これまでの医療サービスを見てみると、一つの医療機関ですべてのことを済ませる所がありました。

しかし最近では新たに地域連携クリティカルパスという考え方も地方自治体の間で浸透しつつあります。

病院が単独で治療するのではなく、地域でいろいろな医療機関が連携することで最高の医療サービスを最速で与える価値観が今後主流になるかもしれません。

以下では地域連携クリティカルパスとは何かということを中心に見ていきましょう。

そもそもクリティカルパスとは何か?

クリティカルパスとは何も医療の世界特有の言葉ではありません。何らかのプロジェクトを立ち上げるにあたって、計画から目標を達成するまでにかかる最短経路のことを意味しています。

たとえば何か建物を建設するにあたって、まずは外観を整え、内装を作り、備品を入れてといった感じで一連の流れの中で完成させる必要があります。

プロジェクトを遂行するにあたって、どうしても時間のかかる工程というのもあります。どの工程がどの程度で終わって、いつごろから次の工程を始めれば良いのかを考えていかないといけません。

この部分をいい加減に設定していると、例えば病院の建物が完成していないのにCTスキャンやMRIなどが納入されてしまって、今持ってこられても…という状況に陥りかねません。

このような無駄な時間をいかにカットして、効率的に業務を進めていくかという考え殻になります。

病院におけるクリティカルパスとは、入院期間をいかに短縮できるかが究極の目標になるでしょう。

患者が手術を行う場合、ベッドの手配をして手術室を確保して、執刀医や手術スタッフを集めて手術を実施するといった流れが求められます。

このような医療サービスを提供するにあたっての基本的な流れを標準化したものを、医療の世界ではクリティカルパスと呼んでいます。

日本の医学界では、90年代の終わりごろから医療機関でクリティカルパスを導入するところが増えていったと言われています。

地域連携クリティカルパスの目的とメリット

先ほど紹介した医療機関でクリティカルパスを作成することを院内クリティカルパスといいます。

しかしこの場合、医療機関の数だけクリティカルパスが存在することになります。病院内ですべての医療サービスを済ませるのであればいいですが、例えば複数の医療機関をまたぐ場合、クリティカルパスが異なるとスムーズな連携ができなくなります。

そこで現在重視されるようになってきているのが、地域連携クリティカルパスです。

地域連携クリティカルパスとは院内だけでなく、地域にある医療機関の間で協力関係を構築して機能させるシステムになります。地域連携クリティカルパスが必要になってきた背景として、2000年に導入された介護保険が密接に関係しています。

介護保険が導入されて、病院の機能分化が進んできています。まず患者が倒れて救急車で運ばれた場合、大規模病院を中心として急性期病院の役割を担うことになります。

そして症状が安定して社会復帰のためのリハビリを行うための医療機関があって、自宅療養する人のために在宅の医療機関といった感じでいろいろな医療機関が登場しています。

これらの病院がうまく連携することで、切れ目のない医療サービスを提供する必要が出てきています。そこで地域連携クリティカルパスという地域の標準的な治療の流れを標準化する必要が出てきたわけです。

地域連携クリティカルパスで重要なのは、いつごろにどこの病院に転院してどのような医療サービスを提供するか、その期間はどのくらいでいつ退院するか、次に担当する医療機関はどこかということを決める点です。

そして文書で明示して患者にも説明して、了解を得ることまでが求められます。患者としてみれば、自分は今後どのような治療を受けることになるかがはっきりとわかります。

ですから「いつになったら治療が終わるのか」という不安を解消することも可能になります。