身に付くスキル

血管造影室は、おもに高度な血管内治療を行う際に用いられることが多い場所です。配属されている看護師についても高度医療へ対応することのできる技能が求められるため、通常は病棟での勤務などでもある程度の経験によって高いスキルがある人員を配置する傾向があります。

血管造影検査を受ける患者さんに対して身体的、精神的なケアにあたることが中心ではあります。ただ病院によってはそれとともに、カテーテルを使った血管内治療にもかかわる場合があります。

●実践を通じて身につくスキル
現場では心臓疾患のほか脳疾患、消化器疾患などに関する検査や治療を経験していきます。その中で関係する専門的な知識、看護技術などを自分のものとすることができます。

例えば、動脈硬化などによってせまくなっている血管を広げるほか動脈瘤へ血液が流れ込まないようコイルを詰める、がん細胞へ栄養を与える血液を遮断するなどといった治療が行われるとともに血管塞栓術、血栓溶解療法といったケースもあります。

カテーテルによる手術という高度な治療を間近で見ることから血管や血液の流れに関する知識、治療法に応じた効果の高さなどといった知識が身につきます。

●観察力のアップ
血液造影検査に際して血管内へ造影剤を注入する行為は侵襲も大きいものであり、検査中の副作用や検査後の合併症といったことも決して珍しくはありません。そのため検査前のリスク評価や検査中、検査後の注意深い観察によって確実に状態を見極める力は高まります。

●緊急時の対応力のアップ
観察を通じて、何かしら異常の兆候が見られる場面もあります。そこでは何より素早く対処することが求められ、看護師としてのレベルを引き上げることにもつながります。。

関連資格(スキルアップ資格)

たとえばがんの患者さんをケアするとなれば、がん化学療法看護の認定看護師資格を持っていると専門的に現場でそれを活かすことができます。ただ、同じように血管造影室という現場で活用することのできる直接的な資格というものはありません。

しかし、脳卒中や心筋梗塞など、血管造影検査を必要とする疾患を持っている患者さんに対して専門的なケアを行うための資格は役に立ちます。そもそもが専門性の高い医療を提供している場ですから、認定看護師や専門看護師といった上位資格には活用することのできるところが多々あります。

救急看護認定看護師
実際に現場で勤務している看護師が資格の取得を目指しているケースも多く、人気の高い傾向があります。ほかの救急看護でも活用することができますから、資格を持っていることによる利点もあるのです。

血管造影検査には、緊急事態がともなうことも少なくありません。そのため看護師にも患者さんのことをしっかり観察するとともに異変がないかどうか的確に判断する力が求められることから、専門資格の知識が活きることになります。

●そのほかの認定看護師・専門看護師
認定看護師ですと集中ケアに加えて感染管理、手術看護のほか脳卒中リハビリテーション看護や心臓領域のインターベンションエキスパートナースなどといった分野が実務に関係します。

専門看護師では急性・重症患者看護や家族支援、在宅看護といったところが活きてくるでしょう。

リハビリ関連の専門資格

循環器系の疾患であると、後遺症をともなうようなケースは少なからず発生します。そのため重篤化を予防する目的のモニタリングやケアといったところで、心臓リハビリテーション指導士などの資格を役立てることができます。

血管疾患や心疾患を発症することによって、各部の機能低下は避けられません。それだけでなく患者さんにかかる身体面や精神面のダメージも大きなものとなりますから運動療法や食事療法、心理カウンセリングなども交えて包括的なリハビリを指導することができれば大きな力になるのです。