地方財政が悪化して、市町村合併などの再編が地方部ではどんどん進められました。その結果問題も起きていて、地方にある自治体病院の経営は大変厳しいものになっています。

マンパワーが絶対的に不足しているので、病院経営をこれ以上続けるのは難しい、赤字経営を強いられている医療機関も少なくありません。

そのような中で、総務省は2007年12月に公立病院改革ガイドラインと呼ばれるものを公表しました。

こちらのガイドラインの概要と現場の現状はどのようになっているかについて紹介します。

公立病院改革ガイドラインとは?

公立病院改革ガイドラインは公立病院は住民のインフラの観点からも欠かすことのできない重要な存在であることを強調しています。

しかしその一方で公立病院に対して改革を進めるように求めるものとなっています。公立病院改革ガイドラインですが具体的には、3つの柱によって構成されています。

1つ目は、経営の効率化です。経営効率化ですが、経営収支比率と職員給与ひたい医業収益比率、病床利用率などについて、それぞれに数値目標を設定します。3年を目標にして、設定した数値をクリアするように求めています。

その他にも病床利用率が、直近の3年連続で70%未満を記録した公立病院があれば、病床数の見直しなどの抜本的な見直しを求めるような、ペナルティ規定なども設けられています。

2つ目は経営形態の見直しです。こちらは5年程度をめどにしてスケジュールを作成するように求められています。経営形態ですが、公立病院の存続を考えると最も切実な問題になるでしょう。

見直しの方法は、いくつかの選択肢が考えられます。具体的には、地方公営企業法を適用するとか、地方独立行政法人化する、指定管理者制度の活用、民間への譲渡、病院から診療所に規模縮小するなどが考えられます。

また高齢化が進んでいる現状を踏まえて、介護老人保健施設とか高齢者住宅に転換することで、新たな需要の受け皿になるということも候補に上るでしょう。

最後の柱になるのが、再編・ネットワーク化です。地方の医療サービスを抜本的に見直して、それぞれの地方の実情にマッチしたシステムを新たに確立する方向になります。

いずれにせよ公立病院改革ガイドラインによって、公立病院は必要な一方でその在り方を見直さないといけない時期に差し掛かってきていることがわかります。

地域医療システム崩壊への懸念

以上で紹介した公立病院改革ガイドラインですが、公立病院の現場では反発の声も出てきています。公立病院改革ガイドラインは財政圧縮を最優先することに重きが置かれています。

しかし現場では「このガイドラインは財務省の言い分ばかりで、地域住民や病院スタッフの視点が全く考慮されていない」という不満の声も上がっています。

公立病院改革ガイドラインはすべての地域に対して適用される、基本的には画一的なものです。しかしそれぞれの公立病院の置かれている地域事情は異なるので、独自のガイドラインを設ける必要があるはずというわけです。

このガイドラインを推進すると、自治体病院の統廃合がますます進んで、地域医療システムが崩壊するのではないかと危惧する声も聞かれます。

実際に地方の公立病院が廃院に追い込まれる事例もいくつか出てきています。

しかし一方で、公立病院の置かれている現状を打破する必要性も指摘されています。日本全国に公立病院は1000近くあるのですが、そのうち7割を超える病院が赤字経営で推移しています。

このような状況を続けられるわけではなく、相当な経営努力を伴う経営改革は喫緊の問題という声もまた的を射ています。

公立病院の経営健全化のためには、民間並みの人件費に大幅カットするなどの思い切った見直しが求められるという専門家の指摘もあります。

この両者の意見がぶつかっているのが現状で、改革は思ったように進んでいないというのが現在のところです。