放射線科での看護師の役割は、大まかに放射線によって検査を行う画像診断部門と治療部門である放射線治療科とに分かれます。

従来のイメージであれば、本来の放射線科の役割は前者で、医療技術の進歩と共に後者の役割が付け足されてきました。どちらの看護師として働くかは、放射線治療科の有無など病院によって異なります。

画像診断部門(一般的な放射線科)

まず放射線科で働く看護師の仕事内容のうち、従来の画像診断部門について、レントゲン造影、消化管造影、血管造影、SPECT、CT、MRI、PET、超音波検査などを行います。

これらの仕事は、放射線技師や放射線科医が主体となって行い、看護師の仕事は意思や技師と連携し、手助けをすることです。具体的には検査前の各種検査器具を準備すること、検査の前後に患者さんとその家族に対して検査内容を説明し、納得してもらうことです。

放射線科における看護師の役割は重要で、こうした説明役がいないと患者さん自身が不安になり、最悪の場合検査に悪影響を及ぼしかねません。身近な存在である看護師が検査内容を伝え、検査の重要性について説くことで不安要素を取り除いていかなくてはならないのです。

こうして、ナースが患者さんとその家族と接することにより、放射線科の信頼を損なわず、患者さんとその家族の信頼を得て、十分な検査と治療を受けられるように橋渡しをする役割があります。患者さんとその家族が放射線への誤解があれば、それを解き、メリットとデメリットについて説明することもあります。

このように、実際に検査をするのが仕事ではありませんが、放射線科の誰よりも検査内容について知っておくことも仕事のうちです。もちろん医師や技師も説明をしますが、実際の検査の方に意識を取られがちとなるため、検査の補足説明の役割をナースが担います。

検査によっては食事をしないでおく必要があったり、食事制限をする必要が出てくるため、患者さんへの説明は重要な役割となります。日常生活での影響が出ないように技術面の知識を確かなものとし、素人である患者さんに分かりやすく伝えられるよう勉強しておきましょう。これらの検査結果をもとに、放射線治療科や内科、外科など他の診療科で治療する情報源となります。

治療部門(放射線治療科)

次に放射線科看護師の仕事内容・役割のうち、放射線治療科と呼ばれる治療部門の仕事があります。一緒に放射線科・放射線治療科と呼ばれることもありますが、放射線治療科では検査だけでなく治療も行うのが最大の違いです。

放射線の強さを加減し、人体をすり抜けて内部を見ることができ、体内に放射性物質を注入して反応する部位を見ることで検査を行います。放射線治療科においては、放射線を強く照射して、疾患の原因となる部位を除去するのが基本方針です。

こうした治療のほとんどががん治療であり、放射線治療科の役割はほぼがん治療と言えます。手術や抗がん剤治療の前に、もしくは手術や抗がん剤治療と並行して放射線による治療を行います。

年配になるほど放射線に対してマイナスのイメージを持つ患者さんが多く、放射線治療に対して不快感や抵抗感がある人は珍しくありません。ナースの役割はそうした場合を含めて、放射線治療の作用・副作用を説明し、患者さんとその家族に納得してもらうことです。

基本検査部門と役割は同じですが、より深刻に患者さんとその家族の生活に影響するという違いがあります。放射線治療科は技術の日進月歩が激しく、古い知識がすぐに役立たなくなる可能性があり、看護師は医療技術の進歩に常について行かなくてはなりません。

おそらくすべての診療科の中で最先端の医療技術の恩恵を受けているのが放射線治療科です。その分ナース、医師、技師、すべてが最新の知識と技術を持っていなければ、治療に役立てられないのです。治療を受けてからどんな影響があるのか、日常生活に影響するほどの影響力なのか、そうした影響を踏まえて治療の効果について十分説けるように知識を蓄えておきましょう。