急に認知症になったようだと頭を抱えて脳神経外科に家族である高齢者を連れてくる患者さんのご家族を見た頃がありませんか?

「認知症の家族を抱えて生活が難しい」「これからどうすれば良いのか」「おじいちゃん(おばあちゃん)を何とか良くしてほしい」と来院されます。

そして、検査を受け診断される内容が認知症ではなく「慢性硬膜外血腫」という疾患であることがあります。

「数か月前に転倒して頭をぶつけていませんか」「数か月前に怪我や事故に遭ってませんか」等と医師が質問します。

この場合、「あぁそう言えば、そんな事があったかもしれない」「こけるのなんてしょっちゅうです」などと返答があります。

慢性硬膜外血腫は、これまで手術で根本治療を行っていましたが、この治療の研究が進み、もっと良い方法が出ていたようです。

では、最新の慢性硬膜外血腫の治療について説明します。

最新の硬膜外治療

ブラッドパッチト言う治療を聞いたことがありますか?

脳内ではなく、脳外層の硬膜外に何らかの衝撃を受け出血を伴い、徐々に週血が広がり、ついには脳を圧迫し頭痛、歩行障害、認知症症状の出現を伴う慢性硬膜外血腫ですが、この治療にブラッドパッチが効果的との報告が上がりました。

これまで、事故後の頸椎損傷などによる低髄圧症候群に行われていたブラッドパッチが、慢性硬膜外血腫にも有効です。

また、慢性硬膜外血腫の患者さんは、特発性低髄圧症候群の併発も考えられるそうです。

これまでの治療とこれからの治療

頭部に小さな穴をあけ、血腫を除去する開頭血腫除去術を行っていました。

しかし、特発性低髄圧症候群を併発する症例において、脳の位置が下がるなどして状態悪化のリスクがあります。

しかし、ブラッドパッチでの治療は自分の血液を硬膜外に注入し、凝固させ、髄液の漏出を予防する方法では、その脳の位置が下がる等のリスクがありません。

しかし、まだ、保健適応外と言うところが治療例が増えない理由です。

慢性硬膜外血腫の基本知識

慢性硬膜下血腫とは、軽い頭部外傷後の1~2カ月経過した後に、徐々に脳を覆う硬膜と脳の間に血液が進出し血腫を作り、脳を圧迫する疾患です。

高齢者男性に多く、頭痛、頭部外傷と反対側の失調症状(麻痺)、認知症などの精神症状を呈します。

徐々に確実に悪化していく為、特に、精神症状や人視力低下に周囲が驚き、受診に至る事もあれば、救急搬送されることもあります。

好発因子

お酒好き、脳萎縮している、水頭症のシャント術後、透析治療患者、抗凝固剤服用患者、癌の脳硬膜転移患者などに発症し易いと言われています。

これまでの治療の問題点

・穿頭血腫除去術では、術後約10%に再発がみられ、再手術を行うケースがあります。

・術後けいれんなどの合併症を併発する事もあり、抗けいれん剤の服用が必要となる事もあります。

・術後、血腫腔の残存空気が温められ膨張し、脳を圧迫する緊張性気脳症を発症し、脱気が必要な事もあります。

・外科的手術による感染症、硬膜下膿瘍や髄膜炎を発症する事もあります。

慢性硬膜下血腫の看護

観察点

・バイタルサイン、意識レベル、神経症状、瞳孔所見、
・頭痛の有無と程度
・精神症状と認知症症状、排尿障害やその行動の失調状態
・外傷歴
・術後全身状態、神経症状、精神症状他認知症症状の改善程度
・硬膜外留置中のドレーン排液の量や性状
・リハビリ、日常生活行動の状態(術前との比較)

看護の注意点

・再度転倒や外傷をしない為の安全対策を講じる
・ドレーン管理を行い、再出血や排液障害、感染徴候、痙攣発作などの異常早期発見に勤める
・もともとのADLと認知状況を家人等から聴取し、術前後の状態観察の情報源とする

ドレーン排液の清浄変化

鮮紅色から淡血性、淡黄色、透明へと変化します。その間に赤や血性に変化すれば再出血の判断となります。

硬膜下では、血腫が溜まり時間が経過していることが多く、暗赤色ということもあります。

ドレーンの排液が逆行し、上手く排液されない時、感染症を発する事があります。

擬血塊の浮遊物や膿瘍様排液、混濁したものの排液があれば感染を疑います。

発熱や戦慄などの症状や全身状態も合わせて観察します。

まとめ

もしかすれば、認知症が悪化していると脳神経外科以外でも総合診療科や内科に、診察を依頼してくる患者さんとご家族がいるかもしれません。

急な頭痛や嘔吐、失調行動などに不安を抱える患者さんには、慢性硬膜下血腫の疑いがあります。

これまで穿頭血腫除去や保温療法しか対処法が無かった治療法ですが、自分の血液を使った安全な治療が開発されています。

では、看護師としてこの疾患に悩む患者さんとご家族に何かできることがあるでしょうか。

最新の治療や看護ケアを学び、一日の早く、これまでの自分が取り戻せるようケアできる事、その方法を看護師が学ぶことではないでしょうか。