自衛隊で働く看護師は、隊の一員として一般的な看護業務を行います。その職場は自衛隊中央病院や自衛隊地区病院、それぞれの部隊などとなります。

身分としては、自衛官ということになります。看護師としての技術や知識を活かし、自衛隊の活動に貢献します。

自衛隊で働く看護師の仕事内容

自衛隊中央病院での勤務

かつては自衛隊員と家族を対象としていましたが法律の改正によって一般の患者さんも受け入れるようになったため、現場のイメージとしては基本的に一般の病院勤務と変わらなくなっています。

ただ年齢制限がある自衛官も患者さんとなっているため、患者さんの平均年齢は低くなっています。

駐屯地の医務室での勤務

企業や教育機関の医務室に近いイメージであり、健康管理が中心となります。自衛官にケガや病気があったときには、応急処置の対応をします。

部隊勤務

全国の衛生隊に所属し、災害が発生したときには被災地へ派遣されます。平時には、訓練が中心となっています。

自衛隊の看護師求人について

応募資格は看護師免許を持っているか採用される年に取得見込みになっていることであり、年齢が36歳未満でなければなりません。すでに免許を持っていれば、養成機関を通じることなく入隊することも可能です。

養成機関を経て入職する場合

防衛医科大学校医学教育部看護学科は3倍から4倍になっている場合が多く、高くて5倍程度です。自衛隊中央病院高等看護学院ですと28倍前後となり、かなりの激戦になっています。

すでに看護師免許を持っている人の募集

倍率は募集が行われる年によって、かなりの違いがあります。求人自体、行われていない年もあります。

自衛隊に看護師として採用されるまでの道のり

すでに看護師免許を持っている場合は、自衛官の募集に応募することになります。筆記試験(小論文)と口述試験、身体検査などを経て合否が決まります。

以下では、養成機関での教育を経て自衛隊の看護師になるまでの道のりを解説したいと思います。

養成機関

●防衛医科大学校医学教育部看護学科
最終的には、看護師の資格を持つ幹部自衛官として働くことになります。そこへ向かい4年間にわたる教育で国家資格を取得した後は陸・海・空各幹部候補生学校において、幹部自衛官として必要なことも学びます。

●自衛隊中央病院高等看護学院
最終的には、看護師の資格を持つ陸上自衛官として働くことになります。3年間で国家資格を取得してから、各地の自衛隊病院や衛生部隊に配置されます。

養成機関で学ぶこと

入学と同時に階級が与えられ、看護師だけでなく自衛官としての心構えについても学びます。実地訓練では、野外病院の開設を前提にしたものなども行われています。

卒業後には、看護師の国家試験へ臨みます。その合格率は、ほぼ100%という高い水準になっています。

入隊後の配置先

●自衛隊病院
自衛隊中央病院は、東京都世田谷区に所在しています。自衛隊地区病院は札幌や仙台のほか静岡県の富士と兵庫県の阪神に加えて福岡、熊本、大分県の別府といった場所にあります。

●部隊
各方面衛生隊のそれぞれに、隊員として所属することになります。あるいは、師団・旅団の後方支援連隊衛生隊のメンバーとなります。

●その他
陸上自衛隊衛生学校でも、勤務する可能性があります。また防衛医科大学校医学部看護学科では、教官として力を尽くすことになります。

異動について

自衛官については、2年から3年といったペースで勤務地が変わっていきます。転勤が当たり前にあるものとして、認識しておく必要もあります。

入隊後の教育・待遇

基本の教育

部外委託教育や、看護業務を行う上で必要な研修などが行われています。そのほか防衛衛生学会、日本看護学会などにも参加します。

幹部試験

看護師としての幹部初級課程や、看護師技術についての幹部技術課程といった訓練を受けます。

転勤や災害派遣などを経験するほか、海外派遣などでの必要性もあることから米軍との合同訓練で英語を学ぶような機会もあります。

収入について

入隊した当初の年収は300万円から350万円程度です。全体ですと、500万円から550万円ほどになっています。月収で見ると20万円から35万円程度です。ボーナスの支給もあり、キャリアにともなって昇給していきます。