血液疾患を中心に専門治療を行う血液内科ですが、そこの領域で診られる疾患やその治療についてご存知ですか?

血液内科では、骨髄細胞の異常、白血病や貧血性疾患、血小板異常などの血液疾患を有する患者さんが対象となります。

難病や特定疾患、がんを含み、長期に療養を要したり、化学療法や骨髄穿刺などの苦痛を伴う治療や検査が行われる診療科です。小児から高齢者まで幅広い対象者に、専門的で高度な治療を行う場所です。

では、そこで行われる看護師の看護や必要知識はどのようなものがあるのでしょうか。

必要な看護技術・知識

血液疾患の特定には、通常の血液検査以外に、骨髄細胞を検体とする検査、免疫系の検査が行われます。

また、免疫療法中の患者さんには、無菌操作での関わりや、無菌室での療養が行われるようになります。

そして、治療も特殊で、化学療法やステロイドを用いた免疫療法など、通常内科では見られない専門治療がなされます。

全身状態の観察と予測的看護

まずは、検査データを知り、どの疾患で、これからどのような治療が行われるかを知っておく必要があります。そして、その治療による副作用や状態の変化を理解し、異常早期発見出来る知識を持っておく必要があります。

そのためには、一般的な全身状態を知り、その治療開始前後の全身状態の変化や随伴症状の出現を早期に発見し、安楽に安全に療養できるよう支援体制を整えていく必要があります。

骨髄穿刺

骨髄に穿刺し、髄液を採取します。

骨髄穿刺は、医師が執り行いますが、強烈な痛みを伴う検査で、患者さんの精神的支援や不安を感じないような充分な説明を実施する事が求められます。

よって、骨髄穿刺がなぜ行われ、そのデータがどのような活用されるかなどの説明が出来る知識を持ち、正しく説明する事で納得して検査が受けられるよう支援できる事が必要です。

その検査が円滑に行われるように、その手順と注意事項を知っておく事も大切です。

化学療法

血液のがんを治療するためには、化学療法が行われます。

医師の指示により、正しい薬剤を正しい時間に、正しい量を投与します。また、その投与中、投与後の全身状態や副作用の有無などを観察し、異常早期発見に努めます。

消化器系の副作用や口腔内の異変による栄養摂取障害や、免疫系低下による感染予防など、化学療法を行う際の正しい知識やトラブルに対する対処法を知っておく必要があります。

清潔保持ケア

治療により活動制限があったり、動く力を無くしてしまう事があります。治療の副作用により、嘔気や嘔吐、脱毛、排便障害を来たす事もあります。

心身的に消耗した患者さんは、セルフケアが出来る状態に無い場合もあります。

しかし、人は生活を保ちたいニーズを有している為、身体や身辺を清潔に保つ支援を行う事も必要です。

無菌操作

免疫力の低下した患者さんには、無菌操作を徹底する必要があります。

正しいガウンテクニック、マスクや手袋の清潔な着用方法、器具や機材の無菌操作など、患者さんや患者さんに触れる物ものを、清潔に操作する技術を要します。

精神的支援

化学療法や血液疾患治療を行う患者さんは、いつになっても良くならないと感じたり、行う薬物療法の副作用により、ボディイメージの変化をきたす場合があります。

脱毛や口腔内の粘膜異常、栄養摂取できないことによる痩せなど、悩みはそれぞれですが、辛いと感じている患者さんが多くいます。

いつまで続くかわからない治療や再発による絶望感を感じている患者さんも多くいます。

よって、看護師は、患者さんの話を良く聞き、ストレスを発散できるコミュニケーションスキルを習得しておく必要があります。その言葉の一つ一つが現す悲痛に対し、どうすで場少しでも安楽になれるかと思考を凝らす姿勢も必要とされます。

輸血や特殊治療薬の薬剤管理

血液内科では、特殊な治療薬を利用する事が多くあります。

一つ一つの薬剤管理法や、取り扱い方、凍結製剤の融解法、その薬効と副作用についての理解が必要です。

まとめ

辛い治療を支えるサポーターとしての役割が重要となる血液内科での看護は、患者さんの苦痛や悲痛に応えられる寄り添える看護姿勢が必要ではないでしょうか。

また、長期療養により、不安や恐怖を抱えている患者さんの不安や疑問に応えられる一つ一つの疾患や治療への知識を充分に持っておく事が必要です。

これらの知識や態度により信頼関係を構築し、効果的に前向きに療養できる事を支援する事が看護師の役割です。