一般的に女性社会である看護師の私たち。それ故に残念ながら、人間関係の問題からイジメに発展してしまうケースを見たり経験した方もいるのではないでしょうか。

病院ではイジメやパワハラといった人間関係の問題を解決するために相談窓口を設置したり、職場の環境改善のためのなんらかの働きかけを積極的に行われていますよね。

これからクリニックに転職を考えている方は、十分な対策がまだまだ取られていない現実から不安を感じている方も多いのではないでしょうか?

そして、今実際にクリニックで働きながらイジメ被害にあっている方もいるでしょう。

そこで、クリニックでのイジメの特徴と、イジメを解決するためのポイントをアドバイスをしたいと思います。

クリニックならではのイジメの特徴と発生原因

和を乱したことが原因でイジメに発展

クリニックは少ない人数のスタッフで運営されています。良く言えば「アットホーム」ですが、悪く言えば人間関係が密になりやすいのです。

人間関係が良いクリニックであれば、アットホームで和気あいあいと明るく楽しい、働きやすい職場になりますよね。

しかし、イジメがあるようなクリニックの場合、スタッフ数が少ないがゆえに逃げ場がなく最悪孤立しかねません。そうなると、仕事がしにくいだけでなく精神的にもまいってしまうでしょう。

ではどうして、人間関係が密になるとイジメは生まれるのでしょうか。

それは、小さい女性のコミュニティーであるからといえます。さらに女性は男性よりも、同じであることを望み仲間意識が強いことも関係しているのでしょう。

よく「流行りもの」って女子中高生を中心に広まっていきませんか?彼女らが良いと思ったものをどんどん仲間を増やしてはやらせ、世間のブームになってしまうくらい女子の影響力がありますよね。

これと同じで、女性が多いクリニックでは仲間意識も強くなり「和」が生まれます。そして「和」を乱されるのを嫌う傾向にあります。

少人数であるがためによりこの仲間意識、「和」をより強く求める傾向にあるといえるでしょう。

この「和」を乱すというのは、業務に支障をきたすことです。

例えば、「相手がミスをして業務の中断をされた」、「遅刻が多くほかのスタッフに仕事の量が増える」など、スタッフが作り上げてきた仕事の和を乱す何らかの行為が続いたときに、「協調性のない人=仲間外れ」とみなされ、いじめが始まってしまうのです

感情に流されやすい職場環境

私が以前勤めたクリニックでの話です。

その日、医師に「採血と採尿とってからレントゲンにいってもらって」と言われました。

しかし、私はレントゲンの方が空いていたので「先にレントゲンに行きます」と医師に告げて案内したんです。

そうしたら医師はレントゲンを先にした理由を言わなかったことが気に障り、「医師の指示がないと仕事ができない看護師は、言うこときいてろよ」と怒鳴られ傷ついたことがあります。

しかし、どうやら私は、説明不足が続いていたようなんです。

そこにイライラした先生は、診察室に私と先生だけという人目もないことも相まって怒鳴ってしまったそうです。(後から「言い過ぎた」と謝ってくださり、私も言葉が足りないことに気付くことができました。)

このようにクリニックは少人数で運営している分、人目に付きにくく、忙しかったりイライラすればするほど感情に流されやすい場所です。

そのため、些細なできごとがきっかけで突発的なイジメが始まってしまうこともあるのです。

クリニックでのイジメ対策3つのポイント

ここまで、クリニックのイジメについてお話ししましたが、これからは今まさにクリニックでのイジメに困っているあなたへ対策をアドバイスします。

その1:小さなミスや失敗など「和」乱すことを繰り返していないか見直そう

私が実際クリニックでいじめにあっていた友人から受けた相談を2つご紹介します。

友人Aは3回目の遅刻をきっかけにイジメが始まったそうです。自宅から職場のクリニックまで電車通勤で約1時間近くかかり、朝の通勤ラッシュもあり3回とも電車の遅延が理由だそうです。

しかし、クリニックの職員にとっては少ない人数で運営していますから、電車の遅延という理由であるにせよ、当日急に遅れてくることは残りのスタッフに多大な負担をかけることになります。

しかし友人Aは「電車の遅延なのだから仕方がない」と思っていて、遅刻に対する対策は特に取っていなかったんです。

友人Bは、整形外科の病棟経験もあり、整形外科のクリニックに就職しました。特に業務上のミスもなく仕事もこなしていたのですが、ある日からイジメが始まったといいます。

学会などでも看護論文を発表していた友人Bは、院長先生から入職当時から信頼おかれていました。

ほかのスタッフからは、どうも院長と2人で整形外科の最新治療など専門的なことを話す友人Bを妬ましく思いイジメに発展してしまったようです。

ここまで友人らの話を聞いて、どうでしょう。正直「それ、まずいよ!?」と思いませんか?

クリニックという女性社会、少人数によるスタッフ運営を考えると「和」を乱すことは避けたいところです。

友人Aは1度目の遅刻の時に「二度と遅刻はしない」と覚悟し、もっと早く家を出たり、路線を変更するなど対策を考え実行することが必要であったと思います。

友人Bも入職当初から院長のご贔屓にあっていたら、誰でもいい感じは受けませんよね。

友人Bは「院長先生が勝手に話し始めるからしょうがない」と話していましたが、2人で話すのではなく、先輩方を巻き込むなど対策をとっていくべきでした。

今イジメに悩んでいる方は、何か和を乱すことをしていないか振り返ってみてください。しかしそのことは「仕方のないこと」と思うことかもしれません。

そこで一度いじめる側の立場になって考えてみると、イジメをする側の気持ちもわかり、何らかの対策方法が頭に浮かんでくるはずです。

その2:口角をあげて目線は相手のおでこをみて挨拶

イジメを受けていると気分も下がって、口の開きも小さく声もぼそぼそ、目線も下がってしまいますよね。いじめを受けてる人の顔も見るのもつらくなってしまうかもしれません。

しかしこの目線や口調では、はたから見ると「嫌なんだな」というのがダイレクトに伝わってしまうんです。

このような態度では、自分から「このクリニックの人たち嫌なんです」と表現しているといっても過言ではありません。自分から仲間から外れる行動をとってしまっているのです。

まずは「おはようございます」「ありがとうございます」「お疲れ様でした」「おねがいします」この4つから口角をあげて目線は相手のおでこをみて、言ってみましょう。

こうすることで、言葉ではなく態度で「敵意はないこと、相手を慕っていること」を伝えることができます。

そして慣れてきたら「相手を頼りにしていること」(ex. ○○さんに△△を教えてもらったおかげで、今日はすぐにできたんです。ありがとうございます)を目を見て言ってみましょう。

相手はあなたを認めてくれてイジメはなくなってきますよ!

その3: 誰かに話をきいてもらおう

イジメを受け辛い思いを一生懸命抱えている状態で、先に話した口角あげて目線を上げて・・・なんて難しいですよね。それは、心が疲れているサインです!ぜひ、誰かに話を聞いてもらいましょう。

話を聞いてもらったところでイジメはなくならないじゃないかと思うかもしれませんが、誰かの話すことで張りつめた心の糸は確実に緩めることができます。愚痴でもいいんです。もし同じ職場で話を来てくれるような人がいるならその人に思いを打ち明けてみましょう。友人でも家族でも、とにかくつらい思いをうちあけてみましょう。

人に話すことで、心が癒えるだけでなく新たな気づきも得られることがありますよ

私の場合ですが、勤めていたクリニックで「イジメかな?」と思ったことがあり、なかなか相談相手もおらず親戚に話をしたことがあります。

しかし傾聴どころか説教されてしまい、余計に悩んでしまったことがあります。

私のような適切な相談相手がなかなかいない方には外部の相談窓口をおすすめします。

最後には転職という道もある。自信を持って進もう!

イジメはあってはならないものです。たとえイジメられているからといって自分を責めないでくださいね。

本来ならばいじめるのではなく、「和」を乱していることを教えてあげて一緒に対策を考えてあげるべきなんです。

いじめられても「自分を振り返るきっかけをくれたんだ。ありがとう」とだけ捉えて、職場を出たら忘れるくらいの心持ちでいるのがいいですよ。

人間関係の問題において「相手を変えるにはまずは自分から変わること」というように、いじめに関しても同様です。

まずは、いじめ対策3つのポイントを実践して、自分から勇気を出して変わってみましょう。この自分を変える経験は絶対あなたの人生のプラスになることでしょう。

しかし、イジメによって心が疲れ、自分が変わる元気も底をついてしまった方もいることでしょう。また、その職場にいることで何らかの身体症状が出ている方もいることでしょう。

職場の環境問題がクローズアップされる昨今では、クリニックでも職場の環境問題に力を入れる医師が増えてきています。

自分にあう職場は必ずありますから、転職も念頭に入れてみてください。