クリニック・個人病院で働く看護師の子育て環境は、各医療機関ごとの差が激しいという特徴を持ちます。民間経営のクリニック・診療所・個人病院は、経営者によって方針が異なりますし、実際の待遇も違う上、福利厚生の面でも充実ぶりが違うからです。

個人病院における子育て支援体制の例

看護師の離職の理由の大半は、妊娠、出産、子育てに繋がっており、離職を防ぎ、人材の流出を防ぐ上で、病院側の子育て支援が重要になってきます。

看護師の離職率を実際に抑えた実績を持つ病院の中に、麻生グループの飯塚病院があります。飯塚病院では院内に保育施設を完備し、夜勤のナースが働きやすいように24時間お子さんを受け入れています。

お子さんのために勤務時間を短めにしたりと多様な勤務形態へ変化させ、育児休暇を取得した人への復職支援を惜しみません。変則性の2交代制を導入することで、ロング日勤などを実現しました。その上で日勤専従や夜勤専従へ変更可能です。

こうした取り組みの結果、離職者数は激減し、10パーセントを割り込み、現在は7パーセント代まで減っています。病院側が積極的に子育て支援を行うことで、離職者が激減し、子育て環境に悪影響を及ぼさずに済む好例となっています。

クリニックの短時間正職員制度

問題はここまで大規模な子育て支援が出来るのは、経営の規模大きな民間病院か、自治体の支援を取り込める公立病院に限るという点です。

規模の小さな診療所やクリニックの場合、最初から子育て支援を体制に組み込んでおかないと、子育て支援へシフトチェンジすることが難しくなり、実際に初期の段階から子育て支援に力を入れてきたクリニックは制度も整っています。

例えば、短時間正職員制度が良い例でしょう。始業時間と勤務時間を自由に選べ、短時間の勤務でもパートではなく正職員として扱われる制度です。パートの勤務時間と正職員の待遇の組み合わせにより、子育て中の看護師が子供との時間を取りやすい環境を整えています。

2007年から多様な勤務携帯の導入を行い、働き続けられる職場づくりの一環として、短時間正職員制度が導入された背景を持ちます。従来はパートタイマーと正規職員の均等化を進めていった結果制度で、現在は子育て支援の一環として導入する病院が増えています。

子育て支援を掲げているクリニック、個人病院でも、かなりの確率で短時間正職員制度を導入しています。こうした子育て支援を整えた職場は自然とママさんナースが多く、子育てへの理解が深いのが特徴です。

実際に仕事を休まざるを得ない時も、職場での人間関係が悪化せず、応援してもらえるという精神的なメリットがあります。安心して子育てが出来れば、離職率が下がり、病院側に負担をかけることもなくなるでしょう。