緩和ケアは、自分の最期を受けとめ、自分らしく最期を迎えるために、痛みや苦痛を軽減した暮らしを送る終末期医療の現場です。

終末期の患者さんの痛みとは、疾患による痛み、死に対する不安や恐怖の心の痛み、これまでの自分でいられなくなる全人的痛み等があります。

ただ、痛みをコントロールするのではなく、心から自分らしく、満足ある生活を支援されることが患者さんの願いです。

では、緩和ケア科における看護師に求められる知識や技術は、何があるでしょうか。その人の最期の時間を彩りあるものに出来る看護とは何があるでしょう。

緩和ケア科における看護師に必要な知識や技術についてまとめてみます。

必要な看護技術・知識

緩和ケア科に入院する患者さんは、何を求めているのでしょうか。

まず、一つ言えることは、ただ命をながら得ればよいと感じている患者さんが少ないと言う事です。痛みを抑えて、最期まで自分という人格を保って生活をしたい患者さんばかりです。

その患者さんの望みを叶え、満足出来る療養を支えるサポート役となるのが、ここで働く看護師の役目です。

安楽ケア

緩和ケア科に入院する患者さんは、身体的苦痛や痛みを発します。時に、精神的悲痛が体のどこかに痛みを発する事で証言されることもあります。

よって、精神的に安心でき、身体も安楽になれるようなケア技術が必要です。

安楽な体位保持、安楽な清潔ケア、足浴やマッサージなどの癒しのケア、環境調整による快適な療養環境などの支援技術があると患者さんは安心出来ます。

コミュニケーションスキル

いくら、患者さんが最期受け入れられていても、どの不安や恐怖は強いものです。しっかりと患者さんと向き合い、議案や恐怖が軽減できるよう関わる必要があります。

傾聴、共感姿勢を示し、時に、タッチングや背中をさする、笑顔で対応する等の言語と非言語のコミュニケーション技術を用い、患者さんの心の悲痛に対応できるコミュニケーションスキルが必要です。

疼痛コントロールと疼痛評価

患者さんに苦痛を与えないと言う事が、緩和ケア科での一番の仕事です。患者さん有する痛みがどの程度かという判断力が必要です。

大体、痛みを発してしまったらなかなか鎮痛剤が効きにくいと言う事があります。しかし、だからと言って早く使用しすぎると、過剰投与となります。

よって、ペインスケールやフェイススケール、患者さんの訴えなどを聞き取り、正しく痛みを評価するアセスメント力が必要です。

そして、正しく薬剤により疼痛管理を行い痛みを感じさせない看護を行う事が求められます。

患者さんの願い叶える技術

患者さんの感じている思いを知り、その実現が出来るよう調整できる技術や知識が必要です。

時に、患者さんは、一日でいいから家に帰りたい、少し外の空気に触れたい、一度でいいからシャワーを浴びたい等の思いを抱えています。

緩和ケア科では、なるべく患者さんに我慢をさせないことが看護師に求められる技術です。痛みを我慢したくない、自分らしく生きたい、悲しみに暮れたくない患者さんが多い現場です。

その願いを叶えられることが看護師としての遣り甲斐ともなり得ます。

ただし、出来ない事もありますが、何か一つでも願いを叶えられれば患者さんは、とても喜びます。

患者さんの意思や願いを聞きとり、医師や関係機関へ報告、相談を行い、その思いを叶えられる努力をすることも看護師の役目です。

まとめ

人の最後とは、どのようにあるべきでしょうか。その答えは出ることはありませんし、正解はないでしょう。

しかし、自分が最期を言い渡された時、どのような看護が受けたいですか、最低限しておきたいことは何ですか?

患者さんの気持ちになり、患者さんの家族に思いになり、手厚く、安心できるケアがなされることが求められます。

緩和ケア科で看護師に求められることは、その方の尊厳を充分に配慮し、その人らしい生活を支援できることでしょう。