病院で勤務をしていると、患者さんの急変や緊急入院などの緊急事態に当たることがあります。新人看護師さんの中にも、すでにこのような緊急事態を経験された方がいるのではないでしょうか。

先輩看護師は、緊急時も落ち着いて適切な対応をとることが出来ていると思います。しかし、新人看護師の皆さんの中には、パニック状態になってしまうという方もいるのではないでしょうか。

医師の指示も先輩看護師の指示もわからなくなり、ほかの患者さんの対応もできなくなり、「どうしよう」となってしまいますよね。

緊急時にパニックになってしまう場合、どうすればいいのか見ていきましょう。

緊急時にパニックにならないようにするには

まずは、緊急時に落ち着いて行動するには、普段からどう過ごせばいいのか見ていきましょう。

緊急時に使用する物品の名称と場所を覚える

まずは、緊急時に使用する物品の場所だけでも覚えるようにしましょう。

緊急時は先輩看護師が患者さんの対応をすることが多いため、慣れないうちは先輩看護師の補助を新人看護師が行う場面が多いと思います。

しかし、先輩看護師に「○○持ってきて!」と言われても、その物品が何かわからず、どこにあるかわからなければ焦りからパニック状態に陥りやすいです。

私の後輩も新人の頃、緊急時にパニックになることが多かったです。しかし、とりあえず緊急時に使用する物品の名称と場所だけ覚えてもらいました。

すると、パニック状態が少し改善されましたよ。本人も、「自分でもできることがあるとわかると、少し落ち着くことが出来るようになった」と話していました。

急にテキパキ動くことは難しいと思いますので、まずは物品の名称と場所だけでも覚えましょう。

緊急時にとるべき行動を覚える

物品の名称と場所を覚えることが出来れば、次は緊急時にとるべき行動を覚えましょう。病院内に、緊急時に看護師がとるべき行動をまとめたマニュアルはありませんか?

マニュアル内には医師への連絡の方法や使用する薬剤の種類など、多くのことが書かれています。ある程度覚えてしまえば、「患者さんの血圧が低いから、次はこの薬を使うだろう」と、ある程度予測を立てることが出来るようになりますよ。

予測をしながら行動ができると焦ることは少なくなりますし、自信を持つこともできます。マニュアルと全く同じ通りの流れとならない場合もありますが、とりあえずマニュアルの内容を覚えておいてくださいね。

先輩の動きを観察する

いくら物品やマニュアルについて把握できたといっても、いきなり緊急時の行動をとることはできません。頭ではわかっていたとしても、覚えたとおりに動くことが出来ないことが多いです。

まずは、緊急時に先輩看護師がどのように動いているのか観察してみましょう。先輩たちの動きをマニュアルと合わせて見ることで、緊急時に自分がどのように行動すべきかイメージが付きやすく、イメージトレーニングをしやすくなるでしょう。

日勤帯の看護師の人数が多いときに緊急事態があれば、先輩たちの動きを観察してみましょう。しかし、だれにも言わずに観察をしていると、「さぼっている」と取られてしまいます。

あらかじめ、上司や先輩に「自分は緊急時にパニックになってしまい、どうすればいいのかわからなくなる。先輩たちの動きを見て勉強したい」など伝えておくようにしましょう。

緊急時にパニックになってしまったときはどうする?

自分なりに対処をしていたとしても、緊急時にパニックになってしまうことがあります。では、緊急時にパニックになったとき、どうすればいいのか紹介します。

先輩看護師にそばについてもらう

看護師の人数に余裕のある時は、先輩看護師にそばについてもらうようにしましょう。先輩がついてくれているだけで心強く、安心できますよね。

安心できると、自然と緊急時にパニックになる頻度が減っていくのではないでしょうか。

自ら進んで記録係になる

人数に余裕のない場合、新人看護師だからと言って緊急時の対応をしなくてよくなるわけではありません。パニックになっていたとしても、何かしらしなければなりませんよね。

人数に余裕がないときに緊急時となった場合、自ら進んで記録係になるようにしましょう。緊急時は行った処置や時間を正確にカルテに記載しなくてはなりません。記録係は、後で記録ができるように処置や時間などを記録する担当者のことです。

記録係であれば専門的な知識やスキルはほとんど必要ありませんし、失敗しても患者さんの命にかかわることもありません。そのため、パニックになってしまったとしても、記録係ならできるという場合が多いです。

私自身、初めて急変に当たったとき、パニック状態になりましたが、記録係はすることが出来ました。むしろ、徐々に落ち着くことができましたし、急変時の行動を学ぶこともできたので良かったですよ。

ナースコールの対応をする

どうしてもパニック状態から抜け出せず、頭が真っ白になってしまうのであれば、その場から離れるようにしましょう。ナースコールの対応など自分にできることをしたほうが、冷静になることが出来ます。

しかし、ずっとナースコールの対応をしてるだけでは自分自身の成長につながりません。落ち着くことが出来れば、先輩の行動を観察するためにもその場に戻るようにしましょう。

パニック障害の可能性はない?

冷静になろうとしても頭が真っ白になり、動悸や異常な恐怖感、手の震えなどが襲ってくるのであれば、もしかすると「パニック障害」かもしれません。

もし、緊急時にこれらの症状が出現してるのであれば、専門機関を受診するようにしましょう。

パニック障害だった場合、自分ではどうすることもできません。専門機関を受診し、適切な治療をすることで症状を軽減することが出来ます。しかし、非常に長い年月が必要ですし、再発する可能性もあります。

もし、あなたが今後も看護師として働き続けたいと考えるのであれば、日勤パートとなったり、老人ホームなどの緊急時が発発生しにくい職場への転職を検討したほうがいいかもしれません。

また、パニック障害の診断がついたら、必ず上司に報告をするようにしましょう。部屋割りや役割を考慮してくれますよ。

最後に

緊急時にパニック状態となってしまう新人看護師さんは少なくありません。慣れないうちは、パニック状態になってしまったからといって、自分を責めなくても大丈夫です。

自分なりに努力をし経験を積む中で、少しずつ改善していくでしょう。

しかし、経験を積んでもパニックが改善されなかったり、動悸や異常な恐怖感が襲ってくるのであればパニック障害の可能性もあります。可能性があると感じる方は、専門機関を受診するようにしてくださいね。