血管造影室(アンギオ室)で働く看護師のメリット

疾患への専門力が身につく

●血管造影検査で調べること
造影剤を流し込むことで、おもに血管の状態や血液の流れがわかる検査です。X線撮影によって血管がせまくなっている部分や詰まっている部分のほか、腫瘍へ栄養を送っている血管も確認することができます。

●疾患に関する知識
動脈造影検査と静脈造影検査のそれぞれで脳や胸部から腹部、手足の血管について状態を調べることができ血管障害や腫瘍、外傷によって受けている障がいの程度なども確認することができます。それを通じて、関連する疾患に関して専門的な知識を高めることにもつながります。

●具体的にわかる疾患
脳血管障害ですと脳動脈瘤や脳動脈硬化のほかくも膜下出血、脳梗塞などが挙げられます。がんについても肺のほか肝臓やすい臓、子宮に加えて泌尿器系から骨までがわかり四肢血管狭窄といった手足の血管障害なども確認することが可能です。

●疾患の情報から得られる知識
果たすべき役割こそ勤務先によって異なりますが、血管造影室で専門的に従事するということはあまりなく病棟勤務の一環として業務に組み込まれているケースが多くなっています。そのため血管造影検査が日常的に行われている病棟で勤務することによって疾患の状態や重症度なども把握しやすく、治療や看護の方法などといったくわしい知識や技術も身につける機会があります。

ケアに関するスキルが身につく

血管造影検査は患者さんに少なからず身体面、精神面での負担を強いるものです。そのために、心身両面のケアを十分に行うことが求められます。

●万全の状態で検査へ臨む
実施前の段階で患者さんへ検査の目的について十分な理解を得て、その時間までには心身がリラックスした状態で準備を終えていることが求められる役割です。

苦痛をともなう検査であることから恐怖によってパニックを起こす人もいるため、問題のない状態で予定通り検査へ向かわせるにあたっての落ち着いた対処は腕の見せどころでもあります。

●個別性を見極める
たとえば落ち着きがない患者さんであれば検査中に動くことが危険ですから、その危険性について説明するとともに動かないよう説得しなければなりません。

それだけでなく個々の患者さんに関して薬物アレルギーなどの有無といったリスク評価を行うことも必要であり、経験とともに高められていくスキルは将来的にもさまざまな状況下で役立てることができます。

血管造影室(アンギオ室)で働く看護師のデメリット

スキルの偏り

●異動後の弊害
血管造影室の専属というかたちで働くことになると、ほかの看護業務からは離れてしまうことになります。たとえば専属スタッフとして一定期間勤務してからほかの部門へ異動するということになれば、せっかく専門性の高い技能を身につけたにもかかわらずそれを活かすことが難しくなるといったことも考えられます。

●転職活動の幅
血管造影室が多くの病院に設置されているというわけではないため、身につけたスキルが十分に活きる現場で働きたいとあらたな職場を探す場合には就業先の選択肢がせまくなってしまうところもあります。どのような分野であってもスキルを高めることが無駄ということは決してありませんが、看護師として幅広く活躍したいという方向性であれば適していないかもしれません。

X線の危険性

血管造影室ではX線が使用されるために適切な距離や遮蔽、室内での滞在時間などを誤るようなことがあると被曝してしまうリスクがあります。基本的にどこの病院であっても安全の確保に注意は払われていますが原則として自己責任であり、十分な知識を持っていなければなりません。