厚生労働省では、かかりつけ医制度の推進を進めています。

かかりつけ医制度が提唱されるようになってからけっこう時間が経過していますが、その現状はどのような感じなのでしょうか?

かかりつけ医制度の目的は医療機関の機能分担を進めるところにあります。症状の軽い患者や慢性期で病状の比較的安定している患者は、大きな総合病院ではなく、地域の医療機関で診てもらうという方式です。

そして徐々に症状の重い患者になったら、大きな病院で高度な医療サービスを受けられるようにするシステムです。

そもそもかかりつけ医制度とは何か?

かかりつけ医制度とは、皆さんやその家族の病気について親身になってくれる医者を確立する制度になります。

全ての日本人が、何か体調面で問題が生じた場合に気軽に相談できるお医者さんを見つけておくことがこの制度の根幹にあります。

欧米を見てみると「ホームドクター」といって、何かあった場合にこの医者の診療を受けるというのが各家庭で決まっています。

日本にはこのようなホームドクターという概念がないので、それを確立するのをサポートするためにかかりつけ医制度が出てきたといえます。

かかりつけ医制度ですが、かかりつけ医は別にどの病院の医者でも構いません。しかし一般的には、自宅の近くの開業医が妥当でしょう。

総合病院の医者の場合、たとえば夜間や休日に体調が悪くなってもなかなか相談できないでしょう。また専門機関の医者でもかかりつけ医にすることは可能ですが、もし医者の専門領域以外の疾患で相談されても適切に対応できないかもしれません。

そのようなことを踏まえると、かかりつけ医は開業医の方がおすすめなのです。

かかりつけ医の役割とメリットについて

かかりつけ医ですが、先ほども紹介したように初期医療で重要な役割を担います。いろいろな体調面での相談を受けて、適切な治療やアドバイスをします。

また相談のやり取りをしていく中で、患者の病歴だけでなく家族歴やアレルギーなどの健康状態を把握していきます。

このように患者の体調をよく理解しているので、最適な医療サービスを受けられるというメリットがあります。

たとえ重大な病気であっても、その症状に合ったお医者さんを紹介してもらえます。このため、早期に病気を発見して、適切な治療を受けられるので完全治癒できる可能性も高まります。

また家族が急病で、容体が急変した場合でもかかりつけ医がいれば、安心して相談できます。そしてどのように対処すればいいのか指示を受けたり、現場に来てもらったりできるので救命率を高めることが可能です。

かかりつけ医制度を確立するための試み

かかりつけ医制度を確立するために、大学でもいろいろな取り組みが進められています。たとえばOSCEという評価手法が普及しています。

客観的臨床能力試験と日本語訳されますが、模擬患者に対して面接や身体診察を医学生が担当します。

そしてその態度や技術を客観的に評価する手法です。患者への接遇や言葉遣い、身だしなみなど細かく評価されます。

OSCEを大学のカリキュラムで取り入れることで、かかりつけ医になることへの自覚を医学生に促す効果が期待できます。初めて受診しに来た患者の診察方法など、従来と比較してより広範囲で学習できる環境が整備されつつあります。

その他には特殊カリキュラムとして、地域医療を取り入れている大学も見られます。さらに見学をさせる教育機関は多いですが、通常は病院に行くのが中心です。

しかし最近では、医療機関だけでなく介護施設に見学に生かせるような医学部も出てきています。高齢化社会が今後ますます進んでいくことが予想されていますので、介護施設の現状を医学生が知ることはプラスになるでしょう。

このような地域医療についての勉強を行うことで、地域に根付いた医療サービスの重要性を医学生が身を持って理解できるようにしています。これもかかりつけ医制度の確立に寄与しているといえます。