日本では従来から患者の治療を行うのは一つの病院でと、という方式が長らく取られていました。

しかし最近では地域医療が崩壊してしまっている、医療を取り巻く環境が一昔前と比較して大きく変化していることもあって、なかなか病院完結で患者の治療を行うのは現実問題として難しくなりつつあります。

そこで最近になって医療界で提唱されつつあるのが、地域完結型で医療サービスを展開していこうというものです。

具体的にどのようにして地域で患者のケアをしていくかについて、以下で紹介します。

従来のシステムでは対応しきれなくなっている

日本は医療皆保険制度を導入していますが、世界ではまれにみる成功例と言われてきました。どのような人でも保険に加入しているので、一定レベル以上の医療サービスを受けることができました。

しかし最近になって、このシステムも限界に差し掛かっているのではないかという声も出てきています。

というのもまず高齢化や糖尿病をはじめとする生活習慣病にかかる人が増えていることもあって、医療費が年々増大しています。

たとえば腎機能に問題のある患者の中には、週に何度か人工透析による治療を受けている人もいるでしょう。

日本人の人工透析の患者の数ですが29万人ほどで、これは世界的に見てもトップクラスの多さだといいます。透析の治療費ですが、月額40万円程度といわれています。

しかし個人が負担するのは2万円程度といわれています。このように医療保険の負担がかなり大きいので、保険システムがこのままいくと持たないのではないかといわれています。

そこで医療サービスの在り方に関する見直しが医療の世界で提唱されるようになってきています。

これまでの医療サービスのシステムは、端的に言ってしまうと病院完結型でした。

これは一つの病院で患者の治療を行うという考え方で、治療をするにあたって、それぞれの患者の既往歴とか生活歴はあまり重視されませんでした。

その結果、医療費の高騰を招き、保険システムが破たんしかねない状況に追いやっていると考えられています。

地域完結型医療で情報連携を

それを今後は地域完結型の医療に変えていこうという動きが見られています。

たとえば地域を連携することで、たとえば生活習慣病を発症させないように予防医学を徹底するとか、症状の安定した患者は自宅に戻して療養してもらうといった形を取ります。

そうすれば病院が一定に担っていたこれまでの負担を地域全体に分散することが可能です。

また患者の病歴やどの病院で治療にあたっていたか、過去から現在に至るまでどのような薬を服用していたかのデータを残します。

そしてそのデータを医療機関や地域で共有する事ができれば、たとえば転勤して住所が変わってしまった、結婚して苗字が変わってしまったとしてもどこからでもその人の医療関係のデータを把握できます。

生涯を通じて病院単位ではなく、地域単位でケアをしていて健康な日常生活をできるだけ長く送れるようなシステムへの移行が求められています。

病床機能報告制度が第一歩に?

2014年に医療介護総合確保推進法という法案が国会に提出されています。その中に「病床機能報告制度」と呼ばれるものが医療機関の義務項目として盛り込まれています。

病床機能報告制度とは、各医療機関が自分たちの病棟を高度急性期と急性期、回復期、慢性期という4つのジャンルから一つ選択して都道府県に届け出る制度です。

このようにそれぞれの病院の役割を明確にすることで、各都道府県は機能分化を念頭に入れた医療計画を作成できます。

そしてそれぞれの機能を持った病院に患者を割り振ることで、よりそれぞれの患者が適切な医療サービスを受けられるようになります。

病院としてみてもいろいろな患者を入院させるよりは、特定の患者のケアを行えるようになれば負担を軽減することができます。

病院一つで患者の面倒を見るのが厳しくなっているので、今後地域連携がスムーズに取れるようなシステムの構築が強く求められます。