統合失調症の理解

統合失調症とは、主観的症状と客観的症状の入り組んだ非常に複雑な疾患です。

環境面と素質面が1:2というリスクの割合も、100人に1人という罹患率も、高血圧や糖尿病など一般的な生活習慣病とほぼ同率です。維持療法の重要性もそれらの疾患と似ており、「ありふれた」「慢性的に経過する」疾患という認識がとても分かりやすいと思います。

統合失調症の原因

統合失調症の原因ははっきりとしていませんが、ドーパミンの過剰や前頭葉の形成不全および機能低下、グルタミン酸の不足と言われています。

統合失調症の症状

  • 陰性症状
  • 自閉や抑うつなど、内に篭りがちな様子を示す症状です。意欲が低下し、感情も鈍くなっていますが、反面、周囲の人の言動や行動は理解しており、些細なことで傷ついたりと陽性症状も消えているわけではありません。一見、無反応に見えても神経は繊細に反応します。

  • 陽性症状
  • 幻覚や幻聴、妄想に代表される症状です。自分の知らないところで「~させられる」、思考や財産を「奪われる」、という被害妄想的なものから始まり、重度になると思考や言動、行動が支離滅裂になり理解が難しくなります。

  • 病識のなさ
  • 病識がないのも統合失調症の典型的な症状です。幻聴や幻覚など全ての症状が薬物療法や入院によって改善する、と本人に理解してもらうことが難しくなります。

治療

  • 抗精神病薬
  • 過剰なドーパミンを抑制する作用をもちます。パーキンソン病様の症状が出るなど、数々の副作用があります。

  • 多剤併用
  • 従来の薬物療法は、抗精神病薬の処方のほか、不安に対して抗不安薬、不眠に対しては睡眠促進薬など複数の薬剤を併用することが一般的でした。それによる複雑な副作用、副作用に対する更なる薬物投与と処方が煩雑になりがちでしたが、最近ではできる限りシンプルな処方でという考えが主流です。

  • 薬剤以外の治療
  • 慢性期では薬物療法の継続とともに、リハビリも重要です。一つのことを成し遂げる思考と行動の再構築を行い、段階を踏んで、デイケアなどで社会性を高めます。

    急性期を脱しても、少しの刺激やストレスで憎悪や再発の危険があるため、看護師には常に先回りの対応が求められています。