高齢化社会が問題視されている日本ですが、最大の問題といわれているのが国民医療費の増加です。

私たち日本人は国民皆保険制度をとっていて、治療費の3割だけを自己負担する制度を採用しています。高齢者の場合には1~2割のみの自己負担となり、残りは国庫などからの支出になります。

高齢者になるといろいろと体中に病気を抱えている人が多く、病院への通院の頻度も増えます。そうなると今後増え続ける医療費をどうするかという問題は避けられないわけです。

40兆円を突破している医療費

国民医療費がどのくらいになるか知っているでしょうか?2013年度の国民医療費ですが、史上初めて40兆円を突破したといいます。

2012年度と比較しても2.2%の増加だといいます。しかし国民医療費が増えること自体も問題ですが、公的負担が増加していることはもっと問題といえます。

2012~2013年度の国民医療費の推移を見てみると、2.2%医療費は増加しています。ところが患者負担の増加率は1.1%にとどまっています。全体の半分くらいの増加率になります。

なぜこのようなことが起きてしまうのかですが、高齢者の増加にあります。70歳以上だと2割負担、75歳以上だと1割負担となって、そのほかの3割負担よりも自己負担が少なく設定されています。

高齢化社会が進むと、高齢者の占める割合が多くなって自己負担の割合が少なくなって、公的な負担をどう賄うのかという問題が起きています。

後期高齢者への対策

政府も医療費の伸びに対応するための施策もいろいろと実施しています。75歳以上の後期高齢者に対しては、後期高齢者医療給付金といっていろいろな給付金を支給しています。

医療機関にかかる場合には、療養の給付が受けられます。通常であれば、先ほども紹介したように1割負担となります。その他にも高額療養費や葬祭費も後期高齢者であれば給付の対象になります。

しかしこれまで後期高齢者であれば、一律で治療費は1割負担となっていました。しかし現役並み所得者であれば、現役と同じ3割負担を求める形をとっています。

現役並み所得者の定義ですが、後期高齢者の被保険者で地方税上の各種所得控除後の所得が145万円以上ある人になります。

ただし現役並み所得者でも3割負担にならない例外もあります。同一世帯に70歳以上が一人の身の場合383万円未満の収入である場合、複数いる場合には合計の所得が520万円未満であれば、1割負担で医療サービスを受けることも可能です。

薬剤調剤医療費の伸びも問題視

国民医療費の中でも問題視されているのが、薬剤調剤医療費の伸びです。2014年度の薬剤調剤医療費を見てみると、7兆2000億円に達しています。前年度と比較して増加率は2.3%となっています。

入院は1.7%、入院外1.3%の増加率になっているので、薬剤調剤医療費の伸びはやはり顕著といえます。しかも医療費全体の中に占める薬剤調剤医療費ですが、18%と20%に迫ってきています。

なぜ薬剤調剤医療費が伸びているかですが、調剤技術料の増加が関係しているのではないかと指摘する専門家もいます。特に保険薬局における伸びが顕著であるといいます。

2005年から2014年までの10年間で、保険薬局の技術料ですが、累計で6685億円増加しています。一方医科院内の技術料に関しては、963億円の減少が同時期で記録されています。保険薬局の伸びですが、調剤技術料の伸びの他にも、処方箋の枚数や処方日数、薬剤料などの増加なども指摘されています。

調剤報酬の改定が多少影響している可能性はあるものの、それを差し引いても伸び率が高いという声も専門家の間では聞かれます。

今後高齢者の割合は4割に達すると見込まれています。その中で医療費の伸びを抑制して、かつ高齢者に適切な医療サービスを提供するかという難しいかじ取りが今後要求されるでしょう。