病気や病状により食事制限を行わなければならない患者さんがいます。

人間にとって食事は、命をつなぎだけではなく、満足させると言う側面があります。

しかし、食事制限とは、時に自分の好きなものを存分に味わえず、患者さんの不満足につながる事もあります。

看護師は、患者さんの満足感や療養意欲を低下させない食事指導や食事支援により、病状回復や症状悪化させない食事支援を考えなければなりません。

各疾患の理解を勧め、その患者さんに合った食事を取れる支援を行います。

では、疾患による食事支援の実態を理解しておきましょう。

「疾患別の食事の理解」項目達成のためのポイント

特に多い食事制限では、腎臓疾患、肝臓疾患、生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症などがあります。

それぞれに注意すべき点が異なり、時に疾患の重複する患者さんは、あれこれを注意すべき点が多くなることがあります。

個別性に応じた食事制限への理解が必要です。

腎臓疾患

腎臓疾患では、タンパク質の取りすぎによる腎臓臓器負担を軽減するため、たんぱく質摂取に制限を行います。

肉や魚、ご飯やパンにもタンパク質が含まれますし、穀物や野菜にも含まれるため、その量に注意が必要です。

また、たんぱく制限がありますが、充分なエネルギーが必要です。

エネルギー不足は、体の筋肉を破壊しエネルギーに変える体の代謝が行われる為、たんぱく制限が無意味となります。

よって、砂糖、でんぷん、油類(サラダ油、マヨネーズ、ドレッシングなど)でエネルギーをとりましょう。

また、腎機能の低下は塩分の排泄が難しくなる為、塩分制限が必要です。

そして、透析中患者さん等には、カリウム制限を行われる場合があります。

野菜や果物に多く含まれるカリウムは減らすことが勧められます。

糖尿病

糖尿病は、食事療法により状態を改善できる場合があります。

バランス良く過食を避けることが最も重要です。

生活強度と、自分の身長や体重、性別により正しいエネルギー量を算定し、エネルギー制限を行います。

血糖値を安定させるために、一日三食食事をとる必要があります。

また、血糖値を上げやすい炭水化物や穀物の量、お菓子や嗜好品の制限を行う事もあります。

加工品、油分の多い食事は制限し、外食の多い会社員などは、一品モノより定食などの一汁三菜のような食事にするよう指導されます。

そして、野菜や食物繊維の多い食事で、急激な血糖上昇を抑えたり、たくさん食べることで満腹感を得られる工夫を行います。

高血圧食

血圧を上げる要因として、塩分やアルコールが最も影響を与えます。

よって、減塩食と禁酒を勧めるようになります。

重度の高血圧では、一日3g以下の塩分、中等度の高血圧には5~7gの制限を行います。

そして、カリウムやカルシウム、ミネラルを適正にとる事で血圧が低く抑えられるよう食事指導を行います。

ファストフード、インスタント食品、加工食やレトルト食品は塩分を多く使います。

よって、これらの摂取を控えるよう勧めます。

また、血液の粘土を高めてしまう脂分の摂取は制限されることがあります。

脂質代謝異常食

高コレステロール血症とも言われる脂質代謝異常は、コレステロールの摂取を軽減します。

そして、食物繊維(野菜、海藻類)の摂取促し、脂質の吸収を抑えられるような食事指導を行います。

エネルギー制限と、タンパク質の適性摂取により治療を行い、魚類の脂分摂取により、さらさらな血液になるよう魚介類摂取を促します。

肝臓疾患

肝臓疾患は、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝不全などがあります。

肝臓の機能低下は、脂質の代謝力が低下するため、脂質の制限が必須となります。

特に急性期は肝臓を保護するために厳重に管理されます。

そして、浮腫や腹水の症状がある場合は、塩分制限や水分制限が行われます。

治療にアミノ酸製剤を利用する場合は、タンパク質制限を行い、その栄養源は炭水化物や当分などが主となります。

まとめ

疾患や症状別の食事制限は、どの制限でも患者さんの不満に関わる治療です。

しかし、正しく守られないと治療の効果を減退させ、状態回復の遅延や状態悪化の原因ともなります。

患者さんの生活背景や役割、出来ると言う自信に繋がる指導が必要です。

いくらそうすべきと言われても、実践できそうにない指導であれば、患者さんま守る気になりません。

そのかたの特性や個別性に応じた適切な指導が、患者さんの守ろうという意識にも関わります。