無いかを確認し、逆血が無いかを確認します。

しびれや逆血があれば、速やかに抜針します。異常無ければ、1ml5秒程度の速さでゆっくり注入します。

●注入後、速やかにアルコール綿で刺入部を抑えて抜針します。

優しく、静かにマッサージし、痛みと、精神的苦痛を緩和します。注射部位の腫脹・硬結の予防にも、マッサージは有効ですが、薬品によっては揉んではいけないものもある為、確認して実施しましょう。

●患者さんの衣類や掛けものを整えて退室します。

まとめ

患者さんにより痛みの程度は異なりますが、筋肉注射が最も苦手と言わることがある注射法です。よって、苦痛なく実践出来る技術を習得する事が求められます。

実践後、患者さんの痛みや苦痛に耐えた事をねぎらう言葉かけで、精神的苦痛を軽減する関わりも必要です。

また、自分自身筋肉注射をして貰ったことの経験を活かし、その時にどのように感じたか、どうして欲しかったかを考えながら実践すると、患者さんの負担の少ない筋肉注射が出来るでしょう