手話通訳士とは

どんな資格?

手話通訳士は、聴覚障害者と聴覚障害を持たない人とのコミュニケーションを仲介したり、伝達したりすることを業とする人のことを言います。

この資格は公的資格の1つで、業務独占資格ではなく名称独占の資格です。看護師のスキルアップの1つとして注目されていますが、医療従事者に限ったものではなく様々な場面で活きる資格です。

認定先

手話通訳士資格の認定は厚生労働省が行っていますが、試験については厚生労働省が認定した社会福祉法人 聴力障害者情報文化センターが実施しています。

資格保有者数

手話通訳士の資格を取得するには国家試験に合格するだけでなく、その後登録を行う必要があります。平成25年11月29日時点で、手話通訳士の登録者総数は3,084名となっています。

難易度・合格率

手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)は、手話通訳関連の資格の中でも難易度の高い試験で、平成24年に実施された試験の合格率は11.1%と低い結果となっています。それ以前の合格率を見ても30%以下を推移しており、かなり難易度の高い試験として知られています。

手話通訳士の資格を活かせる職場

手話通訳士の資格が活きる職場は数多くあり、病院や公的機関など誰もが利用できる施設などでは、特に需要が高い傾向にあります。

最近では、病院などの医療施設で、聴覚障害者でも診察を受けやすいような環境作りに取り組む職場も増えており、総合病院などの比較的規模の大きな病院でこのような取り組みが進められています。

毎日様々な人を診察する外来では特に重宝される資格であるため、病院の外来などで勤務する看護師にとっては役立つ資格の1つとなっています。

手話通訳士の将来性

現時点で手話通訳士の資格を持つ人は少ないものの、聴覚障害者が生活しやすい環境作りが進められているため、将来的に重宝する資格の1つと言えます。

特に病院や公的機関で働く場合には、このような環境作りが早い段階で取り入れられていることも多く、看護師が手話通訳士の資格を持っていることは、その施設にとっても有益なことです。

また、福祉施設で看護師として勤務する場合にもこの資格が活きることが多く、看護師として働く分野も広がるでしょう。

手話通訳士のお給料事情

手話通訳士として生計を立てることは難しく、給料事情もあまり恵まれていないのが現状で、ボランティアとして活動する人も多くいます。

資格を取得しても実務経験を積まなければ高収入を狙うことが難しく、給料の平均・相場は時給で2,000円前後です。講演会などで手話通訳を行う場合には、1回2時間で15,000円程度が一般的です。

医療施設や福祉施設で正職員として働いている職員が、この資格を取得することで給料アップに繋がることも少ないですが、積極的に障害者が利用しやすい環境作りに努めている職場などでは、手当が付く場合もあります。

また、医師や看護師といった国家資格を持っている場合には、採用面で優遇されたりアルバイトやパートでも時給が高くなったりする場合もあります。

手話通訳士になるには《資格取得方法》

受験資格

受験資格は20歳以上(受験日の属する年度末までに20歳を迎える人を含む)で、それ以外に特別な受験資格は必要無いため、20歳以上の人であれば誰でも受験することができます。

審査方法・試験内容

試験には、学科試験と実技試験の2種類があります。学科試験は障害者福祉の基礎知識、聴覚障害者に関する基礎知識、手話通訳のあり方、国語の4科目で、各20問ずつ出題され四肢択一方式です。

実技試験は聞取り通訳(音声で出題され手話で解答)、読取り通訳(手話で出題され音声で解答)の2科目で各2問ずつ出題されます。

学科試験の合格基準は4科目の総得点の60%以上、実技試験では正確さと技能(表現力、円滑性・速さ、態度、明瞭性)が評価されます。

受験日程

試験は年1回で、平成25年度は10月に実施されています。学科試験1日、実技試験1日の合計2日間の日程で実施されます。前年度の試験で学科試験に合格している場合、学科試験が免除され実技試験のみ受験することが可能です。

費用・会場

試験会場は、東京、大阪、熊本の3か所で学科試験と実技試験の両方が行われます。受験手数料は18,000円(税込)となっています。

問い合わせ先

社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター
〒153-0053 東京都目黒区五本木一丁目8番3号
電話 03-6833-5001