大学病院で勤務しながら子育ては可能なのか?

子どもを持つお母さんにとって、子どもを育てながら仕事も続ける事が出来るかどうかという点は、重要な問題です。看護師の資格を持っているから働きたいものの、子どもがまだ小さいために子育てをしやすい環境が整っているところで働きたい…という人は少なくありません。

大学病院という場所は、一見すると子育てにはあまり向いていない職場であるようにも思われます。24時間体制で治療が行われているため、夜勤や残業なども避けることはできません。

子育てに対する家族の理解、職場の理解

そのため、まずは家族からの理解と協力を得られることが大学病院で働くための大前提になるでしょう。また、家族の理解と同様に大切な点が、職場での理解が得られるかということです。

そこでは病院で働いている看護師のうち、独身者はどのくらいで既婚者はどのくらいかという割合も重要な要素となります。既婚者で子どももいるという看護師が多ければ、それだけ子育てに対して理解があることも多いですし、逆であれば理解してもらうのは厳しいかもしれません。

仕事をするときには、そのあたりの割合を調べてみることも必要になってくるでしょう。

職場の院内保育の有無

大学病院の多くは、夜勤の間に子どもを預かってくれるという24時間保育所があります。病院の敷地内や病院からほど近いところにあるので、仕事の始まりと終わりに合わせて迎えにいくことも可能です。昼間は幼稚園に行き、夜はそういった保育室に行くという二重保育を受けている子どもも少なくありません。

また、子どもが熱を出したなどの急病に対応するため、病児保育を行ってくれるサービスを導入している病院もあります。子どもはいつ病気になるかわからないものですから、そういったサービスがあると安心するという方も多くいます。

それに関連して、「子供の介護休暇」を導入している病院も最近では増えてきました。看護師の仕事をしていると、子どもが病気になった時くらいそばにいてあげたいという気持ちがわかるようになるものです。

そういった気持ちに応えてくれる制度があるという事は、安心して子育てをしながら仕事をするための条件になります。

育児休暇の導入

ある大学病院では、子どもが3歳になるまで休暇を取ることができます。子どもが小さいうちは子育てに専念したいという方にとっては嬉しい制度です。

それだけでなく、勤務時間を短縮する制度が設けられている病院もあります。例えば、子どもが小学3年生になるまでは短時間勤務をする事が出来る等の制度がこれにあたります。子どもが小さなうちは、学校の行事なども何かと手がかかるものです。

短時間正職員制度

そのほかに最近注目されている制度としては、「短時間正職員制度」が挙げられます。これは、時短勤務や週3日勤務であっても正職員としての待遇を受けられる制度です。

したがって、社会保険の適用、退職金、昇進・昇格、福利厚生などについては正職員と同じ規定が適用されます。出産や子育てなどのライフイベントがあっても、ブランクを空ける事なく働き続けることを目指して考え出された制度です。

全国の医療機関においては、およそ2割で導入されているという状況です。

この制度は24時間保育所の設立、育児休暇の導入等のような子育て援助のための制度と一緒に提供されているものである為、単体での効果についてはわかりません。しかしながら、看護師が子育てをしながら働くという事だけを考えると、一定の成果を上げているようです。

子育てをしながら働くというのは、口で言うほど簡単なことではありません。家族や周囲からの理解が得られず、苦しむこともあるかもしれません。

しかし、用意されている制度をうまく活用して子育ても頑張っていく事が出来るのであれば、それはそれで何物にも代えがたい経験になるでしょう。