リハビリテーション科に勤める看護師には、あまり変化や変動の少ない環境で働きたい子育て中の看護師や、家庭とプライベートを重視した仕事をしたい看護師、リハビリテーションにより機能回復をしていく患者さんの喜びが生きがいと言う看護師など、さまざまな思いを抱えて働く看護師がいます。
そのような目的や目標がそれぞれの看護師さんが、実際にリハビリテーション科で働いてみた感想や現実の思いについて聞いてみましょう。
実は、こんな面もあったのかと知らない事も聞けるかもしれません。
■20代 女性
子どもの頃に骨折して入院した際にスタッフの方から励まされて力になった思い出があり、新卒ですぐに配属希望を出しました。
先輩たちが親切でわからないことも丁寧に教えてくれるため、日々の業務に追われながらも学ぶことができています。
特に手術が行われる前後の看護について、また整形外科にかかわる疾患についてや治療の流れなど勉強になることがたくさんあります。少し病棟に慣れてきて、今度は患者さんのための看護ということもより考えていこうと努めています。
診療の内容も幅広く、新しい治療機器やリハビリ器具の扱いを含めていっぱいいっぱいになってしまう場面も多々あります。患者さんの年齢層もさまざまですからそれぞれ違ったアプローチでかかわらなければなりませんし、経験がものをいう現場であるとも感じています。
入職した当初は患者さんから痛みの訴えを聞くにつけつらいと感じるばかりでしたが、その痛みをとるためにどうするかと工夫することも考えるようになってきました。
自分の姿勢や声かけによっても患者さんのやる気が違ってきますから、自分なりのかかわりこそが勇気につながると信じてがんばっていきます。
■30代 女性
配属されて5年が経過する中で、新人の指導も任されるようになりました。後輩の看護を見ているとかつての自分がしていた看護も振り返ることができ、そこから成長することのできる部分をまた見込むことができて自分のやりがいにもつながっています。
言語障害がある方や認知力の低下している方、言葉がままならないお子さんなど、1人として同じ患者さんはいませんから対応は千差万別であって絶対の正解というものもありません。どこまでも、コミュニケーション力は養っていくことができます。
そして、やはりリハビリを通じてこれまでできなかったことができるようになったという喜びは、仕事をしていく上でも活力になっていると感じます。
時に感情が爆発してしまう方もいますがとにかく受け止めようという気持ちで接していれば、やがてわかってもらうことができしっかり患者さんと向き合うことで人とのつながりも実感されます。
■40代 女性
私の職場ではスタッフが絶対的に不足していて、未経験者であっても採用するような方向になっています。
新人教育では看護そのものだけでなくリハビリテーションへの理解や危険回避などの指導もしなければなりませんから、既存スタッフの負担も大きくなる一方新人の戸惑いも感じられるところがあります。
病棟の管理や指導へあたる立場になってみると、自分自身のことも思い出して本当にこれで良かったのかと自問することも多々あります。立場的に、病棟へ出て直接の看護にあたる場面も少なくなってきました。
また、退院や転院を前にした患者さんが次のステップへ移るにあたり、連絡調整役としてかかわることが多くなってきました。
在宅復帰する方も別の施設へ入所する方もスムーズにストレスを感じることなくいることができるよう、またそれをご自分で決定することができるようサポートしています。
私の勤務先は、さまざまな診療科を経験してから配属されてきた若いスタッフが多く、やはりほかの現場について聞くと刺激になりますし多様な経験を積んでいるスタッフはやる気もあって経験を活かそうとがんばっています。
違った経験を持っていることでスタッフ同士が影響し合うところも大きく、自分自身でも勉強になるところがあります。
■50代 女性
年長者となり、部下たちへ向けて何を伝えるかといったことも考えなければならないキャリアになりました。
中には配属されてきてなかなかモチベーションが上がらないスタッフもいますが、そこでやりがいを伝えることも自分の務めであると感じています。
入職する前には楽だといった話も聞いていましたが、それはまったく違っていてたくさんのリスクもともなう現場です。
年齢を重ねるにつれて安易にかかわることのできる現場ではない、深い知識と高い看護スキルが求められているという実感は強くなる一方です。
今思い返すと、はじめて1人で患者さんの歩行訓練を担当したときには手助けばかりしてはいけない、でも手助けしないと転んでしまうかもしれないという葛藤が絶えませんでした。
それでも患者さんのためを思ってただ見守ること、いざというときのために安全を提供することも大切であると学びました。
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