バイタルサインの測定時には、必ず脈拍測定を行います。

その脈拍が何を示しているか理解して測定していますか?

ただ回数を数えるだけであれば看護師で無くても行えます。

しかし、その状態を正しく把握し、その方の身体状況が何を示しているか、異常か正常か、異常であれば何が異変を感じさせる要素なのかを把握しておくことが必要です。

病院に入院中の患者さんは、どの方でもいつ、何時、異変、急変するかわからない状態です。

もしもの患者さんの体のSOSを脈拍測定で感じられたら、その対処が早く、命を取り留められる、軽症で済むと言う事もあります。

脈拍測定の知識を身につけ、看護師の観察力で救える患者さんを増やしましょう。

「脈拍の確認」項目達成のためのポイント

脈拍は、回数、リズム、強弱などを読み取り、心機能や脳神経系、代謝分泌系の異常早期発見に役立てることができます。

その状態は、年齢、性別、運動量、日常生活や疾患等により個人差があります。

その方の全体像を理解し、その方にとっての正常や異常を観察する必要があります。

脈拍の正常値

成人の脈拍回数は、一分間に60回から100回程度です。

高齢者:60回から80回/分
成人:60回から100回/分
中学生から高校生:60回から100回/分
小学生:70回から110回/分
乳幼児:100回から140回/分

成人では、1分間に100回を越えると頻脈と言い、60回以下となると徐脈と言います。

持続的に強度な運動をしていたなど、心肺機能が高い方には、常時一分間の脈拍数が50回以下と言う人もいますが、25回から40回/分以下の場合は、完全房室ブロックの時もあります。

運動や日常の生活により、動きを伴うと一時的に脈拍数が増大する時があります。

よって、食事直後、入浴直後、リハビリ後、排泄後などは、変動を来たす為、落ち着くまで測定は避けましょう。

また、急な訪室などで患者さんが驚いた時にも、一時的な頻脈となる事もある為、測定条件は一定にしなければなりません。

また、日常的に脈拍数が増大している患者さんには、発熱、甲状腺機能亢進症、脳圧亢進、貧血などの疾患が潜んでいることがあります。

不整脈

吸気に脈拍が増大し、呼気に減る場合は、呼吸性不整脈である為病気の心配はありません。

脈拍の欠帯:期外収縮
⇒心拍が一度、早く打ってしまったり、欠落してしまい、充分な血液が末梢まで届いていないことがあります。

リズム不正:心房細動

●不正脈の原因
・心臓疾患
・甲状腺機能亢進症
・日常的な精神的ストレス
・睡眠不足や過労

測定方法

橈骨動脈を触知します。

親指の内側の手首に沿い、示指、中指、薬指を当て、1分間の回数を測定します。

同時に、リズムや強弱なども観察し。左右を同時に触知し、左右差の有無も観察します。

両腕を同時に測定して左右差がないか確認します。

また、橈骨動脈の触知が無くなると、収縮期血圧は60mmhg以下と言われています。

不整脈がある場合や脈の触知がしにくい場合は、聴診器を用いて心拍数の測定を行います。

測定の注意点

・測定時の指圧が強いと、自分自身の脈拍を感知してしまう事がある為、測定時は軽く手首を支えるようにしましょう。

・橈骨動脈触知困難な場合は、上腕動脈、総頸動脈、大腿動脈を触れてみましょう。

まとめ

脈拍を観察するには、患者さんの基礎疾患を知っておく必要があります。

疾患によっては、その脈拍回数やリズムが当然と思わせる症状である事もあります。

よって、患者さんの現す脈拍が新たな異常なのか、疾患のために仕方のない脈拍異常なのかを判断しなければなりません。

また、脈拍から得られる情報は少なく、異常に気付いたら、すぐに医師に報告し、心電図をとったり、心エコーをとったり、血液検査で心筋や電解質等の異常が無いかを確認する必要があります。

次につなげる観察を行う為にも、正常か異常かの判断力が必要です。