ストレッチャーでの寝たままの移送を経験する看護師は多くないかもしれません。

意識があっても、意識が無くても不安や恐怖が募ります。

それは、見えにくい、何が起こっているかが分かりにくいという状況、動くと落ちてしまう、怪我をしてしまうと言う不安があり、その移動中は自分でどうにもできない状況である為です。

また、ストレッチャーを活用する患者さんは、自分で動くことができない意識的な問題のある患者さんや救急で運ばれてきた患者さん、認知症で安全に動けず移送に介助が必要な患者さん、手術や検査により活動制限や移送に介助が必要な患者さん等がいます。

その方の状況は異なりますが、命の危険、意識の混迷や認識力低下、手術等の不安など移動以外に心配事を抱えている患者さんばかりです。

その不安に重なり、人に移動を任せなければならない状況は、患者さんにとって精神的苦痛が多いと言えます。

よって、患者さんの安心できるストレッチャー移送技術の習得が必要です。

ストレッチャーを利用する患者さんの特徴

・手術後間もない、カテーテルやドレーンの入った患者さん

・長期臥床状態で四肢筋力低下を来たした患者さんや寝たきり状態の患者さん

・急病や事故などによる意識状態の悪い患者さん

このように身体的にも社会的にも弱い立場の患者さんがストレッチャーを活用する事が多いです。

ストレッチャー移送の方法

・看護師は数名必要で、その方法により2人~4人が必要です。

・移送の為の場所を確保し、周囲の環境を広めにとります。

・平行移動が最も短い距離で、患者さんと看護師両方に安楽な方法です。

・まず、ベッドの高さを看護師の腰辺りまで上げ、高さを調節します。

安楽な方法として使えるのが水道用マットの活用です。

患者さんを側臥位にしマットを背部に挿入し、患者さんを仰臥位に戻してストレッチャー方向に引く方法が、看護師のも患者さんにも負担が少ない方法です。

移動の際は、患者さん腕を内側に組ませ、下肢のどちらかを上に重ねコンパクトにした状態を行います。

すると、患者さんの身体がまとまり、担ぎやすい姿勢がとれます。

三人で抱えて移動する場合は、ストレッチャーの頭側がベッドの足側に来るよう設置し、斜めの角度で位置させます。

また、三人移送の場合も患者さんの体はコンパクトにまとめます。

必ずストッパーがかかっているかを確認します。

頭部から背部、背部から臀部、臀部から下肢を一人一人が担当し、掛け声を持って患者さんを持ちあげます。

持ちあげる前に、患者さんに体が浮くことを話し、不安が無いよう配慮します。

持ちあげ動く時は、足側の看護師から動くと速やかな移動が出来ます。

患者さんを下ろす時は、声をかけ、臀部から下肢、下肢から頭部の順にストレッチャーへおろします。

ストレッチャー移送の注意点

まず、ストレッチャーの物品自体に異常が無いかどうかの確認を行います。

車輪やストッパー、体を置く面の耐久性、安全策の状態を確認します。

そして、移送中の患者さんの表情や動き、疾患的な症状の観察を行い異常早期発見に努めます。

そして、移動には足元からの全身を行い、患者さんの頭側にいる看護師が状態観察を行います。

振動や急な発進や停車に注意し、不安を与えない工夫を行います。

坂道を登る際は、頭が低いと不安や気分不快の原因となる為、頭からの進行を行います。

まとめ

安全なストレッチャー移送について理解できましたか、患者さんは寝たまま移動する事に不安を感じています。

低下くな状況の説明や移動方法の説明、安心できる言葉かけを持って不安に対処する配慮を行いましょう。

また、一度ストレッチャーでの移動を経験しても良いかもしれません。

進行方法が見えない不安や、こんな時どうしても貰いたいとケアのポイントに気付くことが出来るでしょう。

なにより、転倒や転落、移送時の身体損傷に気をつけ、細心の注意と観察で安全な移動を介助したいものです。