口腔外科や手術を行う歯科では、手術や治療介助などの看護師の出番があったり、看護独自の患者さんと関わるスキルを求められたりすると言った場面があります。

なかなか歯科で働く看護師の求人は見当たらないものの、看護専門職として独自の機能を活かし、活躍する歯科や口腔外科の現場もあるようです。

では、歯科で働く看護師に必要なスキルや関連する資格について理解し、未だ見ぬ世界への興味を探ってみましょう。転職を考える看護師の方の選択肢の一つにもなりえるような魅力がありそうです。

歯科看護師になると身につくスキル

歯科は看護師としての力や経験を活かしつつも、あらたにまた異なるスキルを身につけることのできる場であるということができます。

歯学という領域は今の日本において医学から独立した存在であるため、特に医療機関で働く看護師にとっては一口に同じ医療機関といっても特殊な分野となるのです。

口腔ケアや摂食・嚥下に関する専門力

●摂食・嚥下
歯科看護師が働く大学病院などの口腔外科や総合病院の歯科などでは抜歯だけでなく嚢胞や顎下腺の摘出、舌の腫瘍摘出に加えて口蓋裂の治療などもしていて手術も多く行われています。

手術の前後には食べ物を口に入れることや飲み込んで喉へ送るようなことも難しくなるため、そこで患者さんが安全に食事するための管理や訓練などを担当することになります。

●口腔ケア
口は食べ物を摂取する上でなくてはならない器官であり、そのケアは誰にとっても健康を維持するために欠かすことのできないものです。

こうした知識や経験は、高齢化が進むにつれてニーズも高くなってきている老人看護にも不可欠なものであり重要性を増しています。

接遇力

特に外来ですと、複数の患者さんに対する治療が同時進行で行われています。こうしたことは、ほかの診療科ですとなかなか見られないものです。

また、次々に進んでいく治療の中であってもそれぞれの患者さんについて全身から口腔内までの状態、治療内容をもスピーディに的確に把握しなければなりません。

それとともに少なからず待ち時間などもある患者さんをフォローしつつ、接遇する力も身につけることができます。

さらに、美容目的の審美歯科の場合、サービス業としての側面もあります。患者さんのニーズをくみとりながら、適切に対応する接遇力を磨くことが可能です。

感染症関連の知識

歯科においては、唾液や血液にふれる機会も多くなります。そのためそこから起こり得るような数々の症状について防止し、また予防する上での専門知識が深まります。

歯科看護師の関連資格

摂食・嚥下障害看護認定看護師

日本看護協会によって、認定されている資格です。患者さんの摂食・嚥下に関して、エキスパートであることを証明する資格でもあります。

摂食・嚥下の状態について評価し最適な訓練を実施し、窒息や誤嚥から引き起こされる肺炎、食べることができないための脱水や栄養低下なども防止します。資格を保持していることで、歯科においてもより高度で専門的な看護を行うことが可能です。

老人看護専門看護師

こちらも日本看護協会によって、認定されている資格です。高齢になると嚥下障害を生じる患者さんも増加するため、老人看護分野の知識や技術も歯科の実務では活かすことのできる余地が十分にあるのです。

老人看護では嚥下障害のほか認知症などといった複雑な健康問題も鑑みてQRLを向上させなければならず、看護に専門性を持たせる上でも有効な専門資格です。

ある程度歯科看護師として経験を積んでから、さらなるキャリアップを考えるといったときに役立てることができます。

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会によって、認定されている資格です。学会の会員になっていて、定められている学習プログラムを受講すれば認定が得られます。

学会員には年齢や性別、職業を問わずなることができ学習プログラムはインターネットを活用したe-プログラムで受講しやすくなっています。摂食・嚥下についてスキルアップを図りたいというときに、専門性を高める上で適している仕事です。

まとめ

歯科で働く看護師の必要なスキルは、もしもの時の患者さんや他のスタッフの安心できる救急対応や、処置が出来る能力が重要です。

これが出来なければ、歯科で働くスタッフとして、本当に歯科助手と変わりがなく、専門職としての魅力がないと言えるでしょう。

また、特に初めから求められるスキルと言うものはなく、歯科衛生士や歯科助手に必要なスキルを学ぶ姿勢といったものが求められます。

時に、看護師としてのプライドを捨て教えてもらっているということを弁えて、協調して仕事を行うことも必要となるでしょう。

また、歯科看護師として身につくスキルとしては、言葉遣い、マナー、身体の健康な患者さんと関わると言うことから、日常生活にも活かせるコミュニケーションスキルや、対話能力を習得すると言う利点があるでしょう。