一般に勤めている看護師にはあまりなじみ無い医療ですが、人の臓器を人に受け渡し、病気であった臓器と取り換えることでその機能を回復させ、患者さんを社会復帰へと導く臓器移植についてどの程度認識がありますか?

臓器移植には、移植コーディネーター、臓器提供者、臓器移植者、医師や看護師等の医療スタッフが関わり、その治療に取り組みます。

現在の医療界では、患者さん中心の患者さんの為の医療を目指し、インフォームドコンセントを重視し、患者さんの決定権により治療選択がなされることが大切とされています。

その為に、説明や同意を重要視する傾向があり、納得のいくよう医療職者も思考を凝らした説明を行います。

しかし、今回生体肝移植を行う臓器提供者と、臓器を受け取る患者さんとの間で、移植の受けとめ方にずれが生じていることが調査にて明らかになりました。

では、どのような認識のずれと、その解消、移植コーディネーターについて理解しましょう。

ドナーとレシピエント(臓器移植患者)との認識のずれ

レシピエントは、ドナーに対し、命の恩人との気持ちがある一方、元気な体にメスを入れる為に申し訳なさや心痛を感じているケースが多くあります。

しかし、臓器を供給するドナーについては、そのような苦痛は少なく、移植に対して前向きで、レシピエントの早期回復を願う傾向があります。

このような認識のずれを解消し、レシピエントの抱える心理的負担を軽減する事は、移植治療をより効果的に有効なものに出来ると考えられます。

あるアンケートでは、ドナーに対し「ドナーになることに迷いが無かった」ト言う問いに、「そうである」との返答が多数であったとの回答が得られています。

また、ドナーは移植された自分の肝臓が気になり、レシピエントに影響がないかと心配する事もあると回答が得られ、自分の体にメスが入ることより、レシピエントの健康に心配を感じている事も分かりました。

生体肝移植は、家族や親族間で行われる治療法である為、家族間の不和や関係悪化しないようなケアが求められます。

よって、移植に関するコーディネートや調整を行う専門資格があります。

移植看護の資格

多くの認定看護師や専門看護師資格があるものの、移植医療に関しては、複数の認定看護師業務と重複すると言う観点から、認定領域の特定が難しいとのことで移植認定看護師資格はありません。

ですが、移植医療を含めた看護を専門的に行う資格として、がん看護専門看護師が挙げられます。

しかし、癌領域での力を発揮してほしい現場の認識が強く、なかなか移植医療にまで手を伸ばせない現状があります。

移植コーディネーターの資格

2009年、臓器移植法改正により、「脳死も人の死に含まれる」「本人の生前拒否が無く、家族が承諾すれば、臓器提供は可能」「臓器の提供可能年齢に年齢制限は設けない」とされました。

移植コーディネーターは、ドナーとレシピエントを結びつける存在で、ドナーコーディネーターとレシピエントコーディネーターがあります。

ドナーコーディネーター

ドナーからの臓器提供の調整や臓器移植に関する啓もう活動を行います。

レシピエントコーディネーター

臓器移植を待つレシピエントとその家族ケアを行い、移植を行う医療機関に所属し、患者さんとその家族ケアを行います。

移植コーディネーターに必要なスキルは、まずコミュニケーションやカウンセリング技術です。

ドナーも、レシピエントも、その関係者も多くの不安と恐怖を抱えています。

また、レシピエントはドナーに対し後ろめたさや申し訳なさ、心痛を感じている場合が多く、その思いから移植に前向きにならない事もあります。

しかし、アンケート結果より、ドナーは至って臓器提供に積極的です。

よって、その関係性が良好で円滑に移植が実施できるよう双方のメンタルケアを行う事が重要です。

移植に関する知識や情報を周知しておくことは重要ですが、人の心をケアできる能力が必要です。

まとめ

看護師の業務として、患者さんの思いを聞き、患者さんの不安軽減や治療への積極性を増す関わりの重要性は、急性期、回復期、慢性期、在宅医療その現場でも必要な能力です。

患者さんの心寄せられる看護師になる為に、コミュニケーション能力の向上は必須です。

特に、移植に関わる看護師や移植コーディネーターにおいて、患者さんが不安なく、心痛なく治療が受けられるよう支援できる能力が求められます。

健康な人の臓器を貰い移植する生体移植、また脳死や死亡により生きている臓器を、今生きている命にリレーする臓器移植、どのような臓器移植でも、それに関わる患者さんや関係者は、我々健康で臓器移植と無縁の人々には分からない不安や思いがあります。

分からない、理解しにくい心理の患者さんに対し、その思いに寄り添える心温まる看護が提供したいものです。