人工臓器は、人工内耳、心臓の人工弁、人工血管、人工関節などがあり、内臓、感覚器、運動器系に関わり、その治療により機能回復や疾患の治療が行われます。

そして、その中でも内臓系の移植に関わる治療では、人工臓器の置換術や生体移植術があり、その機能回復を持って内臓疾患の治療がなされます。

今回は、内臓器系の人工臓器置換術や、生体移植術に際する看護師の必要知識や技術について理解を深めましょう。

必要な看護技術・知識

人工臓器・移植外科では、臓器移植を治療目的として入院治療がなされます。

よって、移植術に関する知識やその治療の特殊性を理解し看護師の業務に当たることが重要です。

命に関わる治療と、その後のケアが生命を左右しうる状況が多々ある為、専門的な知識や技術を持って、慎重に治療や観察、看護ケアを成す必要があります。

移植術後の観察技術

観察という事は、くまなく患者さんの状態を見て、その異常や異変を察知する事です。

移植を行った患者さんは、合併症や拒絶反応により生命の危機にひんする場合があります。

正しいバイタルサイン測定技術と、そのアセスメント力を弁え、異常早期発見に努められる知識や技術が必要です。

血圧変動を観察し、術後出血による障害を来たしていないか、またガーゼ汚染を観察し異常出血や縫合不全を来たしていないかの観察を行います。

また、熱型や状態観察にて術後感染症が無いかを観察したり、拒絶反応を起こした際の症状を認識しておきショック状態や拒絶反応に対応できる知識が必要です。

ドレーン管理法

移植術を行った患者さんは、その臓器の手術による侵襲から出血をしたり、術中の洗浄液などの貯留を解消するためにドレーンを挿入して手術が終了します。

また、ベッド上安静や水分出納チェックのために膀胱留置カテーテルが用いられたり、絶食による経管栄養を余儀なくされたり、酸素吸入によるマスクやカニューレを装着する場合が多くあります。

よって、ドレーン管理法や固定法、その環境調整や、一つ一つのドレーンやチューブの取り扱い法を知っておく必要があります。

また、その一つ一つの清潔保持方法や、ガーゼ交換、再固定法などを技術として弁え、抜けや異常を来たさないようケアを行う必要があります。

生活指導法の知識

なによりも、手術後の生活法に注意を要する移植手術です。

看護師は、正しい療養法を整え、術後経過が良好であるよう支援したり、自己管理できるよう生活指導を行います。

よって、移植手術を受けた患者の必要支援技術と、、その自己管理法に関する指導すべき事項の知識を要します。

術後、免疫抑制療法を行う患者さんの易感染性を考慮した看護ケアや、感染予防できる患者指導を実践します。

術後半年は、生ものの摂取を控えたり、内服管理について、仕事や活動強度などの指導等を行えるよう看護師自身の知識付けが必要です。

清潔ケア

移植術前後は、免疫を強く抑制し、移植後拒絶反応の出現予防に関する治療を行います。身体の清潔保持が重要なケアとなります。

皮膚状態の清潔と、膀胱留置カテーテル留置中患者の尿路感染予防のための陰部の清潔、点滴ルートや刺入部の感染予防のための清潔操作など、何が感染の原因となるかが分からない免疫抑制中患者の清潔保持支援技術が必要です。

毎日の全身清拭や陰部洗浄、環境調整による空調や身辺環境の保清、トイレや排泄物うの管理なども含まれます。

まとめ

人工臓器・移植科での治療は、患者さん自身の不安や恐怖を感じる場面が節々にあります。

看護師は、正しい情報提供と入念な観察により、患者さんの身体的変化と精神的変化を充分に捉えられる力が必要です。

治療が辛すぎて、治療意欲を無くしたり、居来る意欲を無くしてしまう患者さんもいます。辛いことを辛いと言えず、ただただ気丈に耐えている患者さんもいます。

患者さんの心の支えとなり、病気を克服し、退院できる事を共に目指せる姿勢や態度で、患者さんの心のよおりどころになれることも人工臓器・移植科での看護では必要です。