刑務所で働く看護師の仕事内容

看護師は医療職として、すべての刑務所において必要とされています。ただ刑務所の種類に応じて、求められる役割は多少違っています。

一般刑務所の受刑者には健康上の問題がなく、特段の治療も必要とされていません。医療刑務所については、何らかの病気や障害を持っている受刑者が収監されています。

刑務所での日々はやはりストレスがかかるものであり、受刑者は体調不良にも陥りやすくなっていることに加えて作業中などにケガをすることもあります。そのために医務室があり、看護師が体調不良やケガへの対処にあたっています。

しかし、対象者となる受刑者とコミュニケーションをとることは禁じられていて、必ず刑務官が立ち会い1対1になることは絶対にありません。体調不良であってもケガをしていても受刑者は自由に行動しないようになっていて、これは看護師の安全を守るためのことでもあります。

一般刑務所と医療刑務所に共通する業務

●受刑者の体調管理
医務室に常駐しての勤務となり、一般企業や学校などで勤務する場合とほとんど異なるところはありません。つまり、過去に医務室で勤務した経験があるのであれば十分に対応することが可能です。

●仕事のフロー
医師による指示を実行しますが、その中で質問などがあれば刑務官を経由して受刑者とやりとりするかたちになります。これはほかの職場ですと見られない独自の閉塞感であり、タイムラグに慣れて淡々と業務にあたる感覚も求められます。

医療刑務所での業務

受刑者に対して治療や看護を行う必要があり症状に応じて食事介助やインターフェロン、人工透析なども日常的に行わなければなりません。スタンスとしては病院に近い仕事になりますが、刑務官による立ち会いはあります。

女子刑務所での業務

近年は女性受刑者へのケアが重要視されるようになってきていて、女性特有の問題に対応します。妊娠中のほか更年期障害による体調の悪化で悩んでいる受刑者などもいるため、それぞれの症状について理解した上でのケアが求められます。

刑務所内医務室の看護師求人傾向

勤務先は大きく、一般刑務所と医療刑務所の医務室に分けられます。女性刑務所は一般刑務所に含まれますが、2014年になって法務省から女性特有の症状に特化して看護する看護師を雇用する方針も示されたことから今後の求人増が見込まれています。

1ヶ所あたりに勤務している看護師の数は5人から6人程度であり、規模によるところもありますが基本的に大きく異なることはありません。募集のタイミングは、欠員が生じた都度ということになります。

●一般刑務所からの求人
男性受刑者が多い場合には、何かしらの危険が生じることも考え併せて男性の応募が歓迎されています。男性にとっての就職先や転職先として、有力な選択肢のひとつにもなり得ます。

●女性刑務所からの求人
一般刑務所ですと、万が一のリスクを考えて女性は応募にあたって躊躇することも少なからずあります。これに対して女性受刑者しかいない女性刑務所ではやはり女性のニーズが高く、採用へ至る可能性もより高くなっています。

●受刑者の高齢化による看護師の需要増
社会全体の高齢化にともない受刑者の年齢層も高まっていて、やはり健康面の問題を抱える受刑者についても高齢者の比率が高くなっています。そこで採用にあたっても、高齢者に特有の疾患に明るいことで選考上プラスになります。

刑務所で働く看護師の待遇・給料

刑務所は国が運営していますから、国家公務員としての扱いになります。交通費の支給や地方手当といったように、やはり福利厚生は充実しています。

平均年収は一般的に400万円以上となっていて、一般病床で勤務する場合と大きな開きがあるわけではありません。ただ、ボーナスについては給与の4ヶ月分に相当します。