満足いく療養、治療により、退院を迎えた患者さんが、どこかうかない表情を浮かべていることがあります。本来であれば喜ばしい退院について喜んでいないとは何故でしょうか。

病気やけがでの入院は、日常生活から隔離されると言う状況です。そこから退院して日常へ戻ることに不安を抱える患者さんが増加しています。

それは、高齢化や核家族化により人々の関係性が希薄化し、退院してもいつもの日常に戻れるかどうか、これまで通りの生活が出来るかと不安を持っていることが多い為です。

では、患者さんの抱える不安と、退院調整について考えてみたいと思います。

患者さんの抱える問題

生命保険会社の統計からみると、入院時や退院後の困ったことについて、「体力の低下」「収入が途絶えた」「入院中の入浴ができにくい状態」「入院患者さんのいびき」「仕事に迷惑をかけている」などの調査結果が得られています。

入院により環境の変化や病院の規則によりいつも通りの生活が出来ないことや、共同生活という困難さ、収入が途絶えたことによる入院費の支払いや退院後の生活に支障が出ると言う事がありました。

また、入院により病気や治療による活動制限、活動制限を解除されてからも病院の狭い空間での活動にはその広さが無く体力の低下、退院してから自分の事が自分で出来る体力を保有しているかという不安を抱えている事もあります。

入院や治療によりやる気や活力の精神的低下を感じることもあり、その事が退院後の生活の悪影響を与えることもあるようです。

患者さんの求める退院調整

患者さんは、病気や怪我、障害や後遺症があっても自分らしい生活を継続したいと考えています。治らなくても、上手く病気や障害と付き合い、前向きに生活の質を維持していきたいと望んでいます。

その思いを叶える為に退院調整という言葉があり、退院調整に関わる専従の看護師もみられるようになりました。

退院調整看護師の仕事

自分の家で生活をしたいと考える患者さんが、今すぐに生活を立て戻すことが出来るとは限りません。病気により障害や麻痺が残った患者さんは、これまでの自宅では生活がしにくいかもしれません。

車いす生活や杖歩行などに適した生活環境に無い場合は、住宅改修等が必要ですし、要介護状態で家族に介護を出来る人がいなければヘルパーさんの契約や計画が必要となります。

また、継続した医療ケアが必要な場合は、訪問看護や訪問リハビリなどの支援も必要となります。

このように、在宅に帰るまでに必要な支援や体制づくりを行い、不安や苦痛なく新たな自宅生活を再構築出来るよう支援する事が退院調整看護師の役割です。

また、すぐに自宅へ退院できず、リハビリテーション病院や地域包括ケア病棟などを経由して退院する患者さんに対し、先方の医療機関と連携を図り、転院環境を整え調整役となる事も仕事の一つです。

在院日数削減を図る医療機関に重要な役割を担う看護師です。

●退院調整を要する患者さん
医療上、生活上、介護上に問題があり、その問題をクリアしなければ退院が困難とされる患者さんが退院調整の適合者です。手術をしてさっぱり退院できる患者さんには退院調整は必要ではありません。

後遺症や障害、セルフケアに他者の介入が必要、住宅改修などの福祉支援が必要などのケースに退院調整が必要と言われています。

末期のがんで終末期医療、緩和ケア、訪問看護が必要な場合、高齢者の独居ケース、難病や障害を有する場合に特に手厚い支援が必要です。「本当は家に帰りたい」「本当は家に帰してやりたい」を支援するのが退院調整という事です。

●退院調整の介入
まず、退院調整は入院時よりはじまります。在院日数の減少から、早期に介入し対処すべき患者さんには、早期から準備を始めなければなりません。

その患者さんに退院調整が必要かをスクリーニングし、チェックして振り分けが必要です。

年齢、入院形態、居住環境と同居者の有無、介護者や関係できる人材の有無、その人の日常生活レベルと改善予測、今後の医療処置の必要性や社会福祉の介入の必要性によりその判別を行います。

看護師に求められることは、患者さんの要求と患者さんの家族の要望、そして患者さんを支えてくれる周囲の人々の要望を聞くことです。

全てそれらの人々の意見を採用し実現する事は困難かもしれませんが、「こうしてほしい」「あぁしてほしい」「これはしてほしくない」などの要望を聞き、それに合う、それに近いサービスを説明、情報提供し、ニーズに合う選択ができるよう支援する事が求められます。

看護者や医療職者側が、これをした方がいいと考えることが、患者さんやその方を取り巻く環境に不適合であったり、その思いに反する事、金銭的、社会的に実現困難なことがあります。

実現出来るサービス内容で、在宅生活の再構築が果せるよう支援する事が退院調整看護師の求められることです。

まとめ

誰しも自分の家で自分らしく生活したいと子考えることは不自然なことではありません。障害があっても、無くても、やはり心置きやすい自分の慣れ親しんだ環境にいたい気持ちを叶えたいものです。

退院調整看護師は、その患者さんの要望を叶えられる魅力的な仕事です。

ニーズを確実に実現する事が出来ない時に無力さを感じることがありますが、それに見合う支援を情報提供し、納得が得られた時、遣り甲斐や達成感を感じることができます。

患者さんや家族の思いに寄り添う看護が出来る現場から離れた仕事に興味がわいたでしょうか。