シップナースの仕事内容

世界各地をめぐっている客船が、職場です。それも乗客と乗務員を合わせると500人以上もが乗船し豪華客船と呼ばれるような大型の船へ乗り込み、医務室で常駐します。

航海中に何が起こるかによって忙しさなども大きく左右され、通常はあり得ないものの事によってはおよそ500人もの患者さんが発生しないとも限りません。そうすると大きなリスクもある職場において、わずか数人のスタッフで仕事をしなければならないとも考えられます。

また、持病のある人がいれば船旅をしている中で悪化する可能性もあり、普段の生活空間と異なる船の中でケガをしてしまう人もいます。乗船する人は毎回違いますから、どのようなトラブルが発生するかはまったく予測することができません。

場合によっては、寄港先における接触などが原因となって誰かが感染症やウィルス性の病気を持ち込んでしまい、結果として船内で流行してしまうといったこともあり得ます。そうなると患者さんの数も爆発的に増えていき、医療スタッフも例外ではなく感染の危険にさらされることとなります。

●基本的な業務内容
乗客や職員の体調管理を行い、健康が保たれるようにします。そのために病院などと変わらず救急医療や外傷の治療、診察記録の作成などを行います。

●船酔いした乗客への対応
対応としては、もっとも多くなります。乗務員は慣れていますからそれほどありませんが、お客さんにはほぼ必ず症状の現れる人がいます。

●緊急時の応急処置
すぐに処置することのできるような軽いケガや症状であれば大きな問題はありませんが、時には骨折や心筋梗塞などといった症例もあります。

最低限の医療設備しか備えられていない医務室という限られた環境の中でそうした患者さんに対してできるだけの応急処置を行い、陸上の病院へ搬送されるまで適切な状態を保たなければなりません。

万が一の事態に際しては、ヘリコプターによる搬送という判断が迫られることになります。搬送の判断については医師が行い、シップナースは搬送先となる病院を探します。

シップナースは超希少求人

看護師が勤務する職場としてはもっとも求人の数が少ないもののひとつであり、前提としてまずクルーズを催行している客船会社の絶対数が少なく日本国内の客船会社はわずか4社しかありません。求人に対する採用人数も1人から若干名程度であり、それぞれの客船では1人か2人程度が配置されます。

定期的に募集されるものではなく欠員に応じてということになり、会社によっては退職者や転職者が出たときに臨時で所属する船員から衛生管理者の資格保持者へ業務を担当させるケースもあります。その間で改めて正式な人材を求人するかどうかは、企業によって対応の異なるところです。

シップナースの待遇・年収

客船会社の正社員として採用される場合、1回のクルーズごとに契約社員として勤務する場合があります。契約社員については、クルーズの期間がそのまま契約期間ということになります。

正規雇用であれば看護師であることによる資格手当や特殊勤務手当も加算されて700万円から800万円、経験があればさらなる加算もあります。雇用元も総じて大手であり、給与額は全体的に一般企業より高めで設定されています。

契約社員の場合、4ヶ月程度のクルーズであると、1回の勤務で150万円前後となります。月収に換算すると30万円から40万円程度、1日あたりにすれば日給で1万7千円程度です。

●拘束時間の長さが給料に反映されている
仕事としての性質上は避けることのできないことであり、クルーズは大抵が月単位ですから数ヶ月単位で昼夜も問わず仕事をしなければなりません。給料などの待遇に恵まれていることは、気の休まらない時間を過ごし続けなければならない裏返しでもあります。