以前勤務していた病院でとても印象に残る先輩看護師がいました。

先輩は当時30代後半でしたがとにかくいつも元気いっぱいでパワフルな人でした。仕事はもちろんテキパキとこなすし患者さんにも優しくて人気がありました。

小学生になる息子さんが二人いて家事や子育てで忙しいだろうに私達新人看護師の面倒もとてもよく見てくれていて憧れの存在でした。

毎日が全力投球って感じでいつ休んでいるんだろうと不思議なくらいでした。先輩と一緒の夜勤になるといつもいろいろ楽しい話をしてくれて自分もいつかはこんな看護師になりたいなと思っていました。

でもあるとき見てしまったんです。それは仕事中用事があってふと普段使っていないリネン室に入ったときでした。目に入ったのはベットの上に大の字になって寝ている先輩の姿でした。

私は見てはいけないものを見てしまったような気がして静かにドアを閉じました。先輩がそこで仮眠していたのは10分もなかったと思います。

その時、あぁ先輩でもやっぱり疲れているんだなと思ったのを今でもよく覚えています。疲れて当然ですよね。家では家事に加えて息子さんたちの世話、仕事も常勤で普通に夜勤もこなしていたんですから。

その頃自分はまだ独身だったので仕事と家庭の両立の大変さは想像するしかありませんでしたが、先輩の姿を見て本当に大変なんだなと思いました。それと同時に普段はそんなことを感じさせないほど人一倍頑張っている先輩を凄い、と思いました。

大変な時に大変だ大変だと連呼するのは簡単ですが、大変さを顔に出さず疲れていても家族や仕事仲間の前ではいつも元気にふるまうのは並大抵のことではありません。

そんなことがさらっと出来てしまう先輩はやっぱり凄くて憧れの先輩でした。だから先輩がまるで電池が切れたかのように寝ている姿は誰にも話さず私の胸だけに大事にしまっておきました。

先輩の秘密の姿を見てから私にはますます先輩が憧れの人になりました。