景気に関係なく患者が訪れる、高齢化社会が今後ますます進むと言われると病院経営は当面安泰というイメージを持っている人もいるでしょう。

しかし実際のところ見てみると、病院やクリニックが倒産に追い込まれるというケースも珍しくなくなっています。

少し前まで病院がつぶれるという話はあまり聞きませんでした。なぜ病院やクリニックがつぶれるという話になっているのでしょうか?

ここでは医療業界が抱える問題点について、いろいろと見ていきます。

決して珍しくない医療機関の倒産

病院や診療所の倒産ですが、現在では決して珍しいことではなくなってきています。

2001~2010年までの10年間に医療機関の倒産は、300件以上を数えるといいます。高齢化社会が進んでいて、高齢者の患者が増えている実態を見ると、意外な感じがするでしょう。

しかしこのような高齢者相手に医療・福祉のサービスを展開しているところでも経営は決して安泰とは言えない状態になっています。

同じく2001~2010年までの倒産件数を見てみると、老人福祉事業だけでも120件を数えています。いずれも帝国データバンクの調べなので信憑性は高いです。

なぜ医療機関がこれほどまでに厳しい状態に立たされているのでしょうか?

クリニックは特に過当競争が進んでいる

なぜこのような病院や診療所が厳しい経営に立たされているかですが、大きいのは過当競争時代に入っている点です。

実は特にクリニックでみられる傾向なのですが、医者の中には病院勤務ではなく開業医を目指す人が増えてきているのです。

その結果、クリニック同士の患者の取り合いという厳しい争いが起きているのです。皆さんの自宅の周辺をイメージしてみましょう。いろいろなクリニックがあることに気が付きませんか?

クリニックの中には生き残りをかけて、かなり無理な診察をしている所も出てきています。たとえば本来必要ないけれども、胃カメラや大腸カメラを進める医者も中にはいるといいます。

このように必要ない検査を行うことで点数を稼ぎたいと考えている、言い方を変えればそこまで追い詰められている医者もいるわけです。

地方の公立病院が抱える苦悩

地方の公立病院もかなり厳しい運営を迫られていると言われています。日本全国に1000近く公立病院があるのですが、このうちおよそ2/3が赤字経営に苦しんでいるといいます。

公立病院の経営の厳しくなっている原因ですが、2004年からスタートした臨床研修制度が関係しているといいます。

臨床研修医制度によって、大学病院を希望する臨床医が減少しています。

そこで従来は大学病院からこのような地方の公立病院に医者の派遣を実施していたのですが、大学病院が人手不足の状態になって、引き上げるところが続出しました。

その結果、今度は地方の公立病院が医師不足の状況に陥ってしまったのです。

すると診療範囲も絞り込まないといかなくなって、収益が減少し、ますます赤字が膨らむという状況に陥っています。公立病院でも閉院する所も出てきていますし、そこまで行かなくても公立病院同士の統合などは進められています。

診療報酬の改定によって生み出された負のスパイラル

病院が倒産する原因として、診療報酬の改定も関係していると指摘する声もあります。診療報酬のマイナス改定がしばしば行われているのです。すると一種のデフレスパイラルの医療機関が陥ってしまうのです。

診療報酬が減れば、収益が少なくなります。そうなると赤字幅が大きくなるので、それを少しでも減らすためにコストカットをします。

人件費は医療機関で大きなウエイトを占めるのでそこを絞ると、職員が今度辞めてしまいます。するとスタッフが少なくなるので業務の絞り込みを行います。

するとさらに収益が減って…という状態になってしまうのです。

このような負のスパイラルを断ち切るためには、国を挙げての病院・診療所対策を講じる必要があるといえます。