高齢化社会が進んでいることで、病院は訪れる患者の数が増えて経営面では問題がないのではないかと一般では考えられているかもしれません。

しかし実際にはどうか見てみると、病院を運営している所で赤字経営で苦しんでいるところも結構多いです。病院経営が芳しくないとそれは医療機関で働く医者や看護師にも悪影響を及ぼします。

またひいては患者が十分な医療サービスを受けられなくなってしまうデメリットにも直結しかねません。そこでここでは病院経営の実態を中心に紹介していきましょう。

4割の病院が赤字で苦しんでいる?

厚生労働省の「医療経済実態調査」のデータをベースにすると、実に日本の4割に相当する医療機関が赤字経営の状態になっているといいます。

ちなみにこの赤字の判断基準ですが、医業・介護収益ベースで見ています。助成金や利息などを含めると若干個のデータは変わってきます。

しかしそれでも4割の病院が赤字というのは、かなり深刻な状況と岩雑を得ないでしょう。ちなみに公的医療機関では実に7割、医療法人でも3割が赤字の状態に陥っているといわれています。

このような公共サービスの収益の問題は、何も医療機関に限ったことではないかもしれません。しかし公共サービスの収益性は、たぶんの地域性の問題が関係しているといえます。

つまり都市部はそれなりの収益を出しているけれども、地方に行けばいくほど深刻な赤字経営になってしまうというものです。

ところが医療サービスに関してですが、全日本病院協会という団体の調査によると東京の医療機関はそのほかの地域と比較して、赤字経営の病院の比率が高くなるとされています。

ですから地域性の問題ではなく、そもそもの医療サービスの構造的な部分に問題があるのではないかと指摘されています。

赤字額についてですが、2012年のデータによると、多くが損益率でみるとマイナス10%以内となっています。

しかし一方で損益率が30%以上のマイナスになっているところもあって、かなり経営状況は火の車になっているところもあるのが事実です。

入院患者の長期化が病院を圧迫させている

なぜ病院がこれほどまでに赤字経営を強いられているかですが、入院患者が理由の一つとして考えられます。

収益を伸ばすためには、患者をできるだけ退院させて入院患者を新たにどんどん受け入れていくことで回転率を上げる必要があります。しかし特に総合病院がそうなのですが、入院期間の長期化することが多いのです。

総合病院の場合、急性期や慢性期といった区別があまりしっかりなされていません。このため、最初は急性期で入院・治療を始めたけれども、比較して症状が安定して以降も入院を続けるケースが多いです。

特に高齢者の場合、慢性期になってからも長く入院し続けるのでなかなか新しい患者を受け入れることができません。その結果、病床の回転率がなかなか向上しないので収益が上がらなくなっているのです。

研修医のシステムが変わったことも原因

研修医のシステムですが、従来は自分が通っていた大学で研修を受けることが多かったです。ところが最近になって、研修医は研修先の病院を自由に選択できるようになりました。

その結果、より大規模な総合病院の方がいろいろな経験が積めるということでそちらに研修先をシフトするようになりました。その結果、地域の大学病院では研修医の確保が難しくなっています。

従来のシステムの場合、中核病院は大学の医学部の医局から医者を派遣してもらっていました。しかし大学病院の研修医が不足すると、中核病院に行っていた医者を呼び戻すようになります。

すると地域の病院が医師不足の状況に陥りました。結果的に医者がいない以上診療体制を縮小せざるを得なくなります。

そうなれば収益は少なくなりますので、赤字に転落する医療機関も増えてしまっているのです。このように構造上の問題によって、日本の医療機関は赤字経営で苦しんでいるところが多いのです。