透析看護認定看護師とは

役割

年齢を重ねるにつれて腎臓の機能は衰えていき、高齢者が増えた現代の日本では延命治療の一環として、人工透析が導入されていますが、生まれつき腎臓の機能が弱い人も含めて、かなりの数の人々が人工透析を利用しています。

透析看護認定看護師の役割は、人工透析を必要とする患者さんに対して生活の質を改善し、加えて患者さんの家族も含めて物理的、精神的なサポートをすることです。患者さんの精神状態に応じて調整を行うなど、臨床の現場における判断能力によって患者さんとその家族を支えていきます。

求められる専門知識や技術

透析治療を続けていくと、人によっては必要な器具や薬剤を変更することも必要とされるため、透析看護認定看護師には、人工透析に使う透析の機械や器具、装置、必要な透析液、薬剤などにかかわる全般的な専門知識や技術が必要とされます。

また、人工透析という技術自体も日々進歩しているため、透析看護の視点も患者さんごとに最新のものが必要とされているのです。最近は、透析室だけでなく、持ち運ぶことができるほどに小型化された器具が増えています。

腎臓が弱っている患者さんだと、合併症の危険性も上がるため、合併症の予防、病気を乗り越えて人生の目標を掲げる気力を持ってもらうサポート能力も必要とされます。

透析看護認定看護師になるには

資格取得方法

透析看護認定看護師になるためにはまず看護師資格を取得し、透析看護の分野において3年以上の看護実績を積み重ねていきます。

その上で、透析導入期・維持期にある患者さんの看護を5例以上担当していることが、教育課程に入学する条件となります。できれば入学の時点で、透析看護にかかわっていることが望ましいとされています。

およそ6ヶ月の教育期間を修了すると、透析看護認定看護師の認定試験を受験する資格が得られます。合格すれば晴れて透析看護認定看護師になることができ、認定証が発行されます。

資格保有者数

透析看護認定看護師の資格保有者数は、2011年の時点で135名となっています。透析はニーズが高い分野であるため、これから順調に資格保有者数が伸びていくと予想されています。

難易度・合格率

透析看護認定看護師の合格率は年によって開きがあり、100%という年から80%程度の年までがあります。合格率が80%を割り込んだことはなく、平均して90%程度となっています。

透析看護認定看護師の資格取得後

活躍できる職場

透析看護認定看護師が活躍できる職場としては、病院内の透析室が挙げられます。人工透析を行う専門の部署であり、透析看護認定看護師にとってはもっとも仕事をしやすい職場でもあります。

透析室での仕事は、単純に人工透析を行うだけでなく、人工透析後に患者さんへ血液検査の結果を教え、指導をするほか生活上の注意点について説明するなど多岐にわたります。

患者さんによっては、糖尿病などの合併症を引き起こしている場合もあるため、足の重点的なケアにあたるなど、症状の悪化を予防することも職場での仕事となります。

将来性

透析看護認定看護師の将来性はかなり高く、人工透析を受ける患者さんの数が年々増加していることからもうかがい知ることができます。特に慢性透析療法を受けている患者さんはかなり多く、人工透析の専門家について需要が高まっていることを意味しています。

患者さんとその家族を看護することはもちろん、加えて同僚の医師や看護師などといった医療従事者に対しても人工透析に関する最新の知識を指導し、相談に応じるための人材として必要不可欠とされています。

最近は、高齢の患者さんや末期の腎不全である患者さんなどといったハイリスクの患者さんが増えているため、透析看護認定看護師の需要はますます高まっていくと予想されています。