人工透析とは生まれつきや病気、怪我が原因で腎臓機能が低下し、血液を綺麗にする機能が落ちた患者さんへ行う療法であり、血液透析とも呼びます。その透析療法を行う透析室で働く看護師の役割は、以下の5種類の仕事内容に分けられます。

  1. 患者さんの健康管理と指導
  2. 透析のプライミング(準備)
  3. 透析のための穿刺・抜針・止血
  4. 透析に使う機械の操作
  5. 透析中の患者さんのバイタルチェック

患者さんによっては長期に渡って人工透析を行う必要のある人もいて、この5つの段階を踏んで、患者さんとの信頼関係を築き、問題があったらすぐに相談してもらえる関係を築いておく必要があります。

患者さんの健康管理と指導

人工透析の手順で言えばまず1つめ、患者さんの健康管理と指導として、人工透析患者さんへ人工透析について説明と指導を行います。このとき、ご家族がついてきているのなら、家族の理解を得ることも大事です。

透析患者さんを透析室に案内し、人工透析の施術内容への説明を行います。説明の間に、患者さんの体調に悪いところはないかもチェックします。

透析のプライミング(準備)

2つめは透析のプライミング(準備)、具体的には透析に必要な機械や薬剤を用意し、患者さんには透析室で待ってもらいます。

順番で言えば後になりますが、透析が終わった後の透析機械の片付け、バイタル測定器の片付けなども準備に入ります。透析荷室によっては、人手不足を解消するためにプライミング(準備)だけをアルバイトの看護師に任せる場合もあります。

透析のための穿刺・抜針・止血

透析室で働く看護師の最も重要な役割が、穿刺・抜針・止血です。この3つのどれもが患者さんに出来るだけ苦痛を与えず、透析と言う療法に嫌なイメージを抱かせないために、看護師としての技術が求められます。

注射や点滴でも下手な人にされると嫌なイメージを抱きがちです。透析患者さんは日常的に人工透析を受けなくてはなりませんから、嫌なイメージを抱かれてしまっては日常生活に差し障りが出てきます。

よって、この3つの段階を如何にスムーズに行うかで、患者さんの人生にまで影響を与えるのです。上手く行けば患者さんとの信頼関係を築きやすくなります。

透析に使う機械の操作

4つめの機械の操作が最もイメージが強く、透析室の看護師と言えばこの仕事が真っ先に思いつくでしょう。機械操作は透析室に配属になれば、先輩看護師から指導を受けて、真っ先に学ぶことのできる技術です。

医療の日進月歩もありますが、早々機械を新しくする訳ではないため、基本的な操作方法を学んでおけば大丈夫です。良く言えばマニュアルに沿った仕事をすればよいため覚えやすく、悪く言えばマンネリ化しやすい仕事内容となっています。

透析中の患者さんのバイタルチェック

透析室で働く看護師の役割として最後の5つめが、透析を受けている患者さんのバイタルチェックです。

透析患者さんはただでさえ腎臓機能が低下して健康体ではないため、透析の間に体調が悪化する危険性は十分あります。そのため、機械によるモニタリングだけでなく、患者さんに話しかけて意識の変化がないか健康状態を常に確認する必要があります。

よく起こるのは血圧が下がる、脚が攣るなどの一時的な症状で、患者さんを動揺させずに対処するようにします。それでももし容体が急変した場合は、すぐさま対応と処置を行い、透析を中断したり、処置室へ運んだりします。

また、透析室が所属する病院やクリニックによっては、透析中に患者さんに食事を提供する場合もあります。順番としては穿刺を開始した後で、その場合は食事中に問題が起こらないように見守り、普段の食生活について質問したりと別の仕事が出てきます。

そのまま眠ってしまう患者さんもいますし、ナースと雑談する患者さんもいます。逆に患者さんやその家族から質問された場合は、1つめのように的確に答えられるように用意しておくのが看護師の役割となります。もし看護師の立場では答えられない内容であれば、医師や他の医療スタッフを呼んで説明してもらいましょう。