入院中の患者さんは、点滴輸液治療を行っている方が多くいます。

その中でも厳密に輸液治療を調整し、確実に滴下する事が求められる患者さんがいます。

心臓疾患の患者さん、周手術期の患者さん、集中治療中の患者さん、小児など、水分出納をしっかりと管理しなければならない患者さんは命の危機にひんする患者さんも含まれます。

輸液量が求められた量輸液されないと、薬効を得られず、症状が悪化したり、期待する治療効果が得られない場合や、必要水分や補液が満たされず、脱水状態や電解質異常をきたす場合があります。

看護師は、このような厳密な輸液管理を行う患者さんに対し適切な治療がなされるよう機器管理、輸液管理を行う必要があります。

輸液ポンプやシリンジポンプの取り扱い方や対応方法、輸液知識が必要です。

では、輸液ポンプとシリンジポンプの適切な取り扱い方と準備や管理法についてまとめてみます。

「輸液・シリンジポンプの準備と管理」項目達成のためのポイント

輸液ポンプやシリンジポンプを必要とする患者さんへの理解、輸液指示の理解、機器管理やメンテナンス、アラームへの対処法などを習得する必要があります。

特に多い使用現場は、集中治療室、手術室、救命病棟、内科や外科、新生児集中治療室、小児科などで用いられます。

降圧薬、強心薬、抗不整脈薬、利尿剤、鎮静剤、高カロリー輸液などで利用されます。

輸液ポンプやシリンジポンプは、確実に輸液を滴下でき、もし滴下不良や異常が生じた場合、アラームで異常を知らせてくれると言う利点があります。

輸液ポンプとシリンジポンプの理解

・フィンガー方式

医療現場に最も多い輸液ポンプで、押圧子で送液方向に圧迫し、一定量滴下します。

・滴数制御型

点滴筒の滴下数をカウントして適正量をコントロールします。

・ローラー方式

輸液ルートをローラーで押圧し、送液方向に圧迫して一定量滴下します。

専用のルートが必要です。

必要物品

・輸液ポンプ
・シリンジポンプ
・注射指示箋
・点滴台
・ロック式注射器
・エクステンションチューブ、三方活栓
・アルコール綿
・固定用テープ

輸液ポンプの利用方法

まずは、機器の異常が無いかを点検します。

本体の破損や故障、滴下センサーの異常、コンセントやプラグ、アースに異常が無いかを確認します。

滴下センサーやプラグの汚染はショートや誤作動の原因となる為、メンテナンスは大切です。

輸液セットを準備し、異常アラームが作動するかを確認しておきます。

輸液セットの長さは、患者さんのADLや活動を考慮し、短くなく長すぎないようエクステンションチューブを活用し調整します。

床につかない、体位変換や歩行をしても引っ張られない長さとします。

輸血や抗ガン剤など、専用の輸液セットの指定がある薬剤もあります。

使用法

輸液ラインに気泡や空液部分があると、アラームの原因となる為、輸液ライン全体に輸液が充満していることを確認します。

また、滴下筒内の輸液は1/3~1/2程度満たし、多すぎれば滴下カウントが上手くいかなかったり、少なすぎれば空液。空気のライン通過の原因となるため、この量を守ります。

輸液セットとエクステンションチューブがその輸液ポンプやシリンジポンプに適応しているものかを確認します。

医師の指示量を確認し、輸液の1mlの滴下量をセットし、一時間の予定輸液量を計算し、その量をセットします。

輸液開始する前に、クレンメを解放しているか、各ラインの接続部の緩みや抜けが無いか、三方活栓を利用している場合は、その活栓の向きを確認します。

患者さんの輸液刺入部の皮膚トラブルや感染徴候、輸液漏れ症状の有無を確認します。

ポンプ類は、患者さんの心臓の高さ程度に位置し、固定やバッテリーの確認を行います。

使用後の管理法

本体、電源コード・プラグ、アース、滴下センサーの汚染・破損も有無を保管前に点検し、異常があれば次に使用する場合の為に対処しておく。

輸液ポンプや滴下センサー部の汚れはアルコール綿花などで拭く取り、次回使用がスムーズに出来るよう準備しておく。

次回使用をスムーズにするために、バッテリーの充電は行っておく。

まとめ

輸液ポンプやシリンジポンプは、精密機械です。

この取り扱い法を護れなければ故障の原因となります。

輸液ポンプやシリンジポンプの異常は患者さんに適切な治療が行えないことや、医療機関の機器故障の不利益の原因となります。

自分のものではない事を理解し、大切に危機を取り扱い必要があります。

また、輸液ポンプやシリンジポンプを利用する患者さんは、重篤であったり厳重管理が必要な弱い立場の患者さんが多いです。

よって、患者さんをも守る為、患者さんの安心の為にも、この機器を正しく取り扱い、治療を継続できるよう支援する必要があります。