看護記録の重要性は、看護を継続するための伝達方法、観察した内容から治療や処置が開始されるまでの経過、患者さんへ行った医療行為や看護ケアが与えた影響等を全体の共通認識として把握するために重要です。

また、そこから得られる情報で今後起こりうることや行うべき事を連想、予測する事も出来ます。

いつも同じ人がずっと関われない現場である為、全員が情報を共有するために正しい情報を記載し、アセスメントした内容、そこから行ったケアとその効果を記載されることが望まれます。

また、時に医療過誤や医療事故、訴訟となった場合の証拠となる記録は、法律により保管期間が定められるほど重要とされています。

そして、その観察内容やアセスメントを、医師、チームリーダーやチームメンバー、次に勤務するスタッフに正しく報告伝えられる事で一貫した看護や医療行為を継続されることが期待されています。

では、看護師が客観的に情報収集した内容と、患者さんの訴えた内容、行ったケアや処置を理解し、アセスメントしたうえでの効果的な報告やきろくについてまとめてみましょう。

「観察した症状、アセスメントの記録と報告」項目達成のためのポイント

看護記録には、経時記録、SOAP記録、フォーカスチャーティング記録等の方法があります。

自分の所属する記録方法を知り、その方法に応じた記録法の習得が必要です。

SOAP記録

SOAP記録は、「S」「O」「A」「P」に基づいて記録します。

S:患者さんの発言や訴え、病気や入院、治療等に対する発言など

O:看護師が収集した他覚的、客観的情報(観察した症状、バイタルサイン、測定値、実施したこと)

A:「S」情報と「O」情報を基に行ったケアの効果や有効性を評価

P:「A」のアセスメント情報を基に、次のケアや計画はどうするか、プランを立案

・アセスメント方法

患者さんの訴えと看護師が観察した情報を基に、開始した治療や薬剤投与、看護ケアの有効性を判断します。

例えば、高血圧の患者さんに降圧薬を投与した場合、患者さんの自覚症状の訴えやバイタルサイン、看護師が観察した状態からその降圧薬の効果がどうであったかを評価します。

そして、その効果が有効であれば、計画続行となり、無効であれば意思やチームリーダーに報告し次の対策を考慮します。

看護ケアとしては、不眠状態の患者さんに足浴などの館g市独自のケアでリラクゼーションを計画したとします。

それを行った事で患者さんの訴えや発言、入眠の程度や不眠の緩和に繋がったか、巡回時の睡眠状態の観察などを行い、そのケアの効果がどうであったかを評価し、次のプランニングに役立てます。

フォーカスチャイティング

患者さんの問題点にフォーカスを当てた「D」「A」「R」での記載方法です。

「D」:データを記載し、患者さんの問題点の主観的情報を記載します。

「A」:アクションで、その状態に看護師が起こした行為を記載します。

「R」:レスポンス、反応を記載します。

例えば、患者さんが嘔吐した場合を記載します。

「D」:患者さんが突然嘔吐する。(その状態や量など)

「A」:医師からの制止剤の指示による点滴施行。

「R」:嘔吐消失。

このように、患者さんが起こした症状や病態に応じた記載をします。

記録の活用

看護師が勤務中に知り得た情報は、勤務している看護師全員が把握し、継続、連動した看護を続けられることが求められます。

よって、知り得た情報を簡潔明瞭に記載されることが求められます。

また、医療訴訟が起きた時の情報源や証拠となる為、正しく確実に大切な情報を記載する必要があります。

まとめ

看護師にとって、記録他報告は苦手という方が多い業務です。

しかし、これを正しく行うと、看護が継続され患者さんを早期の回復に導けます。

また、万一の際の自分を護る証拠資料となる事もあり、一目で見て誰でも分かる伝わる内容にすることが求められます。

報告は、知り得た情報を簡潔明瞭に伝えます。

記録は、みんなに伝わる内容、その情景が分かるよう記載します。

緊張する報告、なかなかまとまらない文章かもしれませんが、交代制の仕事である為にとても大切な業務です。