精神科・心療内科で働くメリット

コミュニケーション能力の向上

精神科や心療内科で働く看護師のメリットは、確実にコミュニケーション能力が向上するという点です。精神科や心療内科では、患者さんと話すことが仕事の一環であり、患者さんに寄り添い信頼関係を築くのが看護師の役割だからです。

しかも、健康な状態な患者さんはいないため、精神的に不安定な人間を相手にコミュニケーションを図る能力を求められます。看護師はコミュニケーション能力が必須ですが、精神科・心療内科はすべての診療科の中で断トツにコミュニケーション能力が必要とされています。

必要に駆られればどんな人でも能力が上がるように、精神科・心療内科へ転職をするともれなくコミュニケーション能力が上がるというのがメリットです。これまでコミュニケーション能力に自信がなかったナースが転職することで、能力を底上げできるのはほぼ間違いありません。

急性期と慢性期での違い

精神科・心療内科は大雑把に急性期と慢性期の病院に分けられ、慢性期であれば夜勤もなく日勤のみ、外来の仕事のみになります。こういった病院や、入院施設のないクリニックは、生活サイクルが乱れないという理由もあり、転職だけでなく、再就職を考える看護師にも人気です。

逆に急性期の病院の場合、かなり忙しく残業もしっかりあります。また急性期の病院では、患者さんが回復していく様子を分かりやすく見ることができ、看護職に就く者として仕事にやりがいを感じやすいというメリットがあります。

その分給料は高く、残業手当や夜勤手当が期待できます。求人に応募する斉井は、急性期であるのか慢性期であるのかを調べておく必要があります。

精神科・心療内科で働くデメリット

精神科・心療内科の看護師のデメリットは、大まかに2つあります。

物理的な危険性

1つは、メリットである給料の高さについてまわるもので、物理的な危険性があるという点です。精神科・心療内科には危険手当という特殊手当がつき、危険性が付きまとう仕事となっています。

精神科・心療内科の患者さんは感情的になりやすく、興奮状態に陥って暴れることがしばしばあります。患者さん自身が自傷行為に及んだり、周囲の人間に暴力をふるったり、暴走に巻き込まれて医師や看護師が怪我をする危険性があります。そうした場合に対処するため、危険手当がつくのです。

加えて、感情的になった患者さんから暴言を吐かれる危険性もあり、心身の危険にさらされるのが精神科・心療内科における最大のデメリットです。

このデメリットを克服するためにも、心身のタフさが求められます。男性が多く転職してくる理由のひとつがこれであり、男性が転職先として精神科を選ぶ理由となっています。逆に言えば、ある意味女性の転職先としては不向きになっているというデメリットもあります。ただし、看護業界は女性の比率が高いことには変わりませんから、男女比は精々5:5に収まっています。

一般的な看護スキルが身につかない

2つめのデメリットに、精神科・心療内科は医療行為が少なく、看護職のスキルのうち一般的なものは身につけにくいという点が挙げられます。

心療内科の方はまだ医療行為がありますが、精神科は対話と投薬がメインとなるため、スキルアップの機会はあまりありません。その点物足りなく感じてしまい、精神科や心療内科を辞めて、別の診療科へ転職していくケースもあるほどです。

ナースとしてスキルアップを望む場合は、自己研鑽が必要となり、弛まぬ努力によって磨き上げていきましょう。

もちろん上記のとおりコミュニケーション能力という最大のスキルアップは望めます。自分で独自の看護を創りたいというタイプの人に向いているため、一般的な看護を学びたい人に不向きとなっているのが精神科・心療内科の特徴です。