新人看護師さんでクリニックに転職を考えている方が、このページを読みに来てくれていると思います。

きっと、病院の職場の雰囲気にどうしてもなじめなかったり、仕事に行くのもつらい、家庭の事情で家庭にあった働き方をしたいなどいろいろ事情がおありでしょう。

しかし「新人看護師がクリニックに転職したい」なんて言うと、まわりからは「精神力が足りないんだ」、「1年目でやめるのはもったいない」、「病院以外では技術も知識もつかないから我慢して働き続けたほうがいい」など、あなたの転職したいという思いが受け入れられないことも多いのではないでしょうか。

そんなクリニックに転職を考えている新人看護師さんへ、転職を否定するのではなく、アドバイスをしたいと思いますので参考にしてください。

クリニックに転職したい理由を明確にしよう

あなたは今、病院の仕事から何らかの理由でクリニックへの転職を考えているところでしょう。

ところで、転職理由をきちんと、すらすらと、自分の口で説明することはできますか?

「きちんと」というのは、「○○○が自分にとっては合わず、このまま続けていると△△△になると予測できるので転職したい」と説明することができるかどうかです。この○○○と△△△のところを言うことはできますか?

というのも、クリニックへの転職を後悔してほしくないからです。きちんと自分と向き合って、きちんとした理由があって転職するんだと自分で自分で納得していただきたいのです。

「ただ何となく嫌だから・・・」、「なんだか自分に合わない仕事だから・・・」、「こんな人間関係嫌だから・・・」、「クリニックは楽そうだから・・・」これだけでは、クリニックへの転職はお勧めできません。

今思い浮かぶ内容がこのようでしたら厳しい言い方ですが、現実逃避をしたいだけですよ。まずは転職をするのではなく思いっきり気分転換をしてみてくださいね。

この状態で無理やりクリニックに転職しても、クリニックの仕事に慣れたころ物足りなさや不満が強くなってしまうでしょう。

そして後悔の思いがわきあがったときに、「クリニックに転職してよかった」と気持ちを切り替えられず、「1年目だけ踏ん張ってやめなければよかった」と考えるようになりがちで、後悔の念に押しつぶされてしまうからです。

新人看護師が看護の仕事ができる場は、病院に限らず介護施設や訪問入浴、健診センターや在宅看護などクリニック以外にもたくさんあります。

その中でどうしてクリニックを選んだのでしょうか?その答えを自分の口で言うことはできますか?

病院の人間関係で苦労してきた方は、「人間関係をはぐくみやすい、少人数のスタッフで運営しているクリニックで知識や技術をつけていきたい」ですとか、病院の仕事を覚えるスピードに慣れず自信を無くしてしまった方は、「病院よりは仕事量が少ないクリニックで疾患や技術は限られるが学んでいきたい」など明確な理由に持つようにしましょう。

これもクリニックに転職するに当たり後悔をしないためです。

なりたい看護師像をイメージしつつ、クリニックの情報収集を始めよう

人は目的や目標があると、多少の困難にぶつかっても自分の力で目的や目標に向かって前に進んでいくことができます。

新人看護師の転職は、一般的に受け入れがたいものと思います。あなたの転職に対して心無い言葉を投げかけてくる人もいると思います。ただでさえ医療機関の離職率の低下、さらに新人看護師の離職率の低下を目指して看護協会も取り組んでいますから尚更です。

そんな時、「あなたの目標となるクリニックの看護師像」や「こういう看護師になりたい」という意思を持っておくだけで、心無い言葉にも動じなくなるあなたでいられると思います。つまりは、自己防衛をすることができます。

転職する前の今から、あなたの目標とするクリニックの看護師像を見つけてみませんか?「なーんとなくこんな感じ」の看護師でも構いません。今まで抱いてきた看護師像がクリニックでもあてはまるならばそれでも構いません。

自分の目標とするクリニック看護師像=なりたい看護師像を見つけるためにも、新人看護師の方でクリニックに何度も通院していた方はなかなかいらっしゃらないと思うので、まずは、クリニックの看護師の仕事内容やクリニックの仕事の楽しさを情報収集する事をおすすめします。

また、実際に勤めたいと思うクリニックでなくてもいいので、自分で雰囲気のよさそうなクリニックを調べて受診してみるのもお勧めします。

中には疲労回復やお肌の改善にビタミン注射、ニンニク注射などをやっているクリニックもありますので、クリニックの実際の仕事内容を見てみるのに受診してみてはどうでしょうか。大抵2000円前後でできるようです。

実際にクリニックはどういうところか、クリニックの看護師はどのような仕事をしているのか、クリニックにはどのような職種がいるのか、などなど調べるだけでなく、見てみることで「自分の目標とするクリニック看護師像」を描くことができることでしょう。

ちなみに、私がクリニックに転職した理由は…

私がクリニックに転職したときは「自分の体を大事にしよう。いつも患者さんに笑いかけられる看護師でいたい。診察業務がスムースに進むように、先を予測しながら働ける看護師になろう」そんなことを目標に転職しました。

私は、もとは病院の救急の現場でバリバリ働いてきました。体調を崩すのが続き、自分の身体を1番に考えクリニックに転職しました。

今でも「クリニックでのんびりやってるの~?」とバリバリ後輩を従えている元同僚からちょっと嫌味交じりに言われることもあります。不思議と嫌な気分や気後れすることなく「うんっ!」って笑顔で返事できるんです。

だって、なりたい看護師の自分になれているのですから!

今まで習得できた看護技術や知識を把握しておこう

病院では、1年目の新人看護師研修があり看護技術や看護記録の書き方、接遇、危険予知トレーニング等計画され研修に参加してきたと思います。

多くのクリニックでは、新人看護師研修はありません。病院のように徹底した新人看護師研修はなく、実地で学んでいくスタイルがほとんどです

なかには、「忙しすぎてなかなか新人看護師に教えてあげることができない」、「教えてあげたいけれど、診察がもたつくと院長気分を害して険悪になるので業務優先で教えてあげたくても教えられない」というクリニックもあります。

「新人は教えてもらえる体制がある」というのは病院での常識であって、クリニックではまだまだ教育体制が乏しいのが現状です。ですから新人看護師が転職する際は教えてもらえる体制があるクリニックを選ぶことをおすすめします。

主なクリニック業務における看護技術は、採血や点滴、血圧測定などのバイタルサインの測定、心電図検査等ですが自立して実践できる能力が求められます。今自分がどの程度なのか確認しておくことが必要です。

自立して行るのは何か、指導を受けながらできるのは何か、技術チェックリストを見てみて把握しておくことをおすすめします。

さいごに

1年目の新人看護師さんが現実逃避ではなく、実際にクリニックに転職したいと考えていらっしゃること自体、大変な状況下に今いらっしゃると思います。

しかし、看護師をやめようではなくクリニックで働こうと考えてくださったのですから、看護の仕事が好きだからですよね。

看護がより好きになり、クリニックに転職してよかった、なりたい自分になれた、と思える日が来るように応援しています。