オペ室で働く看護師の仕事内容、役割として、手術室特有の仕事に器械出しと外回りのふたつがあります。

器械出し

器械出しとは名前のとおり、手術中に医師が使う器械を出す仕事です。ここで要注意なのが、医師が指示を出してから器械を出すのでは遅すぎるということです。

手術中のイメージとして医師がメスと言えばメスを差し出すものがありますが、これは医師がメスと指示を出してメスを探し出し、差し出している訳ではありません。

手術の進行度を理解し、次に必要なのがメスなのか、それともメッツェン、クーパー、直剪などの他の器具が必要なのか判断する知識と理解力が看護師側に求められてきます。

医師が言葉にする前に必要な器具を見つけ、医師が口に出して手を出した時には差し出せる準備をしておくこと、これが手術室での器械出しという仕事です。

前提条件として、手術の流れを理解し、手術によって異なる必要な器具の種類を覚えておかなくてはなりません。医師の熟練速度にもよりますが、医師が指示して即座に反応出来るのが熟練のナースの域となります。

覚える手術は単純な手術でも20、30単位あり、手術の診療科によっても全く異なります。同じ外科でも形成外科ではかなりの大道具を用いるため、ナースにかなりの腕力が求められてきます。こうして手術に集中する医師に代わり、器具を手順良く渡すのがナースの役割となるのです。

外回り

オペ室で働く看護師の役割のうち、外回りというものがあります。

手術は同じ病名でも、患者さん毎に進行状態が異なり、手術の術式、進行具合が変わります。時には手術中に患者さんの容体が急変し、手術時間が延長することも珍しくありません。

1時間、2時間の長時間拘束され、長ければ半日以上かかる大手術になることもあります。そうした事態になった場合、手術室の看護師が追加で必要な器具を用意するために手術室の外へ出ていくことがあります。

基本的に麻酔科医について仕事をしますが、手術中に使用された医薬品について記載することも仕事のうちに入ります。

もうひとつ重大な役割として、患者さんの意識がある状態の手術で、患者さんの意思を医師に伝えるというものがあります。全身麻酔の手術では患者さんの意識がなく、意思を伝える必要も術もありません。

しかし、局部麻酔なら患者さんの意識がある状態なので、違和感や痛みを覚えた時に患者さんから聞き出し、それを手術に集中する医師に伝える仕事があるのです。逆に全身麻酔で意識がない時は、手術の進行状況について患者さんの家族に伝える外回りもあります。

オペ室で働く看護師の仕事内容はこの器械出しと外回りとに分けられ、大抵は別の看護師が担当します。さすがに両方の役割を1名でこなすのは困難のためオペ室には複数の看護師が勤めているのです。

最終確認

手術が終わりかける頃、器械出しのナースと外回りのナースが揃って、最終確認を行います。手術中に使った器具についてはすべて記録しているため、その数が手術前と合っているか確認し、医療ミスを防ぐ意味があります。

よく医療ミスで針やガーゼを患者さんの体内に置き忘れるというケースがあります。そうしたミスを防ぐために、数の確認を行い、手術をそのまま終えて良いのか最終チェックします。

洗浄、連絡

無事数が同じであれば手術を終了させ、器械出し役のナースは中央材料室へ器械を持っていき、洗浄を行います。外回りの役のナースは手術の部位を拭いて、清潔な状態にし、病棟ナースへ連絡します。

連絡内容は手術が終わった患者さんのバイタル情報、および執刀医からの指示についてなどです。あとは手術室の後片付け、使った薬品や備品に異変がないかの確認です。

こうした手術中、手術後の手順を手早く行い、医師を手術に集中させ、決して医療ミスを起こさないように細心の注意を払うのが手術室ナースの役割なのです。

変わったところでは、背の低い医師が執刀を担当する時に足台を用意したり、執刀医や麻酔科医、他のナースが転倒することのないように、医療器械の配置を整え、配線を適切にするというものもあります。