J-REITというシステムがあるのですが、これは多くの投資家から資金を集めて、複数の不動産を購入して運用益が出た場合には投資家に利益を分配する金融商品のことです。

いわば投資信託の不動産運用バージョンといえるかもしれません。J-REITは2001年9月より運用がスタートしているのですが、病院もこれからは組み込まれることになりました。

病院リートが新たに登場することで、J-REITはどのように変化するのかについてみていきましょう。

転用可能性の低い建物

病院リートは他の不動産と比較すると異なる特徴があります。病院という建物の場合、病院以外に転用される可能性は低いのが大きな違いです。

病院の内部を見てみると、手術室やCTスキャン室のようなある特別な目的に特化された部屋が数多く見られます。手術室やCTスキャン室の場合、電磁波シールドとかクリーンルームなども組み込まれています。

また病院の場合、非常用発電機も設置されています。しかもかなり大きな容量の自家発電機を装備しています。生命維持装置などもし停電などで電気が止まると、患者が亡くなってしまう可能性もあります。

そこで何日間電気の供給のない場合でも持ちこたえられるだけの自家発電装置を用意しておく必要があります。

このように医療のために特化している建物が多いので、なかなか別の用途で転用するのが難しいという側面があります。

賃料の設定が微妙

病院の建物を医療機関などに貸し出す場合、では賃料をどうするかというのも問題になるでしょう。

同じ病院でもどのような診療科目かによって、収益性も大きく異なります。収益性が高いと言われているのが人工透析を取り扱っている医療機関です。

また精神科もカウンセリングなどで治療することが多いので、設備投資が少なくコストが低いので効率的に利益を上げることが可能です。

一方で救急医療の場合、いろいろと最新鋭の医療機器を取り入れる必要があるので、なかなか収益性は高まらない傾向があります。

単純に病床の数が多ければ賃料を高くできるわけではなく、回転数がどうかなどもチェックしなければなりません。いろいろな要素が複雑に絡み合っているので、賃貸物件やオフィスの賃料と比較すると相場が把握しにくいところがあります。

新築の病院が増える可能性も高い

病院リートが登場したことで、今後新築の病院が増えてくる可能性も高いです。やはり新しい病院の方が患者にとっても快適でしょうし、最新鋭の設備も導入しやすくなります。

しかし非営利的な側面のある病院の場合、収益が思ったように増えない医療法人も多いです。また金融機関も病院に対する与信は低く評価する傾向があります。このため、建て替えをしたいと思ってもなかなかその資金を確保できません。

そこで注目されているのが、病院リートです。病院リートが出現したことで、投資家から広く資金調達できるようになったので、建て替えの資金も確保しやすくなりました。

また投資家にとっても病院というのは魅力的な物件であることは間違いないです。病院は日本の景気の良し悪しに関係なく一定の患者のやってくることは十分期待できます。

特に地域医療に根差している病院の場合、よほどのことでもない限り、なかなか撤退することはないでしょう。またMRIやCTスキャンなどを導入するとなると、億単位の設備投資が必要になります。

このため、病院としても多少赤字が発生したくらいではなかなか撤退できない状態になります。このような背景もあって、安定収益が十分期待できます。

中規模病院の場合、建て替えの時に入院患者をどこに移すかなど、課題もいくつかあります。

しかし病院リートの登場により、新しい病院がどんどん作られるようになれば、医療サービスも充実できるでしょう。ますます今後高齢化社会が進むことは確実視されているので、病院リートにかかる期待は大きいです。