看護師に人気の企業看護師の仕事。その中でも比較的求人が見つかりやすく、転職者が多いのが「治験コーディネーター(CRC)」です。
治験コーディネーターは常勤でも非常勤でも働くことができ、病院以外の職場で経験を積んでおきたいという人や復職にあたって環境を変えたい人などに選ばれています。
男女比としては、女性が圧倒的に多く、活躍している治験コーディネーターのうち約8割が女性です。
年齢層は平均すると28歳前後になっていて、中途入職者では20代の半ばから後半にかけての世代にあたる人が多くなっています。他職種からの転職では35歳前後といった人までが見られていますが、すでに治験コーディネーターとして勤務した経験のある人が別の職場へ転職するケースでは45歳前後という人もいます。
このページでは、治験コーディネーターの仕事に関する予備知識や、看護師から転職する場合のメリット・デメリット、求人探しのポイントなどを紹介しています。
治験コーディネーターの仕事が気になっている看護師さんはぜひ参考にしてみてください。
治験コーディネーターの仕事内容は?
治験コーディネーターの仕事内容はとても幅広いです。医療機関で働く看護師にも幅広い業務への対応が求められますが、もしかしたら治験コーディネーターはそれ以上かもしれません。
治験コーディネーターは、製薬会社が新しく開発した医薬品が承認されるように臨床試験を行い、その治験が円滑に実施されるように準備から治験参加者に対する説明やケア、治験を行う医師や医療現場のサポート、治験依頼者である製薬会社との調整など様々なことを担当します。
治験コーディネーターは通常、治験が開始されてから終了するまで全てに関わり、一度に2件から3件ほどの治験を担当することになるため、責任感はもちろん体力やフットワークの軽さが求めらます。また、治験は1ヶ所で実施されると限らないため、場合によっては全国を飛び回ることもあります。
治験コーディネーターの仕事内容を流れで具体的にみると…
- まず治験依頼者である製薬会社から治験内容に関する説明を受ける
- そこで治験実施計画書であるプロトコールについて、しっかり把握する
- 治験の概要や検査項目、スケジュール、禁止事項などに関する資料を作成
- 治験に関わる医師や看護師、臨床検査技師などの医療従事者に対し説明を行う
- 治験に使用する検査キットの受け取り・返品、在庫確認などの管理も随時行う
被験者の抽出
事前準備が整った上で、医師の紹介や医療情報システムなどからその医薬品に関する治験基準に合致している被験者を探すほか、治験ボランティアの募集広告を出す場合もあります。
被験者に対しては細かく丁寧に治験内容を説明し、そこで同意があった人だけが被験者として治験に参加することとなります。通常、被験者はボランティアですが治験内容によっては参加料として謝礼が支払われるケースもあり、どれだけ多くの人が治験へ参加してくれるのかは治験コーディネーターにとって腕の見せどころです。
また、治験の実施期間中は被験者の経過観察や服薬指導のほか、不安や悩みなどに関する相談へ乗るということも大切な仕事です。
被験者に対して副作用に関する同意書のサインをしてもらっている以上は賠償請求などをされるということも原則としてありませんが、症状が改善されるまでは親身になってサポートすることが求められます。
治験の協力者へのサポート
被験者のみではなく治験を担当する医師のサポートもCRCの重要な役割です。医師が作成する症例報告書に具体的なデータを転記するなど補助的な作業や臨床検査技師や放射線技師、薬剤師、看護師、受付、医事課に至るまで治験をスムーズに実行するべく綿密な調整を行います。
治験は医療機関にとってメリットが少なく面倒になることも多いため、それぞれの担当者にかかる負担が少しでも軽減されるように治験コーディネーターはさまざまなサポートを行わなければなりません。忙しい担当者にしっかり仕事をしてもらうことができるよう、コミュニケーションによって人間関係を構築することも治験を成功させるための鍵です。
治験が実施されている最中には、予想外に副作用が強く出るなど好ましくないトラブルが発生することもしばしばあります。そういった有害事象が発生した際に、医師や被験者へ誠意のある対応をすることもCRCの重要な仕事です。ここでしっかりと対応することができなければ、その医療機関からは今後の治験を拒否されてしまうことにもなりかねません。
治験依頼者への対応
そしてもうひとつ、治験コーディネーターの大事な仕事としては治験依頼者への対応が挙げられます。製薬会社によっては自社で治験を実施している場合もありますが、中規模程度の企業では治験会社へ治験を依頼することが一般的です。
そのため、治験関連企業に勤務している治験コーディネーターには、治験依頼者である製薬会社と治験を実施する医療機関の間に立ってうまく対応するという能力が求められます。担当者とのミーティングに加え、毎日のようにメール対応をするなどのコミュニケーションも仕事の潤滑油となります。
看護師から治験コーディネーターに転職するメリット・デメリットは?
【メリット】プライベートの時間を確保しやすい
治験コーディネーターとして働くメリットとしてあげられるのが、休日のわかりやすさや予定の立てやすさです。
看護師として病院勤務をしているとシフト制で、休日も出勤しなければならなかったり夜勤があったり連休を取るのも難しいですが、治験コーディネーターの場合は民間会社の社員となるため一般的なサラリーマンと同じく土日祝日休み・カレンダー通りに休めるところがほとんどで夜勤もありません。
カレンダー通りなのでGWや年末年始、お盆などに長期休暇を取ることも可能なので、予定も立てやすく、プライベートな時間をきちんと確保することができます。
【メリット】ビジネスマナーが身につく
治験コーディネーターは製薬会社などの一般企業の人と接する機会も多くなるため、ビジネスマナーやビジネススキルを身に付けることができます。また、オフィスなどではスケジュール管理やデータ入力、報告書作成などのパソコンを使っての作業も多くなるのでパソコンスキルも身につきます。
医療機関で看護師をしていると人間関係が限られてしまうため、社会的視野が限定されがちですが、様々な分野や場面に接する機会も増えるので知識や視野が広がります。これらは病院勤務ではなかなか得られないものです。
【メリット】やりがいを見出しやすい
治験終了後は「安心して参加できた」「ありがとう」などの感謝を患者さんやその家族から直接受けることもあり、頑張りを正当に評価してもらえることもメリットがあります。
もちろん、病院で働いていても同様に治癒・寛解や看護の内容で感謝されることはありますが、最新の医療に関わることができる上に治験後、自分がコーディネートした薬がリリースされたときは感慨深いものがあると思います。
新薬開発に関わり、それを待っている患者さんに貢献することができるのがこの職業の最大の魅力かもしれません。
【デメリット】看護師時代と比べて給与が下がる可能性がある
治験コーディネーターの基本給は、病院勤務の看護師とほぼ変わりはありません。しかしながら、看護師と違うところは夜勤が無いため夜勤手当の分の給料が減ります。前職で夜勤が多かった看護師の場合、年収が80~100万円近く下がることも珍しくなくその減り幅は大きくなります。
また、会社によっては出来高制を取り入れているところも多く、成績により給与が左右されます。
【デメリット】担当するプロジェクトによって仕事のバラつきがある
治験コーディネーターは基本的にプロジェクト単位で仕事を行い、治験プロジェクトが行われる医療機関は決まっているわけではないため勤務地までの移動時間が1時間以上という事もあります。そのため、勤務先によって勤務時間が早まったり遅くなったり出勤時間や帰宅時間にばらつきが出てきます。
メリットとしてパソコンスキルなどをあげましたが、日によってはずっとパソコン作業という事も珍しくありません。そのため長時間のデスクワークを苦痛に思う人にはあまり向いていません。
【デメリット】医療スキルを直接的に発揮することはできない
治験コーディネーターは原則として医療行為を行う事はありません。もちろん治験コーディネーターは看護師としての知識や経験が活用できる職種ではありますが、基本的には全く違う分野の仕事です。
そのため、看護師としてのスキルを磨くことはできなくなってしまうことや、自分の医療スキルが落ちてしまう事を不安に思う人も多くいます。
これに伴い、看護師として医療機関への現場復帰をすることが難しくなってきます。
治験コーディネーターの給料・年収はどのくらい?
年収は500万円~1000万円まで幅広い
治験コーディネーターの平均年収は能力や経験によって大きく異なってきますが、500万円前後といわれています。看護師としての経験より治験コーディネーターとしての経験と実績が問われ、給与に反映されます。
役職がついたり、部下を指導する立場になったりして役職手当などが付くことで給与が上がります。企業によっても変わってきますが積み上げた経験、実績、持っている知識、スキル等によってかなり年収の幅があり、年代によっては他の職業より高いともいえます。
しかし、地域によって差があり、地方にある小さな治験会社の治験コーディネーターの年収は250万円前後、月収約15万円という方もいますし、都心部にある大きな治験会社になると年収700万前後、月収50万円前後のリーダー格の方もいます。
治験の専門知識を身に付け管理職以上の地位になると、年収1000万円を超える人もいます。
新卒者や未経験者はあまり高収入を期待できませんが、治験コーディネーターの実務経験2年を経て治験コーディネーター認定資格を取得していれば、その道のスペシャリストです。当然ですが給与面でも差が出てきますし、役職手当に繋がることになり結果給与が高くなると言えます。また、新人教育ができたり、製薬会社や治験担当医からの評価が高く指名がくる、契約奨励目標数を達成しているなどの能力、民間企業の治験コーディネーターの場合は成果報酬も給与アップのポイントです。
治験コーディネーターのアルバイト・パートの時給相場
治験コーディネーターにもアルバイトやパートで働いている方が大勢いますが、アルバイト、パート待遇でも様々な仕事を任されますので正社員同様の業務内容とを行います。治験に参加する患者さんへのフォロー、治験担当医師のサポート、スケジュール管理、データ収集等、正社員と業務の内容も責任の大きさも変わりません。
アルバイト・パートとして勤務をする場合の給与は、日当約8,000円~16,000円とかなりの差が出てきます。それは、バイトやパートでも治験コーディネーターとしての経験と能力が関係してくるためです。
やはり、アルバイト・パートとして勤務する場合でも、実績を積んで治験コーディネーター認定資格を取得しておけば日給も高くなりますし、バイト・パートから正社員になった時にすぐ給与面に反映されてきます。経験と実績の多さ、能力の高さから時には正社員より給料が高くなるというケースも出てきます。
この仕事を続けていくためにあえてバイト・パート待遇で勤務し、資格を取得後正社員になるという人もいます。治験コーディネーターはそれだけ実績と経験が重要視されるのです。
看護師から治験コーディネーターになるには?必要な資格やスキルは?
治験コーディネーターになるためには、特別な資格は何もいりません。
医療や医療現場のシステムに関する知識や専門性があり、かつ医療系の資格(看護師や臨床検査技師、薬剤師など)を保持し医療現場での臨床経験があれば誰でもなることは可能です。
治験コーディネーターの所属先は大きく分けて2パターンあります。
- 治験施設支援機関(SMO)に所属し、製薬会社や治験会社、医療機関等へ派遣される
- 製薬会社や治験会社、医療機関等に直接所属する
看護師から治験コーディネーターに転職する際は、この中から転職先を選ぶことになります。医療機関に直接所属すると、企業看護師としてのメリットを享受できないので、その辺りも踏まえて転職先を選びましょう。
治験コーディネーターの求人探し・採用対策のポイント
応募のタイミングや地域性を見極める
治験業界では、毎年の年度末には退職をする人が多くなり、3月末から4月にかけては欠員の募集が目立つようになり、選考も激しさを増します。最終的には、応募者のうち8割程度が不採用になるといった激戦になるケースもあります。
首都圏のほか大阪、名古屋などといったように人口が多い都市のある地域では応募が集中する傾向があります。その反面地方部では、比較的採用率が高くなっています。
看護師から治験コーディネーターに転職する場合、看護師専門の転職サイトで求人を探すのが一番効率的です。
看護師転職サイトに登録して常に求人を紹介してもらえるようにしておいて、さらに転職サイトのアドバイザーに助言を受けながら応募することで、良い採用に結びつく可能性が格段にアップします。積極的に活用していきましょう。
志望動機や自己PRのポイント
治験業界を選んだ理由として、実体験に関係するところがあると説得力が増します。医療機関で勤務していて実際に治験へかかわったことがあれば、興味が広がることも自然です。
また、治験コーディネーターを志す理由や前の職場から退職した理由、また将来的に目指す治験コーディネーターとしての姿なども問われることになります。長期的な就業を考えているのかどうかについて判断しようとするねらいもあり、キャリアプランを考えての志望であることを具体的に説明することができるほどに評価も高くなります。
この点に関しても、看護師転職サイトを利用してアドバイザーのサポートを受けることでしっかり対策することができます。安心して転職活動に臨みましょう。
治験コーディネーターに転職した看護師が答える!気になる疑問Q&A
治験コーディネーターの仕事は楽?辛い?
治験コーディネーターの仕事は、治験のためにスケジュール管理をして、検査データが正しく得られるように病院を支援することです。
病院などにCRCを派遣する会社であるSMOや製薬会社から、期日までに具体的な数値を出して成果につなげるようプレッシャーがかけられることも少なくなく、楽な仕事ではありません。
治験を実施している病院では、余計な仕事を増やしたとして治験コーディネーターへ理不尽な対応をする場合もあります。
また、治験に関わる法律などの知識を学ばなければならず、残業や自宅業務も少なからずあります。
そういったことで悩む人も多いのですが、被験者に薬の効果が見られたときには、看護師や医師とまた違った喜びを感じられるものです。
土曜日や日曜日、祝日などは休日になって日勤だけですから、スケジュールの面では病棟勤務に比べて辛さが感じられないところもあります。
病院勤務と比べて治験コーディネーターの仕事を楽と感じるかどうか、人それぞれだと思います。
治験コーディネーターに向いてる人は?向いてない人は?
治験コーディネーターは、仕事をするにあたって被験者や病院の医療スタッフ、治験を依頼している製薬会社などといった各方面とのコミュニケーションをとらなければなりません。
そのため、一定のコミュニケーションスキルを持っている人には向いているということができます。誠実で明るく粘り強い人であれば、対人関係も良好に保ちながら最後までデータの分析を続けることができるでしょう。
また、治験について、一緒に仕事をするスタッフをまとめることのできる包容力も大切です。治験を進める中で判断を求められる場面があったときに、的確な判断をすることができる人も向いています。
勤務先の種類によっての違いは?
治験コーディネーターの雇用については、SMOに所属してそこから病院へ派遣されるケースと、病院や製薬会社に直接雇用されるケースがあります。
病院に直接雇用される場合には、薬剤師や看護師としての仕事をしながら治験のコーディネートにもあたることが多くなっています。
そのほか、非常勤として採用される場合もありますが、SMOはどの会社もほぼ常勤採用をしています。
治験コーディネーターとして働く看護師の声
20代 女性
これまで看護師として、日々患者さんのために働くことでやりがいを感じていました。
その一方で、不規則な勤務や人間関係でのストレスもあり、これから10年、20年と長く働いていくことには不安もありました。
自分の働く環境を優先して地元のクリニックへの転職も考えていましたが、多くの人のために役立つ仕事をしたいという思いも強く、治験コーディネーターの仕事を目指すことにしました。
企業で勤務した経験はなかったため、業界の動向についても調べパソコンの操作なども学びました。
CRCとして採用されてからは、これまでの経験や知識も活かすことができ、新薬の開発という中で重要な治験に関わることに新たなやりがいを感じています。仕事の中では、多くの患者さんにとって助けになるということを実感することができました。
30代 女性
看護師として病院に勤務していましたが、子どもが小学校へ入学することを機に退職しました。
それまでは看護師としてしか勤務した経験しかなかったため、復職後は以前から興味を持っていた治験に関わる仕事をしてみたいと考えていました。
看護師を退職した理由は、子どもの進学でしたから、次の仕事を見つけるにあたっては条件としてあまり残業がない職場であることが必要でした。
治験に関わる職種としてCRCは、民間での勤務になるということで時間の融通が利きやすいと耳にしたことから、自分でもいざという時にはある程度の残業をすることのできる環境づくりをした上で面接に臨み、運良く採用に至りました。
実際に今の職場では残業がそれほどなく、家庭と仕事を両立させている同僚もたくさんいて心強い環境です。
看護師としての臨床経験も高く評価してもらうことができ、治験コーディネーターとして一生懸命働いています。
これまでのキャリアとは違う分野でもスキルやキャリア、資格が本当に役立っています。
40代 女性
以前から、看護師の資格を活かして民間企業で働いてみたいと夢見ていました。
近年注目されているCRCの職種には、看護師から転身している人が多いということを知り、16年にわたって病院で勤務して十分すぎるほどにキャリアを積んでから、以前から興味もあった治験コーディネーターの道へ進むことを決意しました。
CRCが未経験であっても順応しやすい職種であるということは聞いていましたが、やはり不安もあって専門書で勉強しながら転職活動を進めていきました。
その結果、希望した給料よりは安くなってしまいましたが、何とか採用してもらうことができました。
治験コーディネーターの仕事では、専門用語を使用することも多いため、正直最初のうちは苦労しました。パソコンでデータをまとめるといった作業も思ったより多かったのですが、パソコンは元から比較的得意でしたので、操作にそれほど苦戦するというようなことはありません。
40代 女性
看護学校を卒業してから15年、大学病院やクリニック、私立病院などに看護師として勤務してから治験コーディネーターとして働いています。
CRCという仕事を選んだ理由としては、規則的に毎週末が休日となっていることも大きなものでした。
ただ、これまでの臨床現場とは違って会社や治験に関連した独特の感覚について理解することはかなり大変でした。職場の風土なども含めて初めてということが多かったため、慣れるまでは簡単ではありませんでした。
しかし、看護師としての経験が助けになりました。治験では看護師として接していた職種のスタッフと関わりますし、被験者の心情にも寄り添うことができます。
実際に働いてみて、治験コーディネーターとして適している人は誠実で、様々な人の立場を理解した上で折り合いをつけるバランス感覚がある人、また豊かな発想を持っていて相手の気持ちを察することのできる人であると感じています。
CRCになって規則的な生活となり、休日も毎週末の2連休があって充実していることは、大変ありがたく感じています。
治験コーディネーターになると身につくスキル
治験コーディネーターになると身につくスキルとしては、
- 医療業務や医薬品に関する知識
- 柔軟なコミュニケーション力
- カウンセリング力
- PCスキル
- 英語力
などがあげられます。具体的に以下で説明していきましょう。
医療業務や医薬品に関する知識
治験コーディネーターは、新薬開発のための治験業務を担当するというのが主な仕事内容となるため、日々新しい医薬品の知識が入って来ます。治験薬を使用する被験者である患者さんとも緊密な関係を築くこととなるため、病気の細かな症状や回復状況、メンタルの推移など幅広い理解を深めることができます。
柔軟なコミュニケーション力
治験業務では医師や治験従事者、被験者とこまめにコミュニケーションを取るということが重要となって来るため、無我夢中で働いているうちに自然とコミュニケーション能力も養われることでしょう。
カウンセリング力
治験コーディネーターは被験者の不安や不満の声などにも耳を傾け、親身になって相談に乗ってあげるということも大事な仕事です。被験者は病気や疾患のせいで精神的に落ち込むことが多いため、励ましたり、希望を与えてあげるということが大切となります。ただ口先だけで慰めるのではなく具体的な例をあげるなど説得力のある励ましが求められ、そのためメンタルや心理に関する幅広い知識を身につけることによって、カウンセリング力を高めることができるでしょう。
PCスキル
PCスキルについては、最近では様々な検査データなどを電子カルテで管理する医療機関が増えているため、治験コーディネーターにもPC操作や入力ができるスキルが求められることがあります。忙しい医師をサポートするために細かいデータ入力を手伝ったり、医師と電子メールでやり取りを行ったりします。
また、ネット電話でやり取りをするなどPCはコミュニケーションツールとして重要な役割も果たします。そのため、最低限のPCスキルが求められ働きながらスキルを高めて行くことができるでしょう。
英語力
英語力については、特に外資系の製薬会社に勤務すると報告書の作成などがすべて英語となるため必然的にスキルが養われて行くこととなります。本国にある本社とメールでやり取りをしたり、緊急時には英語で電話でやり取りを行ったりもします。
基本的な英会話力のほか、医療や医薬品に関する専門的な英語力を身につけることができます。企業によっては、採用の時点で高度な英語力を要求するところもありますが、問わないところであっても最低でもTOEIC700以上は、取得しておくことが望ましいと言えるでしょう。
治験コーディネーターのスキルというものは、ただ自分の仕事をマニュアル通りにこなすだけではなく、こうすればもっとよくなる、ああすれば改善できるなど、いろいろと試行錯誤と実行を繰り返すことによって身につけて行くことができます。そのため向上心が高ければ高いほど、より多くのスキルも身について行くことでしょう。
治験コーディネーターのスキルアップ資格
治験コーディネーターのスキルアップ資格としては、
などがあげられます。
治験コーディネーターとして働くために特別な資格などは必要ありませんが、さまざまな資格は業務上さまざまな場面で役立てることができます。
例えば、心理カウンセラーは、被験者である患者さんの相談に親身になって応じたいと考える治験コーディネーターに目指す人が多い資格の1つです。通信講座などで学ぶことができるため、忙しく働きながらでも取得しやすい資格です。そして、英語関連の資格では、TOEICや英検など幅広い場面で認められる資格取得を働きながら目指すことができるでしょう。