褥創の発生は、正しい徐圧やずれの是正など、看護師のケア不足やアセスメント不足により起こることがあります。

何より、褥創は痛みや苦痛を伴い、ひどい場合は全身状態悪化や筋肉や骨にまで影響を与えてしまう皮膚トラブルです。

褥創は、まず、発生させないことが根本で、看護師は、患者さんに最も多く関わる医療職者であるため、その予防知識や対策法を持って関わる必要があります。

褥創の発生要因を理解し、正しいケアや対策を持って褥創を作らないケアの習得を目指しましょう。

そして、患者さんを根本疾患以外で悩ませない、質の高い看護を実践しましょう。

「褥創の予防ケア」項目達成のためのポイント

褥創を作らないという観点を弁えておく事で、患者さんを褥創の恐怖にさらさないようにしましょう。

褥創予防の基礎知識

・褥創発生リスクアセスメントにより、早期から低反発マットや徐圧マット、エアマットなどの導入を行います。

・二時間以内の体位変換を実践し、体圧による局所圧迫を避けます。

・発赤を認めた場合は、注意深く観察し、消退性のあるものか、ないものかを確認し、その部位に圧がかからないよう変換します。

・スキンケアによる皮膚保護を実践します。保湿剤やワセリン、清潔ケアにより皮膚状態の改善を図ります。

・栄養状態のアセスメントを行います。

低栄養状態は、褥創発生に深くかかわる為、栄養状態を評価し、必要な時は管理栄養士や医師と共に栄養ケアに介入します。

タンパク質:体の筋肉を作根本です。

亜鉛:たんぱく質の合成に欠かせない必須ミネラルがあり、タンパク質を筋肉に変換させやすい効果があります。

カルシウム:骨を丈夫にします。

ビタミンA:粘膜の機能を維持します。

ビタミンC:鉄の吸収を高めたり、体の酸化を防ぎます。

鉄分:組織に酸素をもたらし、組織の活性化を図ります。

・後発部位の理解
臥床状態では、後頭部、肩甲骨、肘関節、仙骨部、踵部などがあります。

・体位変換

同じ体位の保持は、局所圧迫の原因となり、褥創発生要因となります。

2時間以内の体位変換と、クッションや体位変換枕を用いた30度側臥位の実践が有効的です。

また、実践の際に、ずれや引きずりが無いよう、二人の看護師で実践出来ることが望ましく、体位変換の際に、シーツや衣類のしわを伸ばすことも重要です。

そして、側臥位の際の下側の四肢や体幹の圧迫や位置を確認し、痛みや圧迫を感じないか、意識が薄い患者さんはその皮膚や四肢の循環などを観察し、異常が無いかを確認します。

そして、膝や肘の位置にも着目し、自然で緩やかな体位となるようクッションやまくらを用いてポジショニングを介助します。

・エアマットや徐圧マットの使用は、その患者さんの状態に合ったものを選択し、電動の機器に関しては、体重や対圧等を細かく設定できるものもあり、患者さんの状態を把握し設定しましょう。

体位変換スケジュールを設定できる場合は、2時間以内の体位変換の設定にしますが、そればかりに頼らず、看護師は適切に巡回し、異常が無いかの確認をするべきです。

・栄養状態評価

低栄養の評価は、炎症、脱水などがなければ血清アルブミン値や体重減少率、喫食率(食事摂取量)があります。

また、患者さんの食事量が急激に低下した場合は、検査データにすぐにあらわれない事もある為、その時々の患者さんの栄養摂取評価も必要です。

低栄養患者さんには、基礎疾患を考慮しその疾患を悪化させない対策が必要です。

高エネルギー、高蛋白質が必要ですが、肝臓疾患などのたんぱく質を制限しうる疾患では、この適応が得着ない事もあります。

・皮膚の清潔や保湿ケア

スキントラブルを回避する事が最も皮膚に関わるケアと言えます。

乾燥や炎症を予防する、ずれや皮膚刺激を軽減させるための皮膚ケア等があります。

また、清拭や入浴などにより皮膚を清潔に保つ、皮膚の血液循環を改さ座せる等の介入もできます。

まとめ

褥創対策の基本は、褥創を発生させないことです。

褥創を発生させない知識を持って、患者さんを褥創から守るケアを行いましょう。

その為には、入院直後の褥創発生リスクアセスメントが重要で、早期の介入が必要です。

もしかしたら発生するかもしれないと少なくとも感じられる場合は、何らかの対策を持って対処する必要があります。

そして、ナイロン製の物品やマットを利用する際は、その吸湿性や湿潤環境に対策した介入視点も必要と言えます。