経口薬の投与は、日常的に行われる看護ケアの一つです。その一粒、一包の薬で患者さんを苦痛から解放したり、安楽にし向ける重要な支援の一つと言えます。

しかし、看護師の医療事故に最も多いと言われる与薬について、患者さんの状態や理解により安全に投与出来る知識や理解が必要です。

嚥下に問題があったり、認知レベルに問題がある患者さん、自己管理の習得が必要な患者さん等、その方一人一人のあった個別性ある経口与薬の方法を理解しましょう。

患者さんが安心して内服できる経口与薬について考えてみましょう。

「経口薬の与薬」項目達成のためのポイント

与薬の目的は、医師の指示を正しく理解し、内服を安全に行う事で、症状の悪化予防、症状の緩和、治療薬の服用を支援します。

与薬の原則を理解し、正しく準備し、ミスなく薬を提供しなければなりません。

その患者さんで間違いないですか。
その薬は内服薬で間違いないですか。
その量で間違いないですか。
その時間で間違いないですか。
何のために処方されていますか。

この認識を持ち、確認作業を繰り返すことで間違いない与薬介助を行います。

必要物品

・処方箋
・内服薬
・薬袋
・水やさ湯
・コップ

方法

●症状の確認
患者さんに無い服の説明を行い、内服前に、嘔吐や下痢などの異常や昇格症状の有無を確認します。このような症状があれば、嘔吐や下痢により正しく吸収されず、内服が無意味となることがあります。

●氏名の確認
与薬前に処方箋と薬袋、内服薬とそのシートや包袋、用法や用量、患者さんの氏名の確認を行います。指示があっているか、患者さんにも違いが無いかを確認します。患者さんの前に行き、氏名と部屋番号、リストバンドの確認を行い、自分の使命が言える患者さんには名乗って貰う。

名乗れない患者さんは、ベッドネームとリストバンド、患者さんの特徴等、2つ以上の情報を持って正しい患者さんかどうかを確認します。

●誤嚥防止
誤嚥防止のため、座位やファーラー位、体が起こせない場合は、側臥位で内服を介助し、嚥下状態を確認します。内服後は、誤嚥防止のため数分間はその体位を保持します。

●内服後のチェック
内服後、嘔気や嘔吐が無いか、喉の使えた感じ、胃痛の有無を確認します。

注意点

●嚥下に問題のある患者さんには、粉薬を処方して貰い、服薬ゼリーやとろみをつけて内服できるよう準備します。錠剤やカプセルは、誤嚥の原因や嚥下に時間がかかる場合があります。

●粉薬が苦手な場合は、錠剤やカプセルにして貰ったり、オブラートに包むようにしましょう。オブラートは、ごわごわして呑みにくくなることがある為、水の上にオブラートを浮かべ、その上に薬を置き、隅から中央へ粉を包むようにすると、粉をオブラートで包み、呑みこみやすい形状や大きさに工夫する事が出来ます。

●絶飲食等の指示のある場合でも、内服だけはしてよいと言う医師の指示がある事もあります。内服の続行指示等を確認するようにしましょう。

●舌下錠、噛み砕く薬、溶かす薬など、口の中で特徴ある服用法の薬のある為、用法知識が必要です。

●初めて処方された薬に関しては、内服中のむせや嚥下状態を観察し、その薬の無い服が継続できるかを観察します。そして、継続的な服薬が困難と判断さえた場合は、医師に相談し、代替の薬はないかと考慮を依頼しましょう。

まとめ

経口与薬は、一般的な服薬介助ですが、薬の内容に関するインシデントの他に、誤嚥や窒息等のインシデントを伴う看護ケアです。

患者さんの服薬し易い薬への変更を看護師として医師に提案する事や、服薬補助品の利用により安全な服薬支援を行う必要があります。

そして、時に嚥下を確認したと思っても、薬が口に残っている事もあります。

準備段階の確認と、服薬中、服薬後の充分な確認により、確実な与薬知識や技術の習得が必須です。患者さんの治療に関わる重要ケアである認識を持ち、間違いのない安全な経口与薬を行いましょう。